やさしくキスをして

やさしくきすをして|Ae Fond Kiss|Just a Kiss

やさしくキスをして

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レビューの数

15

平均評点

75.6(46人)

観たひと

80

観たいひと

28

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ラブロマンス
製作国 イギリス イタリア ドイツ スペイン
製作年 2004
公開年月日 2005/5/7
上映時間 104分
製作会社 シックスティーン・フィルム・プロダクション
配給 シネカノン
レイティング
カラー カラー
アスペクト比
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

アイルランド人の女性とイスラム系移民2世の男性が、宗教の問題を乗り越えて愛を貫こうとするラヴ・ストーリー。監督は「SWEET SIXTEEN」のケン・ローチ。脚本のポール・ラヴァティをはじめ、スタッフはほぼ同作からの引き継ぎ。音楽はケン・ローチ作品以外にも「ディープ・ブルー」「ジャスティス 闇の迷宮」などがあるジョージ・フェントン。出演はアイルランドの映画界で活躍するエヴァ・バーシッスル、これがデビューとなるアッタ・ヤクブほか。2004年セザール賞EU(欧州賞)作品賞、同年IFTA賞主演女優賞、同年バリャドリッド国際映画祭観客賞などを受賞。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

スコットランドのグラスゴー。カソリックの高校で音楽を教えるロシーン(エヴァ・バーシッスル)は、若くして結婚した夫と別居中で、心に寂しさを抱えていた。ある日、彼女は教え子のタハラ(シャバナ・バクーシ)の兄で、パキスタン移民2世のカシム(アッタ・ヤクブ)と知り合う。彼はグラスゴーで最先端のクラブでDJとして働きながら、将来自分のクラブを経営することを夢見ている。2人はすぐに愛し合うようになるが、厳格なイスラム教徒であるカシムの父親タリク(アーマッド・リアス)は、異教徒との結婚を認めておらず、従姉妹のジャスミン(スンナ・ミルザ)をカシムの婚約者に決めてしまう。そのことを中々言い出せないカシムだったが、スペイン旅行の際、ついにロシーンに打ち明けた。激怒するロシーンに対し、カシムは、やはり強い絆で結ばれた家族を裏切ることはできないと主張。だがやがて感情を抑えきれなくなったカシムは、家を出てロシーンと暮らすようになる。しかし2人は何度も衝突し、またロシーンはイスラム教徒との交際が原因で、カソリックの高校から無宗派の学校への異動を命じられてしまう。さらにロシーンは、カシムの姉ルクサナ(ギザラ・エイヴァン)から自分たちの家族の事情を見せつけられ、ショックを受ける。そのことをタハラから知らされたカシムは、父を振り払い、ロシーンを追って実家を飛び出した。そしてロシーンの家に戻ったカシムは、彼女と静かにキスを交わすのだった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2006年2月上旬号

ちょっと気になるこのタイトル:「やさしくキスをして」

2005年7月下旬号

日本映画紹介/外国映画紹介:やさしくキスをして

2005年5月下旬号

特集 ケン・ローチ監督と「やさしくキスをして」:ケン・ローチ監督 インタビュー

特集 ケン・ローチ監督と「やさしくキスをして」:シネカノン代表・李鳳宇氏にきく

特集 ケン・ローチ監督と「やさしくキスをして」:私の選ぶケン・ローチこの1本

特集 ケン・ローチ監督と「やさしくキスをして」:作品評

2024/02/11

2024/02/25

70点

レンタル 
字幕


パキ野郎という字幕の邦訳もすごいね。

ネタバレ

現在のイギリスのスナク首相は、両親がインド系の人(Wiki)。この映画のカシムと同様に移民2世。大英
帝国全盛時には、現在のインド・パキスタンを植民地としていたので、両国からの移民が多いのは、その
あたりの事情。特にインド独立の際には、イスラム教徒はパキスタンへ移住させられた経緯がある。カシム
の父親も子供の頃に、この悲惨な移動を経験したようで、弟のカシムを失っている。つまり叔父の名前を
もらった訳だが、本人は二世としての環境を享受、イギリス人感性を豊かに持っている。それでも人種差別
は厳しい。伝統的家族の絆も色濃く残っている。生粋のイギリス人女性ロシーンとの恋の行方は…。

スコットランドのグラスゴー、カトリックの学校でカシムの妹のタハラは、同級生のイジメに怒って彼らを追い
かけた。タハラを迎えにいったカシムは、騒ぎを止めようと音楽室に迷い込んで、備品のギターを壊して
しまった。後日、カシムは新品のギターを持ち、音楽の臨時教師ロシーンに謝りに行った。そこから二人の
交際が始まった。カシムは市内のクラブでDJとして活躍している。いずれは自分のクラブを持ちたいと夢を
持っている。二人の交際は順調そのもの。
しかしロシーンは若くして結婚し、まだ離婚が成立していなかった。カシムの方は父親が勝ってに従妹の
ジャスミンを婚約者として決めてしまっていた。家長の意向は絶対だった。二人はケンカ別れするのだが、
また関係を修復する。
逆風は学校からも吹いてくる。宗教上の問題でカトリックの学校から公立の学校へ転勤させられる。
問題はカシムの姉ルクサナにもあった。彼女も結婚を控えていたのだが、カリムが白人女性と交際している
ので、自分の結婚が破局しそうなのだ。自分のクルマにロシーンを乗せて、カシムとジャスミンの関係を
彼女に見せるのだった。たまたまジャスミンが来たのだったが、彼女もカシムも自分の気持ちを優先して、
縁談は破局するのだった。肝心のシーンを見る前に、ロシーンは怒りに震えながらクルマから立ち去っていた。

これは難しい題材だ。映画はハッピーエンドとなるのだが、観客の意見は真っ二つに割れるのではないか。
キレイすぎる。そんな甘くない、という反響が聞こえそう。しかし実際には、異教徒同士の結婚は増えて
いるのだろう。地球は狭くなる方向だけは間違いないが…。

2023/06/29

2023/06/30

70点

レンタル 
字幕


ハッピーエンド

ケンローチ監督です。移民問題と宗教問題。難しい問題。愛し合っているからと言って、ハッピーになるわけではない。二人は良くても、周りは不幸になることもある・・・ということ。映画はハッピーエンドっぽく終わったけど、困難多そう。

2022/11/10

2022/11/10

70点

レンタル/東京都/TSUTAYA 
字幕


一見幸せそうでも

ネタバレ

<ネタバレあります>

VODで見つけられず、TSUTAYAでDVDレンタル。テレビにつないでるDVDプレイヤー2種で再生できず、ポータブルDVDプレイヤーで見てるので画面ちっちゃいです。

パキスタン青年もアイリッシュ女性も若くてさわやか。自分のいちばん初々しかった学生時代の恋愛みたいに共感します。(※思い出はかなり美化されている)

制作時期は、「ケス(1996年)」よりずっと後、「Sweet Sixteen(2002年)」よりも後、明るく前向きな「明日へのチケット(2006年)」の前年の2005年の作品。「麦の穂を揺らす風(2006年)」以降は誰も救われないストーリーが多いように思ってたけど、「エリックを探して(2010年)」や「天使の分け前(2013年)」も「麦の穂」より後だ。ケン・ローチ監督は、誰も救われない映画ばかり撮る監督にだんだん変貌していった・・・と見るのは短絡だということはわかった。

そんな分析をしようとしたのは、この作品が「甘い」と感想を書いている人がけっこういたり、私から見ても「ひとつの愛が成就しそうに見えることがハッピーエンドなのではない」ということくらいはわかるけど確かにエンディングには甘い愛の喜びがあふれているのは、初期の作品だからだ、という理屈をつけようとしたからだ。(わかりにくい説明)

これって、日本人の私がアイルランドで仏教徒のまま現地のカトリックの男性と結婚する、というのと同じかもしれない。日本人はパキスタン人ほど差別されない、と思ってるとしたら、そこですでに私自身の認識に差別意識があるからかもしれない。実際は、現地の人のような英語もしゃべれず、小さい頃みんなが見た絵本もアニメも知らないし、中高生の頃に流行ったものも知らない私は、相当な部分で孤立するんだろう。夢の海外移住も、「日本人老人村」として高いお金を払う代わりに守ってもらえる繭みたいなところに住むのでなければ、苦労するのかもしれない。

20代の頃は、知らない人たちにビビりながらも、この映画のロシーンみたいにオープンだったと思う。世界は飛行機やインターネットの発達でどんどん小さくなって、料理も文化も人種もどんどんミックスして面白くなっていく・・・と思ってた。でもその後の数十年で、世界は小さく狭く細分化されて、ミクロのブロックで埋め尽くされていくようだ。まじりあった部分は、他の部分からすごい勢いで攻撃されたりしてる。自分の中の「世界」の認知がどんどんゆがんでいくほど、世界は平和から遠くなっていく。

一見幸せに終わるこんな映画を見ると、かえって不安になってしまっていろんなことを考えてしまうのでした・・・。

2021/11/25

2021/11/26

75点

レンタル/東京都/ゲオ/ゲオ成瀬店/DVD 


ヒューマンドラマ

甘ったるい恋愛物のようなタイトルだが、社会が抱える問題を問う作品。移民問題、宗教対立、文化の相違による自由恋愛の窮屈さを上手く描いている。カトリックの厳しさも前時代的なのがわかった。

2021/09/23

2021/10/19

75点

レンタル 
字幕


不寛容なぶつかり合い

ネタバレ

周囲からの差別や人間関係の軋轢など、主人公二人のその後に訪れるであろう困難を思うと、ハッピーエンドとは決して言えない終幕が奥深い。鑑賞後、観る者の胸に混濁した感情を抱かせ、様々な問題を考えさせるあたりはさすがで、名匠K・ローチ作品にハズレなしを実感する。

低い視座から穏やかな眼差しで登場人物を見詰め、一筋縄では解消できない宗教対立や文化ギャップの大きな落差を照射しつつ、とあるカップルの恋の成り行きをリアリスティックに紡ぎ出した出色の社会派ラブストーリー。それにしても、妥協の余地なき価値観の不寛容なぶつかり合いからはあまり前向きな妙案が生まれないなということを再認識。

あと、馴染みのない俳優陣の役にはまった好演とともに、場面を余情豊かに彩る音楽が印象に残る。

2009/05/07

2019/07/31

75点

レンタル 
字幕


生やさしくないキス

邦題からはとても甘いラブストーリーを連想するが、そこはケン・ローチだけに、内容はかなり社会派で重い。原題は『やさしいキス』だから満更ウソの邦題ではないが、それにしても言葉の響きがかなり違うだろう。それでも、ケン・ローチ監督が初めて挑んだラブストーリーというのも確かだ。

国が違い、肌の色が違い、宗教も違う二人が愛し合っても、これは前途多難だ。アイルランド人の音楽教師ロシーンと、パキスタン人の移民のカシム。しかし、二人は愛し合ってしまう。カシムはまだ見たこともない同族の女性との結婚を決められていた。その上でロシーンに近づくのには驚くが、やはりその結婚に気が進まなかったのだろう。敢えてこれまで虐げられてきた白人の女性を選んだのも、心のどこかで差別のない世界にするための突破口を求めいていたのかもしれない。しかし、それでもこの愛を決行するには、家族も仲間から白い目で見られ、更に自分の家族との決別が待ち受けている。それでもこの愛を成就させるべきなのか。

カシムの悩みはかなり深刻だ。しかし、そうまでして一緒になっても、果たして二人の愛は永遠なのか。周囲の反対を押し切って無理して結婚しても、いつまでもその生活が続くとは、誰も保証できないのだ。その当人たちでさえ。

二人の決断は、正解だったろうか。それは誰にも分からない。愛する二人から希望を奪う、この国の悲劇。宗教とは人を幸せに導くものではなかったのか。大いなる矛盾を抱えていても、この国で生きて行かねばならない人たちが、大勢いる。