16年ぶり2回目の鑑賞。
なんのかんの、カルト視されてるニコラス・レイ。
いまいち、その真価を認識出来ないでいる私だが、この劇場未公開作品はすごい。
注意:以下は未見の方は読まないことをお勧めします。
あまりにも意外な展開なので。
原題は「並外れた存在」の意味。
初回鑑賞の時は、その物語のとっかかりの部分で、引っかかったのだが・・・。
前回にも増して、強烈なサスペンスを堪能した。
どこにでも見かけるアメリカの中流家庭の平和な光景が。
薬のもたらす副作用が、恐ろしい展開に。
その原因への疑問は置いといて、このサスペンス・スリラーの演出の怖さは桁外れだ。
恐怖の対象が、夫であり父であるという怖さ。
製作・主演のジェームズ・メイスンの迫真の演技。
その若き妻をけなげに演じるバーバラ・ラッシュの演技。
子役も上手いし、ウォルター・マッソーも脇を支える。
マッソーは映画デビューの翌年。
脚本のひとりは、007の立役者リチャード・メイバウムだ。
鏡を使った演出も強烈だし、モノクロのフィルムノワールの影の演出を見事にカラー・シネマスコープに再現させた。
聖書さえ恐怖演出のアイテムに使われる。
最後のアクションシーンに付けた音楽(つけっ放しのテレビの場違いな音楽がそのまま劇伴となる!)のアンバランスな効果もすごい。
ここはフリッツ・ラングの「外套と短剣」を思い出した。
20世紀FOX映画。
よく、こんな変な?企画にゴー・サインが出たものだ。