前年「シェーン」でブレイクしたアラン・ラッドが主演した西部劇のひとつで、おそらく今回が初見だと思う。そもそもアラン・ラッドは「シェーン」ぐらいでしか知らないかもしれない。西部劇に多く出演した人なのであるいは昔テレビで見ているかもしれないけれど記憶にない。
「シェーン」の印象が強烈だったのか本作でもシェーンと同じ鹿革服と思しき出で立ちで登場している。
もっとも本作は西部劇とはいえ舞台はアメリカとの国境に近いカナダで、主人公のラッドもカナダの騎馬警官隊の一員という役どころ。放浪のガンマンではないのでその鹿革服もすぐに真っ赤な制服に着替えてしまう。
インディアンに育てられたという出自が彼を微妙な立場に置いている。インディアンに理解のある白人というこの手の設定はこの頃の西部劇ではわりとよく見かける。養父が酋長でもあるクリー族をスー族や警官隊から守るべく奔走する様子が描かれる。
紅一点にシェリー・ウィンタース。彼女のエピソードはあくまで添え物ふう。男ばかりのドラマに添えられた花か。いきなり主人公に銃を向けるような勝気な女で登場。インディアンに襲われひとり生き残った彼女の面倒を見るうちにふたりの間に恋が芽生えるというなりゆきだ。
卑劣な元カレや無能な隊長らを配してドラマを繋いでいき、終盤のスー族撃退シーンへと繋げている。カナダの大自然(壮大な瀑布を見ることができる)を背景にしていて砂漠が舞台となることの多いウェスタンの中にあってはユニークな一作になっている。