8 1/2(完全修復ニュープリント版)

はっかにぶんのいちかんぜんしゅうふくにゅーぷりんとばん|Otto e Mezzo=Huit Et Demi=Eight and a Half|EIGHT AND A HALF

8 1/2(完全修復ニュープリント版)

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レビューの数

40

平均評点

78.1(199人)

観たひと

301

観たいひと

49

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 イタリア
製作年 1963
公開年月日 2008/7/12
上映時間 138分
製作会社
配給 ザジフィルムズ
レイティング 一般映画
カラー モノクロ/ビスタ
アスペクト比 アメリカンビスタ(1:1.85)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 モノラル

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

「甘い生活」で知られるイタリアの巨匠フェデリコ・フェリーニが、自分自身を投影した映画監督を主人公に、新作の製作に苦悩する姿を描いた作品。主人公を取り巻く現実と幻想を自在に交差させる演出で注目を浴び、アカデミー賞外国語映画賞を受賞。主人公グイドを演じるのは「甘い生活」で脚光を浴びたマルチェロ・マストロヤンニ。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

43歳の売れっ子映画監督グイド(マルチェロ・マストロヤンニ)は、過労のため湯治場を訪れていた。この地方で新作の撮影準備を進めてから5ヶ月。だが、構想のまとまらない彼はすでにクランクインを2週間も延ばしていた。彼の元には進行状況を気に掛けたプロデューサー、脚本家、俳優など、多くの人物がやってくる。しかし、その対応に追われて気の休まらない彼は混乱し、一向に映画の構想をまとめることが出来ない。彼の元を訪れた愛人のカルラ(サンドラ・ミーロ)も、彼の混乱に拍車を掛ける。彼の思いをよそに、周囲では着々と映画の撮影準備が進行していく。しかし、現実から逃げるように彼の頭には子供の頃の思い出ばかりが浮かんでくる。両親や兄弟に囲まれて幸せだった幼少の頃、娼婦とダンスをして罰せられた神学校時代…。その一方で、気分転換にグイドは妻のルイザ(アヌーク・エーメ)をロケ地へ呼び寄せる。しかし、彼女に浮気の事実が発覚し、2人の間は険悪になってしまう。カルラとルイザの間で板ばさみになったグイドは、女たちに囲まれたハーレムのような生活を夢想するのだった。相変わらず、グイドはオーディションを行っても配役を決定できないでいた。ルイザにも愛想を尽かされた彼は、かねてから出演を依頼していたクラウディア(クラウディア・カルディナーレ)と、その場から逃げるようにドライブに出かける。だが、心の中を見透かされ、彼女にも相手にされない。そして、いよいよ迎えた撮影初日。だが、混乱したままで記者会見にもまともに対応できないグイドのせいで製作は中止に。解体の決定したオープンセットを立ち去ろうとしていたそのとき、グイドの中で何かが変わる。混乱した自分の人生をあるがまま受け入れると決意したことで、彼は立ち直ってゆくのだった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2008年6月上旬号

DVDコレクション:第354回 「8 1/2」

2024/02/21

2024/02/22

90点

VOD/Hulu/購入/テレビ 
字幕


空間や時間を超越している。

映画という芸術が、嘘や真実・夢と現実など、同じ状況には存在し得ないものを、空間や時間を超越して、その境界を無くすことに成功した作品だと思います。

2024/01/15

2024/01/15

82点

テレビ/有料放送/WOWOW 
字幕


破茶滅茶な映画監督生活をユーモアたっぷりに皮肉る

ネタバレ

映画監督って憧れだけど、商業映画製作だとこうなるんだろうぁ、という現実を見せてくれた。軽妙な語り口で、最後まで面白く魅せるのが素敵。「道」もとてもとても心を揺さぶられたけど、こういう語り口の方が肩の力が抜けた粋な親爺感があり、良いかも~

備忘メモ:
上手く映画製作に着手出来ず、もがき苦しむ著名映画監督グイド(マルチェロ・マストロヤンニ演じる)のシビアな現実と夢想逃避を描く。実際の名だたる監督達がら絶賛されている作品なので、まさに映画監督の「あるある」が凝縮された作品なのだろう。

マルチェロ・マストロヤンニの演技が冴える。「ひまわり」では、どうも過剰演技と私は感じたが、当作品では素な感じで、しかも、シニカルさと少しずれた笑えないながらも場を緩めるユーモアを感じさせる演技で「お~、こういう演技が出来るんだぁ」と感心した。この雰囲気は映画全般を覆っており、深刻な内容と絶妙なバランス加減で、最後まで観客を安心させて映画に向かわせていた。こういう作風がフェリー二&当作品が愛される理由なんだろうなぁ。(「道」は深刻過ぎたけど)

脚本に自信がなく(他の人が書いたのか、自作かは分からなかった)、友人の脚本家に見せたら酷評され、イライラは頂点に。
せっかく温泉で心身を休めようとしても、映画関係者勢ぞろいで、どんな治癒するかもベルトコンベア式。これじゃあ、休まらん。
大物女優をとりあえず確保したけど、脚本が定まらないので、役を与えられない。苛立つ女優達。綺麗どころが始終傍にいるので、ついついハーレムを想像しちゃう。
浮気相手が同行しているのに、なんと妻を呼び寄せてしまう。やっぱり、拠り所が欲しいのかな?でも、浮気はバレバレで、妻のシビアな言葉が突き刺さる。
あ~八方塞り。人生に切りを付けて、やっと解放された気分になるのでしたぁ~

2023/08/31

2023/09/01

89点

VOD/Amazonプライム・ビデオ/レンタル/テレビ 


産みの苦しみ。やっと観られた代表作

フェリーニの有名過ぎる作品やっとAmazon primeで観ました。

ストーリーは緩め、夢みがち。
解釈が人によって変わる映画なので、色々解説等観て、
自分の解釈と照らせ合わる、、、そんな映画でした。

2023/07/16

2023/07/15

90点

VOD/Amazonプライム・ビデオ 
字幕


漂う「死」の匂い

フェリーニの切り口のうまさ、芸術性が見事に結実した映画。最初の車が渋滞して主人公の映画監督が空に向かって飛んでゆく、そしてその足にロープがかかって・・・という変わったシーンから、映画は普段見たこともないような世界に誘う。

映画監督のグイドの孤独を描くこの作品。ジブリの鈴木敏夫プロデューサーが「監督になると友だちをなくす」と言ったとおり、この映画のマエストロは自分がそれまで得てきた人脈のすべてを自分の責任で崩壊させてしまう。映画監督の破滅を描く。

人物の会話の中にプラグマティズム(実用主義)やカトリックとマルクス主義、あるいは共産主義という言葉が飛び交うのは時代。1963年に公開されたこの映画の時代はときの冷戦時代。イタリアのファシズムは第二次世界大戦て日本やドイツとともに敗れ去ったが、その後のイタリアは東西冷戦構造の影でどちらともつかない中途半端な立場だった。そのこともこの映画監督、そしてフェリーニ自身の逡巡と重ね合わせている可能性があるのではないか。

映画の途中で部屋にヘンリー8世(「わが命つきるとも」でロバート・ショウが演じた)の肖像が飾られているが、アン王女(アン・ブーリン)を処刑し次々と女性を変えたときの王とこの映画のマエストロも重なる。男性中心主義的な社会で、この映画の主人公が後半になって次々と付き合いのある女性から好き勝手な要求を受けて混乱するが笑えない。「パウロの回心」(暴君パウロが悔い改める)もこの映画のセリフにちらりと出てくる。フェリーニは徹底してこのように伏線を張りめぐらせている。枢機卿と対面するシーンなどもこうした一連のシーンに重ねられている。

後半はもう映画が予算を使い、大きな足場を重ねたセットが立ち上がる前で記者会見する監督が自らピストルで死のうとするシーンなどで、もう彼に新作のアイデアがないことを示して終わってゆく。それを出演者全員で祝福するように終わるのだ。

映画館の中で死刑執行をするシーンは衝撃だ。映画が命がけで無駄な行為をしていることの象徴。ある意味でフェリーニは全てにおいて冷静だ。この映画も突発的にできた映画ではなく、彼自身が「死」を意識して作った映画であることが明らかとなる。「死」の匂いの濃い映画だ。

2023/03/23

2023/03/29

70点

映画館/東京都/新文芸坐 
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何だ、この高揚感

若い頃に観た時の事は、ラストくらいしか覚えていなかった。今回観直してみたら、構図や美術の素晴らしさに目が行った。廊下でグイドが一瞬タップを踏むシーンは最高だ。でも、さらに最高なのはやはりラスト。この高揚感は何なのだろう。人生全てがOK、肯定される。

2023/03/26

2023/03/26

-点

VOD/U-NEXT/レンタル/タブレット 
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人生は祭りだ

「人生は祭りだ。共に生きよう」
訳わかんねー...
これはもう「考えたら負け」の部類の作品。
そもそも人間とは動物の一種なのだから、理屈で割り切れない事象なんてごまんとある。
というか、そもそも理屈自体が人間という生物による後付けであって、不自然な存在なのである。
だからこの作品に対する最も自然な反応は「そういうこともあるよね、にんげんだもの(みつを)」なのだろう。
にも関わらずなぜこの作品が映画史に名を残し、フェリーニの代表作たりえているかと言えば、それはひとえに作品の題材が「人間誰しもが経験したことのある感覚」だからに他ならない。まして同業者である映画監督からすれば劇中のような悩みは日常茶飯事で、主人公グイド(演:マルチェロ・マストロヤンニ)の懊悩は痛いくらい共感できたに違いない。多分会社員もそうだよ。プロジェクトが全然進捗しなくて周囲から問い詰められたことなんていくらでもあるもの。
ただ、誰にでも作れる代物かと言われるとそこは流石フェリーニ、カットや配役の妙によってクソ展開が一気に宝石へと化ける。
特にグイドはマストロヤンニだからこそ成立しうる人物像。あそこまでカッコよくなければただのメンヘラクズ野郎ですよあんなの。

10年毎に観返すといいのかもしれない。
仮に40代の自分が観るとしたら、どんな印象を受けるだろうか?
その時まで祭りの中を、共に生きよう。