『ハート・ロッカー』や『クローバーフィールド HAKAISHA』と同様、
フィルムではなくビデオカメラ(Red One)での撮影による荒い画質の画面でリアリティを出すことを狙っていて、
上手く出来上がっていた。
『アバター』と比べると、
VFXにかけているお金ははるかに少ないと思うが、
『アバター』の映像の質感が「ツルっとした」「のっぺりした」CGっぽさを結果的に払拭出来なかったことと比べると、
『第9地区』のザラザラ&ブレブレ画面の方が成功していると思う。
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『第9地区』から連想した映画は、
『ザ・フライ』、『蝿男の恐怖』、『鉄男』、『AKIRA』、『天空の城ラピュタ』など。
それらを連想したことは何も問題ないのだが、
それらが揃いも揃ってコテコテのエモーショナルで強烈な見せ場の映画だったことを思えば、
『第9地区』は見せ場の派手さでは負けてないものの、
エモーションでは遥かに劣っていた。
その理由は、
四つ巴の戦いを繰り広げているその各々の誰もが、
戦う動機がきちんと描かれていないので、
何のために戦っているのかが実感しにくいから。
『第9地区』は、観ていて荒っぽい印象を受ける映画で、
演出が荒っぽくても構わないのだけど、
登場人物の心情だけは丁寧に描いていたら、
もっと彼らの身になって燃えながら観られる映画だったんじゃないかと思うと、
とても残念。
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映画の舞台が南アフリカであることから、
アパルトヘイトと関連付けて差別問題を扱った社会的な映画かといえば、
そこまでドラマ的に深い映画ではない。
そもそも、「人間同士」だから「差別」だと言えるのであって、
「人間と宇宙人」となると関係性が変わり「差別」とは言えないことも考えられるので、
それすらも「差別」と混同されかねない設定は、
社会派映画とするなら避けるべきだろう。
(以上、劇場公開時に書いた感想に、若干の手直しをした文章)
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【基本情報の訂正】
メディアタイプがフィルムとなっているが、
クレジットで”Red One”と表示されているし
IMDbには「Phantom HD / Red One / Sony PMW-EX1」と記述されているので、
「メディアタイプ=ビデオ」が正しい