ご縁玉 パリから大分へ

ごえんだまぱりからおおいたへ|Goendama|GOENDAMA

ご縁玉 パリから大分へ

レビューの数

2

平均評点

60.0(5人)

観たひと

8

観たいひと

0

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドキュメンタリー /
製作国 日本
製作年 2008
公開年月日 2008/12/20
上映時間 72分
製作会社 Inter Bay Films=「GOENDAMA」製作委員会2008
配給 パンドラ
レイティング
カラー カラー
アスペクト比
上映フォーマット
メディアタイプ ビデオ 他
音声 ステレオ

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督江口方康 
撮影江口方康 
ステファン・パティ 
音楽エリック-マリア・クテュリエ
(「バッハ無伴奏チェロ組曲」他)
録音二コラ・ベルテロー 
音声ジャン-リュック・ペアール 
編集渡辺政男 
キーグリップ友久哲也 
製作統括上野智男 
オペレーター岸本幸久 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

必然が偶然を呼び、偶然が必然を呼ぶ―長篇ドキュメンタリー「ご縁玉 パリから大分へ」は、大分で『いのちの授業』を続けてきた山ちゃんこと山田泉(元・養護教論)と、ベトナム孤児としてフランス人の養父母に育てられ、今や国際的に活躍するパリのチェリスト、エリック-マリア・クテュリエの交流を描いた作品。エリック-マリア・クテュリエ(35歳)は、パリ旅行中の乳ガンを患う山ちゃんから渡された五円玉に引き寄せられるように、山ちゃんの住む大分へ旅立つ。山ちゃんはガンが再発してから『いのちの授業』で、命の大切さを子供たちが考える場を作ってきた。1枚の五円玉がもたらした縁が、チェロの音色や大分の自然とともに観ているものの胸を響かせる。限りある命だからこそ生まれた、やさしさに満ちた愛の実話。監督は三池崇史監督のもと「交渉人 真下正義」「ゼブラーマン」の助監督を務め、ドキュメンタリー『ロストロポーヴィッチ -75歳- 最後のドンキホーテ』に携わった江口方康。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

※本作はドキュメンタリーのためストーリーはありません。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2009/11/23

2019/12/03

65点

その他/清水市民文化会館 


君をのせて

フランスのチェリスト、エリック-マリアと、乳ガンの山ちゃんこと、山田泉さんとの交流が描かれていく。エリックはフランス人といっても、外見は日本人みたい。ベトナムの孤児だった彼は、フランス人に引き取られたようだ。

共通の友人を通じて知り合った彼ら。エリックは遥々日本の山ちゃんの家まで来て、チェロを演奏してくれる。また、病院や孤児院を廻り、演奏会もしてくれた。彼がこの日の為に覚えてくれた曲は『天空の城ラピュタ』の「君をのせて」。日本語で歌いながらの演奏に、涙を流す子供たちが印象的だった。久石譲の名曲が、名チェリストの、心の籠った演奏で、一段と素晴らしく、胸に響く。

エリックの演奏が、とにかく美しい。車椅子の老人も、エリックの手を握って、演奏に感謝している。また、山ちゃんの為には、癒しの演奏だ。山ちゃんのお腹の上にチェロを乗せて弾く。その振動で何か効果があるのだろうか。演奏後、山ちゃんは、とても気持の良さそうな様子だった。

エリックはベトナムの孤児。同じような顔立ちの、日本人には、どこかルーツを辿るような、親近感を感じているようだ。彼が日本に来たのは山ちゃんとのことだけではなく、何か別の“縁”もありそうだ。縁がありますようにと、山ちゃんから渡された「五円玉」を「ご縁玉」とする。

この映画を撮り終えた後、2008年11月、山田泉さんは他界された。

2009/12/06

2015/04/15

65点

その他/ホール上映 


どんなご縁で・・・ご縁とは、気持ちのやりとり

山ちゃんこと山田泉さんは乳がんに罹っており、最後の海外旅行に選んだパリで、チェリストのエリック・マリアと知り合います。
知り合ったのも何かの「ご縁」。彼女はエリック・マリアに五円玉を記念に渡します。

山ちゃんの病の重いことを知ったエリック・マリアは、才能豊かで年間150近い演奏を行う過密スケジュールを排して、彼女の住む大分へ遠路お見舞いに出かけます。

こう書くと、ただのお見舞い、お泪満載のドキュメンタリーかと思われるかもしれませんが、さにあらず。

エリック・マリアと出逢ったのも何かの縁、お見舞いに駆けつけてくれたのも何かの縁。
縁はつながる、と感じたのでしょうか、彼女は自分の大切なひとたちにエリック・マリアを引き合わせます。

山ちゃんが「いのちの授業」を何度も行ってきた、事情ある子供たちが暮らす施設。
エリック・マリアが訪れる数日前まで入院していたホスピス。

施設の子供たち、ホスピスの患者たちの前で、エリック・マリアはチェロを弾きます。
心を穏やかにする音色、癒される音の調べ。
チェロが奏でる音楽に聞くひとびとは図らずも泪します。
バッハの「無伴奏チェロ組曲第一楽章」。
子供たちのために覚えてきたという『天空の城ラピュタ』の主題歌。
エリック・マリアは日本語の歌詞を添えて、チェロを奏でます。

そして、山ちゃんが住む街の山寺の住職。
エリック・マリアが生まれた頃、戦争が激しかった頃のベトナムへ行ったという老住職。
その口からこぼれる言の葉は、「ひとは大地の子」。
国境や人種や宗教やなんかで区分できない、ジョン・レノンの「イマジン」にあるように。

エリック・マリアは日本を離れる際、次のように気づく。

「探していたものは見るからなかったが、新たなことが見つかった。
 ひととひととの気持ちのやりとり、こころのやりとり。
 それが、ひととひととの、いのちのやりとり」

彼が探していたものは何だったのかは、よく判らないが、見つけたものは、よく判る。

これも何かのご縁で。
袖摺り合うも他生の縁。

無理やりつながりを探さなくても求めなくても、そこいらへんから、自ずと出来てくるものなのだ。

押し付けがましくなく、すぅーっと心にはいってくるような、そんなドキュメンタリーの秀作です。

なお、エリック・マリアが出会う老住職は『全国こども電話相談室』で有名な無着 成恭(むちゃく せいきょう)。
久し振りに名前と姿を拝見しました。