大学映画研究会を舞台にした恋愛映画。
主人公は既に社会人に成っており、過ぎ去りし日々を回想するかたち。
上野樹里、市原隼人らの、本当にその辺に普通に居そうな若者像の体現がナチュラルで心地好い。
自主映画制作に興じる彼女達の使用機材が「8ミリ」である事に注目したい。
21世紀に「8ミリ フィルム」は既に実用環境に無く(フィルム製造中止と現像サービスの中止)時代考証的には疑問符がつく。つまり〈時代遅れ〉。
また、市原の『いつまで経っても人の好意に気付かぬ男が、喪失に依って初めて気付く〈鈍感ぶり〉』も当初は大いに気になった。
然しそれら多くの齟齬も、総てを諒解した刹那に清逸なものへと昇華された。
総ては〈フィルム/アナログ〉の様で-。
撮影しても、現像する迄 出来が解らない。そして、今は既に失われ 追憶の彼方にしか存在しない。
filmへの憧憬と、フィルム時代の -非デジタルな- 恋愛模様とが眩く透過する-そのフィルム投射光の様な光芒の煌めきに、どうして涙を抑える事など出来よう。
《劇場観賞》