ビギンズも良かったがダークナイトはさらに面白い。ジョーカーの恐ろしさというのは本質をついている。人が追い込まれた時、人が欲求を際限なく求める時、人がどういう行動に走るかをよく理解していて、正義を振りかざす事の無意味さを証明しようとする。ジョーカーは本質をよく理解しているからこそ人が起こした行為の結果どうなるかをよく分かっていて、先の先を本能で読み切る。それはゴッサムシティの平和を破ろうとする者から単純に愚直に守ろうとするバットマンや警察組織にはあまりにも強大な敵となり得る。その強敵を追い詰めようとするあまりに多くの犠牲が出るし多くの損害が出る。また倫理的に問題のありそうな技術を駆使する事になるまで追いつめられる。ノーラン監督がバットマンシリーズでこのテーマを深く描こうとしているからこそダークナイトを含む3部作は本当に面白いものになっている。作品に出てくるマシンや技術のリアリティは言うまでもない。