ファンタジー映画ではなくヒューマン映画。子役が素晴らしい
ネタバレ
これは本当に良い作品だった。
この映画に出会えて良かった。
「『ナルニア国物語』『ロード・オブ・ザ・リング』のスタッフが手掛けた感動のファンタジーアドベンチャー」
DVDパッケージの裏に書かれたこの言葉。
『ザスーラ』のジョシュ・ハッチャーソンと『きいてほしいの、あたしのこと/ウィン・ディキシーのいた夏』のアナソフィア・ロブ。
以上のことから興味をひかれて見てみた。
実際は『ナルニア国物語』や『ロード・オブ・ザ・リング』のような壮大なファンタジーというわけではない。
二人の少年少女が空想の王国「テラビシア」を作って遊ぶ、というようなお話で、ジェスの家とその近くの森、そして学校とスクールバスといったファンタジー世界とは縁も無いような普通の田舎町が舞台。
主人公のジェス(ジョシュ)は、学校でいじめられ、家では女兄弟と厳しい父親に囲まれ居場所がなく孤独を感じている。
楽しみといえば「絵を描くこと」。
ジョシュのその孤独を抱えた瞳が何とも言えない。
一方で、『ザスーラ』の時は良い兄貴役だった彼だが、本作でもクリステン・スチュワート曰く「キラキラした瞳」をいかんなく発揮している。
アナソフィアは活発な女の子というイメージがぴったりだが、正にその通りの役である。
二人のイメージが強いが、ジェスの父親や末妹、学校の先生、いじめっ子の女の子もとてもいい。
結末には向き不向きがはっきり分かれると思う。
結末を知ってから観るというのも悪くないかもしれない。
自分は実際結末を知ってから鑑賞したためショックは少なかったし、受け入れることができた。
エンディングに流れる曲も、とても好きだし、背景の絵と合わせて素晴らしいエンドロールだった。
ジェスの心身の成長、また「目を閉じて、心の扉を開いて」という文句、そして二人の作った「テラビシア」。
この映画を見ていて大事な気持ちを思い出した気がする。
子供の頃はよく空想遊びをしていて、自分の「テラビシア」なんてものを作っていたかもしないけれど、同じような発想力ない。
大人になった今では確実に欠如している。
子供心に帰りたい、というか心が洗われたいときに観たい映画だと思った。
本当に良い映画に出会えた。