千年の祈り

せんねんのいのり|A THOUSAND YEARS OF GOOD PRAYERS|A THOUSAND YEARS OF GOOD PRAYERS

千年の祈り

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レビューの数

7

平均評点

68.4(29人)

観たひと

53

観たいひと

1

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 アメリカ 日本
製作年 2007
公開年月日 2009/11/17
上映時間 83分
製作会社
配給 ザジフィルムズ
レイティング 不明
カラー カラー/ビスタ
アスペクト比 アメリカンビスタ(1:1.85)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 ドルビーSRD

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督ウェイン・ワン 
脚本イーユン・リー 
原作イーユン・リー
(短編「千年の祈り」(新潮社刊 新潮クレスト・ブックス「千年の祈り」所収))
エグゼクティブプロデューサー小谷靖 
孫泰蔵 
ジョーイック・リー 
プロデューサー木藤幸江 
リッチ・コーワン 
ウェイン・ワン 
撮影パトリック・リンデンマイヤー 
美術ヴィンセント・デ・フェリーチェ 
音楽監督ディーヴァ・アンダーソン 
デルフィン・ロバートソン 
音楽レスリー・バーバー 
編集ディアドレ・スレヴィン 
キャスティングトッド・テーラー 
フィリップ・ホフマン 
字幕関美冬 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

数々の賞を受賞したイーユン・リーの小説を映画化。中国で暮らす父親が、離婚してアメリカで生活する娘の元を訪れ、疎遠になっていた2人が親子として再生する姿を描く。監督は「スモーク」でベルリン映画祭国際批評家連盟賞のウェイン・ワン。出演は「2012」のヘンリー・オー、「ジョイ・ラック・クラブ」のフェイ・ユー。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

妻に先立たれながらも、高齢者向け料理教室に通うなど、北京で引退生活を楽しむシー氏(ヘンリー・オー)。彼の唯一の気がかりは、離婚してアメリカで一人暮らしを送る娘イーラン(フェイ・ユー)のこと。行く末を心配したシー氏は、アメリカを訪れ、親子は12年ぶりの再会を果たす。だが到着早々、娘の生活に面食らうシー氏。殺風景な部屋から朝食も食べずに出勤し、帰宅も夜遅い。夕食を作って帰りを待っても、イーランはお愛想程度に箸をつけるだけ。父の話には笑顔すら返さない。2人の間にはあるのは、沈黙だけだった。それでも昼間は、ロケット工学者だった現役時代の話をして近隣の住人たちと積極的に交流するシー氏。やがて、公園で知り合ったのは裕福なイラン人マダム(ヴィダ・ガレマニ)。カタコトの英語に、互いには分からない中国語とペルシャ語の会話だったが、シー氏とマダムは心を通わせていく。イーランの再婚を願うシー氏はある日、離婚の真相を問いただすが、不機嫌に突っぱねられてしまう。それをマダムに話すと、医者の息子との暮らしを幸せそうに語っていた彼女もまた、戦争で娘を亡くした辛い体験を打ち明けるのだった。だがある日、マダムが突然いなくなる。息子夫婦が生まれたばかりの孫の世話をさせたくないと、彼女を老人ホームに入れてしまったのだ。さらにシー氏は、イーランが見知らぬロシア人男性の車で帰宅する姿を目撃。その男との関係が離婚の原因だったことを知る。娘が夫に捨てられた犠牲者だと思い込んでいた父には、思いがけない事実だった。だが、イーランにも許せない父の嘘があった。“工学者じゃなかったでしょ。皆、あの女の人のことも知っていたわ”打ちひしがれる父の姿に言葉を失くす娘。そして、シー氏の告白が始まる。時代に翻弄され、家族を守るために夢を諦めながらも、懸命に歩んできた人生。その最後に、全てを明かして、初めて娘と向き合おうとする告白が……。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2009年12月上旬号

REVIEW 外国映画:「千年の祈り」

2009年11月下旬号

インタビュー:ウェイン・ワン「千年の祈り」監督・プロデューサー

2016/03/18

2016/03/26

70点

選択しない 


肉親を思う姿

ネタバレ

 老いた父とその父への反感を抱えたままアメリカで生活している娘との物語で、親娘間の葛藤という普遍的な題材を扱った映画だ。映画の舞台が多くの人種が蠢くように暮らしているアメリカであるだけに、ますます中国映画らしさは薄まってくる。ただこの映画が中国映画であるということを我々に気がつかせてくれるエピソードがこの老父が過去に経験することになった事件なのだ。映画はそれを親娘の関係に亀裂が走りかけた終盤になって私たちにそっと語りかけてくる。自らのロケット工学者の道を断念させられたつらい過去には共産主義体制独自の寛容のなさが浮き彫りにされる。そうはいってもこの老父にはすばらしき共産主義思想が身にしみているらしくその体制の素晴らしさを周囲に語って聞かせたりしている。そんなところにも人間の哀しさが立ち上がる。
 自分が幼い時には会話もなくさらに自分の身分さえ隠していた父に対してわだかまりを抱えていた娘はあえて潔癖な父に逆らうように前夫とは別れ、なおかつロシア人と不倫を続けている。そんな娘にはじめて父は過去の出来事の真実を告白する。二人の関係がいくばくか修復されたであろうことは列車に揺られながらアメリカを旅する老父の眼差しから伺えよう。世の父にとって娘に幸せになってもらいたいと思う気持ちは万国共通なのだ。

2010/02/14

2015/04/17

65点

映画館/東京都 


わだかまり

監督はウェイン・ワン。
群像劇の『スモーク』が代表作だと思うが、コメディなんかも得意な才人監督。
今回は、中国人父娘をわだかまりを静謐に表現した映画を撮った。

主役は中国人の父と娘。
娘は結婚してアメリカ北西部の町スポーケン在住、先頃、中国人の夫と離縁した。
父はロケット工学の技術者。
娘を心配して、アメリカまでやって来た。

ひとが行き交うことも少ないアメリカ北西部の町。
父と娘も交わす言葉がない。
娘の行状を慮って父親は何かと世話を役のだが、娘には重荷に感じる・・・

ひととひととは通じづらい。
父と娘であっても。

そんな小さな物語を、ウェイン・ワン監督は巧みに、丁寧に描いていく。

父と娘が初めて交わすアメリカでの食卓。
アメリカ風のトマトと煮込んだ鶏の煮込み。
中華鍋さえない娘の台所。

密かに入った娘の部屋で見つけたマトリョーシカ。
中味の人形が男と女が交互に入れ込んである・・・
友だちと夕食を共にするといいながら、独り映画館で映画を観る娘。

話を交わす知人も上手く見つけることができず放浪する父親。
公園のベンチで見つけたマダム。
マダムの言葉も英語でもなく、中国語でもなく、でもカタコトの英語で「気持ち」だけは通じ合う。
マダムは、実は、イランからの移民。

複雑なアメリカの様子、チャイニーズ・イン・アメンカの様子を簡潔に描き出していく。

父と娘のわだかまりも、映画終盤に簡潔に描かれる。
ドラマを求める観客からすれば、肩透かしのような感じだろうが、淡々と語る父親と自ずと父親の語りを聞いてしまう娘の図など、とても映画的に感じる。

こういう静謐な映画が好みなので、ちょいと点は甘くなってしまいます。

2010/01/10

2014/06/09

60点

映画館 
字幕


淡々とした中に繊細な感情を表現

ウェイン・ワンの新作。中国から離婚した一人娘が心配でやって来た父親と娘のお話しで、元々あまり話す親子ではなかったので、お互いに言うこともやることもすれ違い、後半になってようやくお互いの気持ちがちょっとだけわかったような感じになる。取り立てて何にも起こらないような映画ですが、その淡々とした描写の中に繊細な感情が表現されているのがとてもいいですね。

2009/10/29

2014/05/13

-点

その他/試写会 
字幕


何か事件が起こるでもなく、
ゆったりとした雰囲気で話が流れていくようにすすむので
度々ウトウトしてしまった。
しかも終盤ででおお、ここからだな!という肝心な場面で眠気が襲ってしまった。
今まで静かで、親子の距離感の重さを感じるものだったが
ラストの娘の笑顔と列車に乗っている父の姿が爽やかで余韻のある終わり方だった。
なので、これはいい映画だったんだな・・と思い、
ウトウトしてた30秒くらいの間が悔やまれてならない。
あとで同行者に話を聞きなるほど~、と思い、
チラシを読み返してまたじわっと余韻です。

2013/06/07

2013/06/09

64点

テレビ/有料放送/WOWOW 


米-中版「東京物語」

25年前にフィルム・ノワール作品「スラムダンス」を撮った同じ監督の作品とは思えない。静かに淡々と語られる、いわば米-中版「東京物語」。人生の哀しみを経験してきた大人の物語です。

2013/02/03

2013/02/04

74点

テレビ/有料放送 


幸せな人はそんなに無口なわけない

 父と娘というのは、微妙なものです。娘にとっては、同じDNAを持った、最初に出会う”男性”です。母と息子ほどの生理的な濃さはないにしろ、愛情と尊敬と近親感と、そして時に”憎しみ”・・・といった感情は、それからの人生における”男性”を見るときの大きな指標となることに違いありません。私にも娘がいますが、きっと父親とは全く似ていない男性を”伴侶”にすることでしょう。
 で、この作品は、アメリカで離婚をし一人暮らしをしている娘が心配で、北京からその娘のもとを訪ねる老いた父親の姿が描かれています。
 気まずい空気が二人の間には流れます。父親は、ほとんどしゃべらない娘に「不幸せなのか?幸せな人はそんなに無口なわけない。」といい、娘は「お父さんも昔は無口だったわ、不幸せだったの?」とやり返します。
 それでも、互いにこれまで語ってこなかった心情を吐露することで、ふたりはわかり合うきっかけをつかみます。

 当然、年齢的にいっても、私は”父親”の心情から観ていたわけですが、”わかるなあ”という部分が多くて、身につまされる作品でした。