次への繋ぎと思ってください。エンドロール後のオマケあり
デップの奇抜な役作りがとても楽しかった「パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち」から3年、待望の続編が夏休み公開されました。
本作はパート3と同時に撮影されたそうです。なるほどこのシリーズ、「寅さん」や「007」のように一話完結形式ではなく、完璧な続きものだったのですね。前作のおさらいを怠けていた私は、正直言って今回、物語の状況設定を理解するのにかなり戸惑いました。
この映画のファーストシーンは、ズブ濡れのエリザベス(ナイトリー)が物憂げな表情で雨の庭園にたたずんでいるところから。良く見ると彼女、頭にベールを付け、手にはブーケがありますが、結婚式にしては何やら雰囲気が良くありません。というのも、彼女は結婚式の当日、新郎であるウィル(ブルーム)と共に、海賊ジャック・スパロウを逃がした罪で捉えられてしまったのでした。
その頃、当のジャックは手下のクルーたちと共にトルコの監獄に忍び込み、ある物を盗み出そうとしていました。それは鍵の絵が描かれたただの紙っぺら。そんなモノに何の価値があるのだろうか?と手下たちはいぶかります。そこに突然ウィルの父、ビル・ターナー(スカーシュゴード)が、深海の悪霊と呼ばれるモンスター級の海賊、デイヴィ・ジョーンズの使いとして現れます。
確かビルは前作のお話の中で、バルボッサによって海底に沈められたはずなのですが、その後デイヴィ・ジョーンズに助けられ彼に魂を売って家来に成り下がったらしいのです。ジャックはジョーンズの名前を聞いて大慌て。どうやらジャック本人も、ブラックパールの船長になるために、彼に魂を売る契約をしていたらしいのです。
とまぁ、かなり前置きが長くなりましたが、とにかく前作の状況からかなり様変わりした設定の中、物語が当然のようにして展開して行くので、見ているほうとしては何が何やらさっぱりわかりません。それに加えチェストとかコンパス、クラーケンなど、聞きなれないキーワードや化け物、ややこしい島の名前、意味のわからない呪いなどが次々登場します。そのため、「あれ?これって前作にも出てきたっけ?」と、いつも頭のどこかで考え込んでいるような感じになって、せっかくの冒険アクションが十分楽しめませんでした。
それと、とにかく絵づらが汚くて暗すぎます。登場するキャラクターはどれもドロドロべたべたしていて気色悪く、前作のゾンビたちのような愛嬌も感じられませんでした。また、メイン3人のキャラクターもすっかり固定化してしまい、新鮮味に欠けます。特に今回はデップがはじけ切っていないので、笑いの要素が物足りないのです。まぁ、ドタバタ的な追いかけごっことタイタニックみたいな海と船の描写だけが救いと言えば救いでしょうか?
ラストについても、前回は何度もひっくり返るトリックが面白かったのですが、今回はメインキャラクターのだまし合いの展開となり、何となく後味がよろしくありません。この後味の悪さは、次作でぜひ解消して欲しいものです。それと、最後にサプライズとして登場する人物に次への期待を繋げたいですね。尤も私の場合、俳優の顔が似ていたため、別の人間と勘違いしてしまったのですが…(あなたはちゃんと見分けることができますか?)
(2006/8/2 記)