パンズ・ラビリンス

ぱんずらびりんす|EL LABERINTO DEL FAUNO|PAN'S LABYRINTH

パンズ・ラビリンス

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レビューの数

138

平均評点

76.8(951人)

観たひと

1528

観たいひと

128

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ファンタジー
製作国 スペイン メキシコ
製作年 2006
公開年月日 2007/10/6
上映時間 119分
製作会社 テレンシコ
配給 CKエンタテインメント
レイティング
カラー カラー
アスペクト比
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

戦争という過酷な現実の中に生きる少女が、魔法の世界に入っていく。現実と幻想が絡み合う感動のダーク・ファンタジー。第79回アカデミー賞で撮影賞、美術賞、メイクアップ賞を受賞した。主演は、「機械じかけの小児病棟」のイバナ・バケロ。監督・脚本・プロデューサーを務めるのは「ヘルボーイ」のギレルモ・デル・トロ。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

1944年のスペイン。内戦終結後もゲリラたちはフランコ将軍の圧政に反発していた。そのため、緑深い山奥でも血なまぐさい戦いが繰り広げられていた。おとぎ話が大好きな少女・オフェリア(イバナ・バケロ)は、臨月を迎えた母カルメン(アリアドナ・ヒル)と共に、その山奥にやってきた。駐屯地を指揮するフランコ軍のビダル大尉(セルジ・ロペス)と母が再婚したからだ。しかしビダル大尉は、ゲリラの疑いがあるというだけで農夫親子を惨殺するような残忍な男だった。ビダル大尉を恐れるオフェリア。一方、小間使いのメルセデス(マリベル・ベルドゥ)は実はゲリラ軍の協力者だった。大尉の元に潜り込んで、ゲリラ軍に情報を流していたのだ。そんなメルセデスと仲良くなるオフェリアだが、ある日、ひょんなきっかけから不思議な迷宮(ラビリンス)に迷い込んでしまう。そこには山羊の頭と体をしたパン(牧神)がいて、彼女に驚くべき事実を告げた。オフェリアは魔法の王国のプリンセス、モアナの生まれ変わりに違いないと言うのだ。そして満月の夜が来るまでに三つの試練に耐えられれば、両親の待つ魔法の王国に帰ることができると言う。その言葉を信じたオフェリアは三つの試練に立ち向かう決心をするのだった。こうして幻想の世界にのめり込んでいくオフェリアの周りでは、ついにゲリラ軍とフランコ軍の、血で血を洗うような戦いが始まる……。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2007年10月下旬号

作品特集 「パンズ・ラビリンス」:ギジェルモ・デル・トロ[監督] インタビュー

作品特集 「パンズ・ラビリンス」:ダビド・マルティ[特殊メイク] インタビュー

作品特集 「パンズ・ラビリンス」:作品評

2024/03/20

2024/03/20

79点

その他/ゲオ宅配レンタル 
字幕


ダーク・ファンタジー

ネタバレ

 内戦の傷跡を引きずる、スペインの国内で、母の再婚に悩む少女オフェリアが、地下の王国の姫君と迎えられるべく、試練を与えられるという、ダークファンタジー。

 拷問や虐殺など、残酷描写が多く、スペインの内戦とその後の独裁の傷跡が大きかったのではないかと思った。

 その影響か、ラストも、えっと言うような終わり方。ファンタジーとしては、ハッピイエンドとはいえ、こういう結末のつけ方に驚いた。

 オフェリアが、母の再婚と子供の誕生に傷つきながらも、ファンタジーに支えられて、生き抜こうとするのがいい。簡単に約束を破ってしまうのがちょっと腑に落ちないけれど。でも、何とかまたチャンスを貰えるのが、まあ、良かったと。

 昔に観た筈だけれど、あんまり覚えていなかった。「ミツバチのささやき」を観たので、その影響で、同じスペインの内戦の傷跡関連かと思われる、こちらを観た。ギレルモ・デル・トロ監督は、「シェイプ・オブ・ウォーター」も良かったかと。

2023/09/24

2023/10/01

80点

映画館/東京都/立川 CINEMA CITY/TWO 
字幕


なんとも言えない感じ

ファンタジーを実写するとこうなるんだなぁというのが第一印象。陽性が虫でおぞましい動きたっり、カエルと対峙するとこうなるよなぁというおもいだったりだ。また、大尉の残虐さやレジスタンスのことなどなど、見どころはいっぱいだが、とにかく映像にやられた感が強い。35㎜フィルムで観れたのも良かった。

2023/09/23

2023/09/24

-点

映画館/東京都/立川 CINEMA CITY/TWO 
字幕


人の犯した過ちを深く嘆く

スペイン内戦が生んだ人びとのつながりや良心の崩壊はひとりの少女の命によって抗われた。見る側はファンタジーは明らかにファンタジーに過ぎないことを知っている。とすれば『パンズ・ラビリンス』はファンタジーの衣をまとった悲劇だ。

ギレルモ・デル・トロには、このあいだピノッキオで泣かされたばかり。デル・トロは確かに日本アニメやアメコミオタクだけれど、人間の営みについて描きたい視点をしっかりと持っている。そうでなければこのようなオリジナル脚本はとても書けないよ。『パンズ・ラビリンス』の日本での上映権が終了するという。最終上映を見てまた涙させられた。

ただ残酷描写もふんだんで誰にでも見せられて、誰からも支持される作品になっていない。そんなダークもある。少女オフェリアを中心にしたあの暖色系のポスターからは想像のつかない内容で日本でもPG12のレイティングが付いた。この作品には固執したようにこれほどまでに顔面を損壊させる描写が多い。なぜだろう。これは素朴な疑問。誰もが内面に潜ませている非情さの象徴か?100%の善人はいないと。そうだよなぁという他ないのだけれど。

何回か見て思ったのは全体的に現実とファンタジーが並行して進むがファンタジーは次第に現実の後景に追いやられ現実世界の虚しさが前景に現れるといった建て付けになっている。やっぱりこれは現実世界で繰り広げられた人間の過ちを深く嘆いた悲劇なんだと思う。しばらくスクリーンでは会えなくなる。またスクリーンに戻ってくるまでしばしのお別れだ。

2023/09/15

2023/09/15

77点

VOD/Amazonプライム・ビデオ/レンタル/スマホ 
吹替


どうみる?オフェリア

ネタバレ

これはバッドエンドなのか、ハッピーエンドなのか。
その感想は、どこから観た視線かでかわるように思う。スペイン内戦真っ只中のオフェリアのいる現実世界だけみた彼女の視点ではバッドエンドだろう。しかし、空想、ファンタジーから観た彼女ならどうだろう。王国から試練のために現実へやってきたというのなら、現実の生は一次的なもので、王国では安寧が約束されたハッピーエンドとも見える。何とも言えない後味の物語だ。

2023/07/15

2023/07/15

75点

テレビ/有料放送 
字幕


ややグロいが

それがこの映画にインパクトを与えている
内容は深みがあるようなないような微妙なもの
切り取った状況がかなり限定的すぎてバランスが悪い
パンってパーンなんだよね

2023/05/21

2023/06/03

100点

購入/DVD 
吹替


理想こそが現実を変えるby三木清 最新版「ミツバチのささやき」

ネタバレ

いろんなお伽話、童話から引用する。
「不思議の国のアリス」
「千と千尋の神隠し」も元ネタの一つ?

戦争の残虐性を炙り出す。
繰り返されるファシズム。
残酷な出来事が繰り返される歴史に鉄槌を喰らわす。

ヨーロッパに世界恐慌の嵐が吹き荒れる。スペイン内戦が起こる前は4%の富裕層が国土の75%を保有していた。超格差社会を変えようとした政府と既得権益を守りたいファシズム政権が戦い、独裁者が勝利する。第二次世界大戦のファシズム独裁から民主主義の勝利となるなかで中立を守ったスペインには連合軍が手を出さなかった。政治的な難しさと道徳的矛盾の世界。フランシス・フランコが没する1975年まで続く。
「ミツバチのささやき」は1973年製作。

映画は1944年の時代設定
ノルマンディ上陸作戦の年
スペイン政府も希望を持った。
もしかしたら英米連合軍が助けてくれる?

演出
現実世界は寒色系
お伽話の世界は暖色系
交錯する世界は緑色

繰り返し効果でサスペンスを盛り上げる。

選択と不服従
絶対服従の母は死する。
(映像特典より)
デル・トロの音声解説は熱く、具体的で理解しやすい内容です。


ビダル大尉
魅力ある悪役の人物造形。
残忍で几帳面、冷徹、父親に劣等感がある。
跡取り息子が欲しい。
髭を剃る、靴を磨く、コーヒーの味にうるさい、自分自身で顔の怪我を縫う、それでも酒を飲む。
俳優の方は企画が上がってから約束して何年も待った。

ペイルマン
初見の時はその視覚的造形に驚いた。僕には想像もできないほどのアイデア。
完全にノックアウトされた。
デル・トロが痩せた時、腹の皮がベロンとなったのがヒントになった。
ノロノロ追い詰める、当代随一の名シーンとなる。
テーブルに置かれている食べ物は血の色の赤。

オフェリア役にこだわる。
アナ・トレントの眼差しを探すデル・トロ。
この作品のキモだ!
イバナ・バケロを発見して8歳から11歳の少女に設定を変える。

「デビルズ・バックボーン」1939年設定の姉妹編と言われている。
⚫️9・11アメリカ同時多発テロ⚫️
続編にしようと決意する。
バカな男どもに対抗する少女が主人公。
ゲリラ軍の協力者メルセデスも女性。
子守唄が絶品。

「デビルズ・バックボーン」の時、「クロノス」の大ファン、ペドロ・アルモドバルから声をかけられたデル・トロ。
メキシコからスペインへと舞台設定を変更する。
メキシコはスペイン内戦(フランコ独裁政権)の難民を受け入れた数少ない国のひとつ。

当時最新の特殊メイク、CGを駆使するも予算の関係から若い無名のスタジオに協力を要請、低予算の中、素晴らしい成果をあげる。

美術セット
のちに美術監督は「ROME/ローマ」も手掛ける。

ラスト「マッチ売りの少女」のように眠りにつく。
子供の頃の切ない気持ちが蘇るような作風。
水上勉の胸が締め付けられるような切ないさを思い出す。

よく見るとラストシーンの王国では妖精は3匹いる(映像特典より)