ミスター・ロンリー

みすたーろんりー|Mister Lonely|MISTER LONELY

ミスター・ロンリー

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レビューの数

11

平均評点

66.1(93人)

観たひと

181

観たいひと

27

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ラブロマンス
製作国 イギリス フランス
製作年 2007
公開年月日 2008/2/2
上映時間 111分
製作会社
配給 ギャガ・コミュニケーションズ
レイティング
カラー カラー
アスペクト比
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

他人を演じることでしか生きられない男の、少し不思議でかなり不器用な姿を描いた、いとおしいほど純粋なラブストーリー。主人公・マイケルには「天国の口、終りの楽園。」のディエゴ・ルナが、その恋の相手・マリリンには「ギター弾きの恋」のサマンサ・モートンが扮している。監督は「ガンモ」のハーモニー・コリン。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

マイケル・ジャクソンとしてしか生きられない男、マイケル(ディエゴ・ルナ)。幼い頃から自分に違和感を覚え、別人になりたいと願った彼は、24時間365日、ずっとマイケルを演じることにしたのだ。仕事もマイケルのモノマネだから困ることは無い。英語しか話せないのに何故か住み着いたパリ。今日もストリートでマイケルのステップを披露するが、道行く人の反応は冷たかった。やがてマイケルは仕事で訪れた老人ホームで、マリリン・モンローのモノマネをするマリリン(サマンサ・モートン)と出会う。彼女はスコットランドの古城で仲間のモノマネ芸人たちと共同生活し、みんなで世界最大のショーを開こうとしていた。マリリンにたちまち恋をしてしまったマイケルは、彼女に誘われるままにスコットランドに向かう。そこで彼を出迎えたのはチャップリンやマドンナ、エリザベス女王やリンカーンなどになりきった人々だった。彼らはのどかな自然に囲まれた農場で鶏や羊を飼いながら自分たちの手で劇場を作っていた。そこで暮らし始めたマイケルは、とにかくマリリンのそばにいられるだけで幸せだった。やがて劇場が完成し、ついに地上最大のショーが始まった。精一杯芸に打ち込む一同。しかし観客の数は芸人の数より少なかった。失望と疲労に落ち込む一同をリンカーンが慰めた。しかし、陽気さを取り戻した彼らを更なる悲劇が襲った。マリリンが自殺してしまったのだ。悲しみを抱えたままパリに戻るマイケル。アパートでひとりぼんやりしているマイケルの耳元に、マリリンの声が聞こえてきた。「私には人生が苦しかったの。あなたは心を強く持って、諦めずに探し続けて」そのマリリンの言葉に励まされたマイケルは初めて「自分自身」として生きる決心をするのだった……。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2008年3月上旬号

劇場公開映画批評:「ミスター・ロンリー」

2008/03/12

2021/11/09

75点

映画館/東京都/シネマライズ 


シスター達のエピソードがどう関わるのかが分からない。

ネタバレ

映画は「Mr.Lonely」の曲から始まるのですが、
後から思うとこの曲調が
この映画を表していると思いました。

わたしなんか、
図らずもそのオープニングで早くも落涙に及びました。
(なんか、疲れてた?)


コミュニティの住人たちは、
モノマネ芸を演じているというより、
自分そのものを否定し、
その替わりに別人になることで
自分を満たそうとあがいている
としか見えませんでした。

そんな心を病んだ彼らが開催した
「地上最大のショウ」は、
フリークスショウ的な醜悪さしか感じられず、
それが俺を物悲しくさせました。

このことによって
この映画からわたしに伝わってきたものは、
じんわりとした悲しさ、
さみしさでした。

たとえるなら。
冬の晴れた日の午後、
日差しはまぶしいけれど、
体は寒さに震えるって感じ?


それにしても不思議な物語でした。
ものまね芸人達の共同生活風景も
十分奇妙でしたが、
それとは全く無関係な
シスター達のエピソードの挿入が
奇妙で仕方ありません。

信仰の力によって
奇蹟を起こしたシスターたちが
飛行機の墜落で無残に死んでしまうストーリーと、
別人になることで
何とか生きてきたマイケルが
自分に戻るストーリーとを
平行して語るからには、
制作者にとって
その両者に共通するテーマがあるのだと
思ったのだけど、
全く分かりません。


「性同一性障碍」という症名があるが、
マイケルは「自己同一性障碍」とでも言えばいいのだろうか?

2019/07/16

2019/07/17

60点

VOD/U-NEXT 
字幕


せつない

面白い風だったがそんなわけでもなかった。
でも嫌いではない。

マイケルはマイケルでなくなり、奇跡を信じたシスターは海に浮いている。
なんともいえない対比。

レオス・カラックスの新作はいつですかね?

2019/06/29

2019/07/02

-点

選択しない 


不思議味

ネタバレ

 何とも不思議な映画。マイケル・ジャクソンになりきるマイケルが本当の自分を見つけるまでの心の旅路、とでも要約すればよいのだろうか。
 パリから何故かスコットランドの山中の古城に移動、なりきり芸人たちの仲間に加わって「地上最大のショウ」を開こうとする。人妻のマリリンにほのかな恋心を抱くも所詮叶わぬ恋。悲恋の幕切れを迎える。
 一方では奇跡を信じるシスターたちのエピソードが並行して描かれる。彼女たちは奇跡を信じて飛行機からダイビングすることも厭わない。でもそんな彼女たちの乗った飛行機もついには墜落、死体が散乱するブラックなラスト。信仰の虚しさを絵で指し示すということは、マイケルもいつまでも信仰という殻をかぶらず自分の足で歩み出せというメッセージなのだろうか。
 出演陣がユニーク。レオ・カラックスやヘルツォークといった作家主義系監督も顔を見せているあたりにコリン監督の指向性が伺える。エリザベス女王役をストーンズと深く絡んだアニタ・バレンバーグが演じる。でも自分的にはモンローを演じたサマンサ・モートンのほんわかさが好みである。「ギター弾きの恋」での彼女は良かった。
 とにかく何の説明もなく淡々と進む寓話のような映画で、最後まで狐につままれたままだったような気がする。

2017/09/06

2017/09/06

78点

レンタル/東京都/TSUTAYA/SHIBUYA TSUTAYA/DVD 


生きることはこんなにも辛い

ネタバレ

♪Lonely, I'm Mr. Lonely・・・

冒頭で流れる『ミスター・ロンリー』の切なくて甘いメロディーが、観ている間も観終わった後も、ずっと頭の中でループする。本作はそのメロディーのまま切なくて甘い、悲しくて優しい物語だ。

本作の登場人物は、他人の生き方をそっくり真似するモノマネ芸人だ。といっても日本のお笑い芸人とはちょっと違う。彼らはショーの時だけ、ネタ的に有名人のモノマネをするのではなく、私生活すべてにおいて、その人たちになりきる、というか自分がその人自身だと思い込んで生きている。

主人公のマイケルは、幼い頃から自分自身に違和感を覚え、マイケル・ジャクソンとして生きることに決めた。彼はストリートでダンスの大道芸をしたり、老人ホームを慰問して生計を立てているが、生活は苦しく、さらにマイケルとしてアイデンティティもイマイチ中途半端なままだ。そんな時、マリリン・モンローとして生きる年上の女性と出会う。彼女はスコットランドの湖の中州にある古城で、モノマネ芸人たちと共同生活を送っていた。彼女に恋心を抱いたマイケルは、彼女に誘われるままにそのコミュニティにやってくる。

そこでは、チャールズ・チャップリンをはじめ、リンカーン大統領やマドンナ、エリザベス女王らが彼を熱烈歓迎してくれた(余談だが、実在の人物になりきるのはまだわかるが、「赤ずきんちゃん」のモノマネって、モノマネ?)。おとぎ話に出てくるような城で、ニワトリや羊を飼い、畑を耕し、自分たちで劇場を手作りしている。劇場が完成した暁には、そこで地上最大のモノマネショーを披露するつもりだ。リンカーン大統領がトラクターを運転していたり、ジェームズ・ディーンやヨハネ・パウロ二世が農作業や大工仕事をしている図はとてもシュール(笑)

彼らはそれぞれを認め合い、自給自足し、和やかに暮らしている(時には些細なケンカはするが)。当初は、こここそがモノマネ芸人の地上の楽園に見えたが、やはり自分の全てを他人の人生に置き換えることは不可能だ。彼らの楽園も、いくつかのほころびが生じてくる。伝染病に侵された羊たちは殺処分され、人間関係にも不満や不安が現れる。マリリンの夫のチャップリンはイジワルだ。彼女の嫌がることをわざとして楽しむSな性格から、マリリンはほとほと結婚生活に疲れてしまっている(余談だが、英国女王とローマ教皇が夫婦なのには笑った)。情緒不安定気味の彼女は、羊が処分されてから気分は浮かない。

「生きることはこんなにも辛いのに、死ぬことは簡単なのね・・・」

それでも劇場が完成して、ショーが成功すれば運気も好転すると信じていた。しかし・・・お客はほとんど入らず、みんなの渾身のショーは不発に終わる・・・。他人の人生を模倣した人生なんて、やはりホントの人生とは言えない。ついにマリリンは、庭の大きな木で首をつって死んでしまう。

「生きることはこんなにも辛いのに、死ぬことは簡単なのね・・・」

きっとここに住む、すべてのモノマネ芸人たちが思っていたこと、「他人のフリをして生きるのは辛い、だけど、どうやって自分自身を生きていいか解らない・・・」

モノマネ芸人たちの物語と並行して描かれる、「神の奇跡」の物語がとても暗喩的だ。支援を必要としている村に、セスナで物資を運んでいる(セスナから物資を投げ落とす)神父とシスターたち。ある時、誤ってシスターの1人がセスナから投げ出されてしまう。スカイダイビング(ただしパラシュートはない)よろしく空中浮遊するシスターは、落下する間ずっと神に祈り続けていた。すると摩訶不思議なことに、地上に堕ちたシスターは無傷で生還する。この神の奇跡を体験するために、シスターたちは次々とセスナから飛び降りる。彼女たちの奇跡が評判を呼び、ついに彼女たちはバチカンに召喚されたのだった。

青い空を舞い降りるシスターたちの青い僧衣が美しい。この奇跡を描きながらも、心のどこかがチリチリするのは、奇跡なんてないと思う私がいるからか?マリリンたちのコミュニティの、一見幸福そうな生活を観て、マイケルが無意識に覚える疎外感と違和感と同じだ。『ミスター・ロンリー』の甘いメロディーの中に漂う哀しみとも同じく。そしてここで三度思い出すマリリンのセリフ。

「生きることはこんなにも辛いのに、死ぬことは簡単なのね・・・」

マリリンが死んでコミュニティは解散し、パリに帰って来たマイケルは、マイケル・ジャクソンとしてではなく、自分自身として生きようと決意する。他人の人生を模倣することは決して悪いことではない(と思う)。そうしなければ生きていけないのなら、そこに自分のプライドやアイデンティティを見いだせばいい。しかし他人の人生を生きるには、様々なほころびが必ず出てくる。そのほころびをどのように繕うかで、その後の人生は大きく変わってくることだろう。そのほころびは自分で繕わなければならい。「神の奇跡」では繕えないのだ。

大喜びでバチカン行きのセスナに乗り込んだ神父とシスターたち。だが、最後の最後で彼女たちに「神の奇跡」は訪れなかった。何故か?世間の評判を集めたために、どこかに驕りが生じたためか?

コリン監督が提示したこのメタファーが意味することは正確には分からない。ただそれは単なる神に対するアンチテーゼではなない。神にすがり、他人の人生に頼り、いつしかひたむきに生きることを忘れることへのアンチテーゼなのだ。

2010年

2016/07/30

65点

レンタル 


死の匂い

マイケル・ジャクソンになりきることでしか生きられない孤独な青年(ディエゴ・ルナ)がマリリン・モンローになりきる女性(サマンサ・モートン)に出会い、彼女にスコットランドの古城に誘われる。そこにはなりきり芸人(インパーソネーター)たちのコミュニティがあった。チャップリン(マリリンの夫)、シャーリー・テンプル、ジェームズ・ディーン、マドンナ、リンカーン大統領などがいる夢のような世界だったが…。
ヴェルナー・ヘルツォーク、レオス・カラックスが特別出演し、チャップリン役はカラックスのアレックス3部作のアレックス(ドニ・ラヴァン)が演じている。第61回カンヌ国際映画祭ある視点部門出品。監督は15年前、弱冠19歳で書き上げた「KIDS/キッズ」の脚本で“恐るべき子供”と注目を集めたハーモニー・コリン。
映像・音楽ともに美しい作品なのですが…、私は性に合いませんでした。映画には孤独と言うよりも、次第に死の匂いがたちこめ、その感覚が古いと思いました。

2016/04/28

70点

選択しない 


こういう系の映画は好き