まあまあ面白かったコメディでした。アン・ハサウェイも23歳の頃の作品か。若いだけに動きに張りがあるなあ。彼女の顔は目が大きいので、いつもびっくりしたような表情で、そこが苦手という人もあろうが、私は好きだね。まあヤマトナデシコは顔のパーツが小さくまとまっているのでどうもいまいち苦手な感じになるだろうけれでも、それが私には可愛く見える。原節子も顔のパーツが大きくてその意味では西洋風なんだろうけど、最初はヤマトナデシコらしくないなあ、と思っていたのだが。
ともあれ、とても元気の良い彼女は最初は野暮ったい服を着ていてそれが若い男ならダサいと思うところ、そこも彼女だと好感持てるのだった。むしろファッション雑誌編集長の秘書になってからファッショナブルになるのが彼女には合わないというようにも思えた。庶民的なのね。
アンをこき使う編集長は勤務時間外でも電話をかけてきてあれこれ指示をする。アンのプライベートなど一切無視するってのが、アメリカでもあることなんだなあと思った。日本だとそんなことがなんか当たり前になっていて、社長シリーズなどでも小林桂樹はプライベートでも森繁社長のために仕事しているもんなあ。こんなことアメリカだとたちまちクレームがつきそうなんだけど、アンは不満ではあろうが、編集長のために仕事をする。
そのために彼氏と溝が出来てしまう。四六時中仕事にかまかけて、彼氏に構ってられなくなって、そんなことに彼氏は不満を持つのである。しかしねえ、こんなことで不満を持つ彼氏は器が小さいのう。彼女の頑張りに思いやりを持ったらどうなんだと思っちゃう。これが逆ならこの彼氏、仕事なんだから仕方ないだろうと彼女に言うだろう。こんなケチな男とは別れちゃってくださいと余計なお世話だろうが、そう思っちゃう。そうやって頑張った彼女は「マイ・インターン」で社長になるんだよねえ。あれっ、この映画、本作の続編じゃないって?
この映画はオチが良いや。傲慢で秘書をこき使う編集長と心が通い合い、そこで人情喜劇のような泣かせでくるのかと思いきや違った。編集長がまたもや誰もが自分に憧れるという傲慢な言葉を吐いたので、アンちゃんはああ、この編集長は駄目だわとばかりに、彼女がかけてきた携帯電話に出ず、その電話を噴水に投げ込むというオチが痛快。このオチって原作にもあるのかなあ。
原作者のローレン・ワイズバーガーは彼女自身「ヴォーグ」編集部でアシスタントをしていたので、それを基に書いた小説。メリル・ストリープが扮した編集長は、「ヴォーグ」のカリスマ編集長であるアナ・ウィンターがモデルではないかと言われた。しかし、原作者をこれを否定している。
編集長役のメリル・ストリープは撮影初日に、アン・ハサウェイに「あなたにこの役は似合っていると思います。だからあなたと共演出来て私はとてもハッピーです。これがあなたに最後に言うステキな言葉です」と告げたとか。まあ役どころがこれだからねえ、あなたがキライでこんなこと言っているんじゃないわと断っておきたかったのか。