この作品を戦争映画としてだけ鑑賞するのは勿体ないのかもしれない。戦場の非人道性、人間性の喪失、反戦映画、戦争に正当性はあるのか、勝者の不在etc…、それもあるけれどそれだけでこの映画を判断していいのだろうか。公開当時、実際の戦場とのリアリズムで物議をかもしたようだが、わざわざドキュメンタリー調に作ってあるが実はリアリズムは二の次だ。
この映画に描かれているのは依存していく人の姿だ。ほとんどの人間は主人公が息子に語ったように、人生をかけて「大好き」なものを持つことは少ない。人生を壊してまで追い求めるものを持つことは少ない。それを生きがいというか依存というか「中毒」というかは所詮他人だ。戦争映画としてだけでなく楽しめた。