アルジェリアの問題を抱える1960年代のフランスが主な舞台となる.しかし,自らを「ジャッカル」と呼ばせる男(エドワード・フォックス)は,英国の方からやってくるようにも見える.彼は,ドゴール大統領の政策に異を唱える組織OASにプロとして雇われようとしている.組織はテロリストではなく愛国者として活動し,バイクを走らせ,7秒140発の銃弾で大統領を襲撃するが間一髪,銃弾は大統領を逸れていく.それでもパリの街で関係するテロが起こされている.
大英博物館で資料にあたり計画を立てるジャッカルがいる.彼は何者かになろうと出生証明を使って,免許証,身分証明証,パスポートなどを偽造し,ダガンになる.そして髪を染めるなどの扮装の準備を整えている.また,破裂弾を使用するオリジナルの特殊な狙撃銃を発注している.マーケットではスイカを買い求め,それを頭部に見立て,射撃の微調整を行う.
フィルムを見て,ウォレンスキーという人物に焦点が当てられている.当局側の動きもある.内務大臣(アラン・バデル)宛のバイク便が走る.警視総監を通じてルベル警視(ミシェル・ロンスダール)に特命が下り,コルベール将軍(モーリス・デナム)も居合わせている.拷問に近い尋問も行われ,叫び声から「ジャッカル」の暗号名が割り出されている.汚れ役を依頼されるドニーズ(オルガ・ジョルジュ=ピコ)も,犬を連れて乗馬の男を落馬させ,役人に色仕掛けで迫るが,それも仇となる.
ルベルらもニースへ飛ぶが,一歩及ばず,ジャッカルは先へと進んでいる.車の塗装を変え,ナンバーを変え,事故を起こして服を変え,進む.ポールとして一夜を共にした夫人(デルフィーヌ・セイリグ)のところに再び現れ,同衾している.そしてペールというデンマーク人教師となって,列車に乗り,タクシーに乗り,パリに入ってくる.サウナへも行く.
解放記念日の午後4時の大統領公式行事に向けて,ジャッカルも動き続け,厳戒態勢の中で,兵たちの行進,バイクや戦車だけでなく戦闘機も加わり,いよいよその瞬間が訪れようとしている.またその瞬間という焦点に向かって,ジャッカルとルベル,それぞれの線が導かれているようにも感じ,またラストシーンの後では,その線の軌跡が愛おしく,懐かしくも思える.