許し難いキャラクター設定
人間って哀しくて可笑しくて切ない生き物ですね
懸命にもがきながら今を生きる滑稽な姿を素朴に笑いに変換してます
アレクサンダー・ペイン作品の登場人物は全員カッコ悪くてブサマで弱い自分を全て曝け出し悲しいほど弱い人間の本質を表しています
他人には見せたくない内緒にしたい一面を余す事なく全て見せてくれます
太った白人中高年のSEXシーンなんて誰も見たくないですね
「アバウト・シュミット」のキャシー・ベイツのヌードや「ファミリー・ツリー」の華麗な独身貴族ジョージ・クルーニーのビーチ・サンダルでの情け無い走りや「ダウンサイズ」のマッド・デイモンの唖然とした表情など極め付けは「ハイスクール白書」のリース・ウェザースプーンの多彩な憎たらしい表情なんかタマリマセン
イカした粋な人物は誰も登場しません
低俗な俗物だらけです
人生の分岐点 岐路に立った主人公たちがいざという時 狼狽し右往左往する姿を嫌と言うほど見せつけられます
離婚した以来未練タラタラで立ち直れない だらしなく甘ったれた主人公と結婚を間近に控えた喉元過ぎればなんとやらのノーテンキな監督曰くゴツく間抜けなハンサムのコンビ
同じダメ男でも「海よりもまだ深く」の阿部ちゃんの方がハンサムですね
悩んでジタバタする姿が最高に可笑しく人間への愛おしさ 人間好きの温かい体温を余す事なくペイン監督が伝えてくれます
風景ショットが美しいです
分割画面も軽快です
晩ご飯を食べに道路沿いを歩く淡いヘッドライトとふたりのカット
海辺の男同士の後ろ姿の海と空の雲の白さ
車を壊す場面の情け無い止まり方が大爆笑です
音楽も素晴らしいですね
男は馬鹿だから酔うと好きな女性に電話したりLINEしたりしそうですね
ロマンチストで繊細な一面が有り自分の殻に閉じこもったキャラクター造形にワイン好きで蘊蓄を語る孤独で侘しい感じが良く表現されています
ちょっとした暗黒面を行ったり来たりするどうしようもない人間たち
これはもう落語?
酒類の中では漠然とワインというと高級でお洒落なイメージがありますがまったくそこは無視というか主人公たちとは真逆で親しみがあります
いつも取ってつけた様な希望を持たせたラストが有りますがおまけみたいなものでそんなのどうでもいいんですよね
この作品を鑑賞して人生の溜まりに溜まった澱が洗い流されるようです
でも女性から見たら不快極まりない話ですよね
ポリポリ
アレクサンダー・ペイン監督は来日すると大好きな黒澤さんと小津さんの墓参りをするそうです
ヴァージニア・マドセンさんはQT作品常連のマイケル・マドセンさんの妹さんです
次回作は「バベットの晩餐会」のリメイクらしいです
この話をペイン監督がどんなテイストで料理するのか楽しみで待ちきれませんなぁ〜
ちなみに僕自身もカッコ悪くて思い出したくない
人には言えない思い出がいっぱいあります
人生は寄り道というか回り道がいっぱいですね