原題"WALL-E"で、主人公のロボットの名、ウォーリー。
29世紀の地球…というかニューヨーク。汚染により、人間が地球を捨てて宇宙に脱出してから700年という設定。環境汚染に警鐘を鳴らすというよくあるSFストーリーのピクサー・アニメーション・スタジオ製作3Dアニメーション。
主人公のウォーリーはニューヨークにただ一体残ったお掃除ロボットで、金属ゴミを集めては立方体に潰し、摩天楼のようなゴミの山を築いている。そのウォーリーが孤独を癒す楽しみは、ゴミの中から見つけたミュージカル映画『ハロー・ドーリー!』(1969)のビデオ。登場人物たちが手と手を繋いで踊るシーンがお気に入り。
そこに降り立ったのが700年前に地球を脱出した宇宙船から派遣された調査ロボットのイブ(EVE)。映画のようにイブと手を繋ぎたいウォーリーが、ゴミの山の下から見つけた1本の草をプレゼント。イブがこれを体内に収容した途端、停止。宇宙船に回収されてしまう。
イブの調査の目的は地球が生物の住める状態に回復したかで、この判定により世代を経た宇宙船の人間たちが地球に帰還することになるが、『2001年宇宙の旅』(1968)のHAL9000よろしく、コンピュータのAUTOが反乱を起こす。
ウォーリーとイブの活躍で人々が無事地球に帰り、やがて緑が復活するところで物語は終わるが、手を繋ぐことがストーリーの鍵となっていて、無機物も有機物も友愛を結ぶきっかけとなっていく。
みんな手でを繋ごう、そしてみんなの地球を守ろう、というわかりやすいテーマだが、いささか凡庸すぎて、テーマの古さは否めない。
台詞がほとんどなく、サイレント映画を見ているような感覚だが、世界観の美術が面白い前半はともかく後半に入るとストーリーが月並みに退屈になる。