実際にあった事件をモチーフにしている作品らしい。本作の主演柳楽優弥くんの演技は素晴らしかったと素直に認めますが、この後味悪さは好きでない。「万引き家族」ともよく似ている。
映像はドキュメンタリータッチで淡々としているが、結末を知っての再見となると破滅の瞬間が刻一刻と迫ってるようにも見えて相当な耐力が必要だ。YOUさんが演じた母親は、実話ベースの話だから実在の人物である。事件の名は「巣鴨子供置き去り事件」。彼女の無責任さに湧いてくる感情は怒りしかない。
そうは言っても、実際の事件を知らない世代でも知るきっかけとなる作品なのでその存在意義はあると思う。
子供の人生は誰の子供として生まれるかで決まるのだと、本作を観るとそう思えてしまう。だから本作の兄弟たちは不憫に思ってしまう。私は何故辛い生活を強いられたのかを考えたい。悲惨な結末になってしまったのは、家族以外の大人の目がなかったことにあると思う、この事件のセーフティネットは社会全体の大人の目である。
光熱費が未払いで電気や水道を止めるだけでなく、生存確認を含めてにしないと似たような事件が再発する恐れがある。
現在は社会が成熟してるので、改善されていると思うが、子供が凄惨な目に会う事件は後を絶たない。
印象に残ったのは母親が蒸発した後、子供たちだけの生活になった時に子供たちの表情が案外曇ってないことだった。
もちろん脚色はあるだろう。でも私はそこに違和感を持ってしまった。親がいなくなれば、小学生ぐらいなら大騒ぎが普通と思う。
折角、ドキュメンタリータッチでリアリティを醸し出そうとしてるのだから事実をありのままのスタイルでも良かったと思う。
とにかく見るのが辛い映画です。気が滅入りました。今回が本作を鑑賞する最終回にするつもりです。