死刑執行人もまた死す

しけいしっこうにんもまたしす|HANGMEN ALSO DIE|HANGMEN ALSO DIE

死刑執行人もまた死す

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レビューの数

39

平均評点

79.3(176人)

観たひと

241

観たいひと

21

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル 戦争
製作国 アメリカ
製作年 1943
公開年月日 1987/12/19
上映時間 134分
製作会社 ユナイト映画
配給 ケイブルホーグ
レイティング 一般映画
カラー モノクロ/スタンダード
アスペクト比 スタンダード(1:1.37)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 モノラル

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

第2次大戦中のプラハを舞台に、ナチスに追われるレジスタンスの恐怖を描く。監督は「メトロポリス」のフリッツ・ラング、エグゼクティヴ・プロデューサーはアーノルド・プレスバーガー、原案・脚本はベルトルト・ブレヒトとラングの共同で、脚本のみでジョン・ウェクスリーが参加している。撮影はジェームズ・ウォン・ホウ、音楽はハンス・アイスラーが担当。出演はブライアン・ドンレヴィ、ウォルター・ブレナンほか。オリジナル版は120分。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

第二次大戦中、ドイツ占領下のプラハで“死刑執行人”とあだ名されるナチの総督が暗殺された。マーシャ・ノヴォトニー(アンナ・リー)は怪しげな男を目撃したが追ってきたナチには別の方向へ逃げたと証言した。その夜、ゲシュタポに追われる犯人の医師フランツ・スヴォボダ(ブライアン・ドンレヴィ)はマーシャ一家が住むアパートに身を隠した。マーシャは教授の父(ウォルター・ブレナン)、母(ナナ・ブリアント)、弟のボタ(ビリー・ロイ)と住んでいて、ヤン・ホレック(デニス・オキーフ)というフィアンセがいた。ゲシュタポは対抗措置として市民の逮捕・連行をはじめ、教授を連れ去った。そしてチャカ(ジーン・ロックハート)という男を収容所の市民たちの間にまぎれ込ませ情報を取ろうとした。マーシャは父の件でスヴォボダに自首するように頼みに行くが断られる。意を決したマーシャはゲシュタポ本部に向かうが、途中でレジタンスや市民に妨害を受け罵られる。鎮圧に来たゲシュタポに連れられて本部に来たマーシャだったが、通報せず父の無実を訴えた。その言動にゲシュタポは不審を抱く。ゲシュタポは見せしめに、連行した市民たちを毎日3人ずつ処刑しはじめる。連行者のリスト作成に協力したのはチャカであった。やがてレジスタンスの重要メンバーがレストランに集まる日が来た。そこにゲシュタポが乱入、メンバーを殺害するなどしたもののリーダーのデディッチはとり逃した。ゲシュタポはただちに日頃マークしていたスヴォボダの家に捜査に向かった。負傷したリーダーを匿っていたスヴォボダはマーシャとの情事の最中を装い追求をかわすが、主任、グリューバー(アレクサンダー・グラナッハ)は現場にホレックを連れてくる。翌日、マーシャとスヴォボダはレストランに行く。彼女はそこでナチの地区司令官暗殺の犯人はチャカだと告発し、ナチは彼を連行する。チャカはレストランで食事をしていたと証言、だがレストランの人々は彼はいなかったという。他にもチャカのアリバイを崩す証言が次々と出てくるのだった。チャカのアリバイはグリューバーが握っていた。その頃ホレックの部屋に居座っていたグリューバーはスヴォボダとマーシャの偽証に気づく。阻止しようとしたホレックを打ち倒しグリューバーはスヴォボダの勤める病院に向かう。そこでグリューバーはスヴォボダに殺される。ホレックによりグリューバーがチャカの家に向かったと通報を受けたナチは、チャカの家に捜査に出向く。否定するチャカを余所に彼の執事は確かにグリューバーが訪れたと証言する。そして書斎からは総督暗殺に使われた拳銃が、地下室からはグリューバーの死体が発見されるのだった。二重スパイとして連行されたチャカをナチは街中で釈放しその場で射殺する。チャカを暗殺犯に仕立て上げるプラハ市民たちの作戦は成功したが、ノヴォトニー教授を含め多くの連行者は結局処刑されてしまった。そしてベルリンからは、ナチの威信のためにチャカを犯人にするようにという指令がプラハ占領本部に届くのであった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1988年3月上旬号

外国映画批評:死刑執行人もまた死す

1988年2月上旬号

外国映画紹介:死刑執行人もまた死す

1987年12月下旬号

グラビア:死刑執行人もまた死す

2025/03/30

2025/03/30

82点

VOD/Amazonプライム・ビデオ/レンタル/テレビ 
字幕


決して降伏はしない(No Surrender)

『死刑執行人もまた死す』
(Hangmen Also Die! )
Arnold Productions
ユナイト
USA
1943
(Amazonプライム・ビデオ)

「ナチス・ドイツ占領下のチェコ(ベーメン・メーレン保護領)で1942年に実際に起きた、ナチス・ドイツのベーメン・メーレン副総督、ラインハルト・ハイドリヒの暗殺事件「エンスラポイド作戦」から着想を得ており、反ナチ・レジスタンス映画の屈指の傑作とされる」(Wikipedia)

「5時半か。きっかり30分後に最初の人質40人を処刑する。お父上は含まれていない。今朝はな」

「時は来た愛国者よ。行動の時だ。
燃やした心の炎
次の者に渡せ
炎を燃やし続けろ
道はまっすぐ伸びている。
命をかけるんだ。
決して降伏はしない(No Surrender)」

「残念だがゲシュタポの犬は引退できないのさ」

「息子よ。これから言うことを大人になったら思い出せ。
その頃は侵略者を追い出して、かなりの年月が経っている。そこは自由の国で民衆が自ら統治している。素晴らしい時代だ。老若男女問わず、国民の全員が食料に困らず、自由に書物を読み考え、そして語り合える時代だ。しかし忘れてはならない。自由とはモノのように所有できるものではなく、カネでは買えない。自由は勝ち取るものだ。私を思い出す時は、父親としてではなく、自由のために戦って死んだ男だと思え」

ナチスの幹部ハイドリヒ副総督が亡命チェコ政府と英国情報部によって送り込まれたチェコ人レジスタンス二人によって暗殺されたのは1942年5月27日。

この映画がアメリカで公開されたのは1943年3月23日。暗殺事件から約一年で製作公開された。そして公開された時、まだ連合軍とナチス・ドイツとの戦争は終わっていなかった。

だからエンドタイトルは「NOT THE END」となっている。

まだ戦争が続いている状態で製作された熱気が伝わってくる。

映画の中の暗殺犯は外科医。1人で襲撃して拳銃で暗殺した。(暗殺場面は描かれない)

レジスタンスの助けを借りてゲシュタポの追跡から逃れる。ナチスはチェコ人を問答無用で逮捕し人質にする。暗殺犯が自首してこなければ人質を毎日処刑すると発表する。(史実では1万3千人が処刑された)

映画ではレジスタンス達はゲシュタポに対抗して、遂にはゲシュタポが送り込んだ内通者を逆に犯人に仕立て上げる。

ベルトルト・ブレヒトが参加した脚本が面白い。前の年に公開された『カサブランカ』と同じ様にナチスに占領された国を舞台にして非占領国にエールを送る戦意高揚映画ではある。

しかしプロパガンダ色は薄く民主主義を守る為に戦うチェコ国民がもし観たらとても励まされたのではないかと思った。

2025年現在、ロシアがウクライナを占領しようと始めた戦争は開戦から3年目を迎えた。ハマスに千人の国民を誘拐された為ガザ地区を空爆するイスラエルは子供を含めパレスチナ人を五万人殺害した。

ホロコーストの被害者であるユダヤ人国家がパレスチナ人を地上から抹殺しようとしている。

今も独裁国家が人間を虐殺し続けている。そしてこの映画が製作された当時、民主主義の盟主だったアメリカは独裁的な大統領が人権と民主主義を破壊しまくっている。なんと世界は様変わりしてしまったことか!

2024/03/07

2024/03/07

93点

VOD/Amazonプライム・ビデオ 
字幕


影の演出が光る

時代背景が終戦前というのが恐ろしいが、ドイツから亡命したラングが祖国を敵にこのような映画を撮ること自体に大きな価値がある。ちなみに日本での初公開は1987年。

プラハ侵攻したナチスの死刑執行人ハイドリヒが登場する緊迫したシーンから始まる。手元の鞭を落とし拾わせる。このわずかなシーンだけでハイドリヒという実在の人物(公開前年38歳で暗殺)を描く。しかしハイドリヒは映画の冒頭で暗殺されてしまう。地下組織の暗殺者とその人物を無意識に匿った女性を軸とする物語。

レジスタンスとゲシュタポに第三のエミール・チャカ(EC)をスパイにして物語を面白くする。ゲシュタポが暗殺者が見つかるまで次々と市民を死刑にする過程で、医師である暗殺者が名乗り出るべきか逡巡し、彼を匿ったマーシャという女性の苦悩と勇気がこの映画のテーマだ。そして彼女とその家族、そして組織のプラハ人たちがゲシュタポに屈することなく戦う姿勢を示すシーンに強い感動を覚える。

ラング演出は際立っていて、特に影の使い方が恐ろしい。ゲシュタポの聞き取りで、人物の横に化け物のような影を配置するシーンや、マーシャの父親が射殺されるシーンで、横から影が次々に倒れるシーンなど、見どころ満載の映画である。

最後はスパイのエミールをレストランで罠にかけるが、このシーンに至るまで音楽は一切使われない。レストランで演奏する音楽だけが唯一のシーンで、ここでマーシャとエミールの会話は聞こえない。しかしこのマーシャの勇気ある行動で、エミールを暗殺者として陥れるプラハ市民の団結力が示される。

このようなことが実際に起こりうるかどうかはこの際問題ではない。決して降伏せず、自由を勝ち取るという強い意思を示すことがこの映画の価値なのだと思う。

そして「The End」の前に大きく「NOT」という文字を示したのは、まだ戦争が終わっていないことを示している。

2023/07/27

2023/07/27

25点

選択しない 
字幕


猿でも分かるナチ

悪役は悪役らしく振る舞い、御都合主義が主人公側を優しく包んで難局を乗り越える。おまけに言語は英語。
お手本のようなつまらないハリウッド商品。

2023/07/24

2023/07/24

81点

VOD/Amazonプライム・ビデオ/レンタル/テレビ 
字幕


スゴい映画!その一言。

実はブレヒトってまったく読んでこなかった。もちろん芝居も観たことない。数週間前に初めて「第三帝国の恐怖と悲惨」を読んだだけ。
この映画を見ながら思い出すのは、ルビッチ《生きるべきか死ぬべきか》である。あちらはポーランド、こちらはチェコが舞台。

後略

2023/03/15

2023/03/16

80点

VOD/GyaO!/レンタル/PC 
字幕


ナチスに抵抗するチェコスロバキアの人々を描く群像劇。
昔の映画だが、ゲシュタポが今でも十分恐ろしく描かれており、全編にみなぎる緊張感が半端ない。
多くの登場人物が登場し、複雑なプロットだがスリリングな展開に隙がなく、
レジスタンスとゲシュタポの攻防戦がすごい。

2022/11/11

2022/11/11

80点

選択しない 


この時期に!

1943年製作ということに驚き。アメリカにいたラングだからこその映画ですが、ナチス高官の暗殺の場面は一切出さずにその後の展開をスリリングに見せる手腕はさすがです。残虐なナチスに対し抵抗する市民の強い意思を描いた(ちょっと荒唐無稽な部分はありながら)名画。