サスペンスというには単純なストーリーでした。特徴はむしろ短い時間に凝縮された一風変わった雰囲気にあると思います。いろいろとアンバランスなものが組み合わさりバランスを取っているような。音楽も土俗的な感じのロックのリズムや刺激的な音も入ります。映像はいたって静か。田園風景や美しく、一方でけたたましい音の中で、スローモーションのように動く警察の捜査。導入部ha
PVのような雰囲気さえ感じます。
敬虔なメノナイト教徒の村という設定で、不道徳に対し大きな拒否反応を見せる一方、発言が妙に過激だったりして、このあたりのバランスも奇妙なところがありますが、これは宗教感に疎い自分が見て思うことなのかもしれません。いろいろな人の心の動きが出てきますが、それがしっくりこないような雰囲気で、我々が世界で接する人とは一風違ったような…。
ということで、ウォルターの悩みや心の動きをじっくりと追っていく話なのですが、雰囲気は、一風変わったサスペンスというよりは、ドラマでした。メノナイトの人々の小さな町で起こった事件という設定で、独特の音楽やスローモーションの映像、そして宗教感を押し出した興味深い作品でした。