異形の映画イメージをぶつけられた。そのあまりにもの衝撃に動揺している。
端的に言って映画についての映画なのだが、ここまで観客を追い詰める作品も少ないだろう。
観客は序盤のシーケンスから、発狂した講師が凶器に括り付けたカメラと同一化しながら、殺人者と被害者の間で生じる惨殺の記録の界面に接することになり、またその後、被害者の亡霊に脅える殺人者の顔を直視しながら映画館内に響き渡る雄叫びと共にまるで生者と死者との界面にまで立たされることになる。
本作においてスクリーンとは我々が安住できる地などでは到底なく、「死ね!死ね!」と連呼、絶叫する人物によって切り裂かれ続ける荒野と化す。眼差しを切り裂くイメージは過去にも試みられたことがあったが、眼差しがイメージによって切り裂かれるという経験は稀有であろう。