チルソクの夏

ちるそくのなつ|----|----

チルソクの夏

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レビューの数

19

平均評点

70.0(119人)

観たひと

172

観たいひと

10

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 2003
公開年月日 2004/4/17
上映時間 114分
製作会社 「チルソクの夏」製作委員会(プルミエ・インターナショナル=プレノンアッシュ=ジャパンホームビデオ=衛星劇場=マックス・エー=コード=山口放送)
配給 プレノンアッシュ
レイティング
カラー
アスペクト比
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督佐々部清 
脚本佐々部清 
製作増田久雄 
製作総指揮篠原弘子 
製作城戸俊治 
升水惟雄 
箱崎泰 
瀬谷愼 
石川富康 
秋元一孝 
溝口靖 
石井渉 
志水俊太郎 
赤尾嘉文 
赤瀬洋司 
河本泰明 
プロデューサー臼井正明 
志水俊太郎 
美術若松孝市 
張春燮 
音楽加羽沢美濃 
音楽プロデューサー藤田雅章 
音響効果倉橋静男 
衣装デザイン富樫昇 
山田夏子 
アソシエイト・プロデューサー上原英和 
助監督瀧本智行 
スクリプター山下千鶴 
スチール奥川彰 
斉藤里美 
その他瀬川徹夫 
金子洋明 
佐藤継雄 
根本博史 
二ノ宮和寛 
佐々木一樹 
イルカ 
韓一先 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演水谷妃里 遠藤郁子
淳評 安大豪/安仁植
上野樹里 杉山真理
桂亜沙美 藤村巴
三村恭代 木川玲子
高樹澪 26年後の郁子
山本譲二 遠藤隆次
金沢碧 遠山光子
田山涼成 寺田先生
田村三郎 岡林先生
谷川真理 26年後の真理
竹井みどり 26年後の巴
岡本舞 26年後の玲子
イルカ 清水先生
夏木マリ スナック「こらさ」のママ
福士誠治 宅島純一
松本じゅん 隣のおばさん
崔哲浩 釜山高のコーチ
二家本辰己 カラオケスナックの男
村田真 「こらさ」の酔客
佐藤秀輔 「こらさ」の酔客
江島潔 大会会長
呉和貞 李淳姫
金銀美 行商のおばさん
金ボラ 釜山選手
山田好章 「こらさ」の客
西村祐一 「こらさ」の客
松本敬一郎 26年後の安大豪
岡村克己 審判員
樋口茉衣 千香
上野なつひ 麗子
山崎氣花 大原久美
桑原洋一 西村誠一
芽野勝利 松本正明
石橋雅春 守永昇
山口大善 下関男子選手
佐藤匠弥 下関男子選手
木本陽香 下関男子選手
阿部英里奈 下関男子選手
久保園千愛 女子生徒
大村恵子 アナウンス係

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

日本人の女子高校生と韓国人の男子高校生との、淡い恋の行方を描いた青春ドラマ。監督・脚本は「半落ち」の佐々部清。撮影を「岸和田少年愚連隊 カオルちゃん最強伝説 EPISODE1」の坂江正明が担当している。主演は「ピンポン」の水谷妃里。2003年日本映画監督協会新人賞受賞、文化庁映画芸術振興事業、文部科学省選定、青少年映画審議会推薦作品。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

1977年7月7日、釜山で行われた下関と釜山の親善陸上競技大会に、親友の真理、巴、玲子と共に出場した高校2年生の郁子は、同じ種目の韓国人青年・安大豪と恋をし、来年また大会で会おうと、チルソク(七夕)の約束を交わす。以来、ふたりは文通を通して絆を深め合うが、郁子の両親は韓国人との交際にいい顔をしない。それは、安の家族も同じことだった。やがて、安の手紙は途絶えるようになり、彼の母から文通を止めて欲しいとする旨の手紙が送られて来た。気落ちし、練習に身が入らなくなってしまう郁子。しかし、真理たちに励まされた彼女は、一年後、下関で開かれた大会で安と再会を果たし、楽しい一時を過ごす。そして、大学進学と徴兵を控える彼と4年後の再会を約束して別れるのだが、その後、それぞれの人生を歩き始めたふたりが会うことはなかった……。2003年、バブルの崩壊などで一時中止されていた大会が、10年振りに開催された。今は体育教師となり、大会の運営に携わっていた郁子は、そこで安と再会する。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2005年1月上旬新春号

日本映画紹介/外国映画紹介:チルソクの夏

2004年4月下旬号

キネ旬チョイス 「チルソクの夏」:佐々部清監督 インタビュー

キネ旬チョイス 「チルソクの夏」:作品評

2025/04/28

2025/04/28

81点

その他/DVD鑑賞 


日韓に跨がる青春

チルソク、七夕のこと。陸上部女子の話は初めてだが、中々の感動作だ。ほぼ同世代だ、私達と。歌は、イルカのなごり雪、山口百恵の、横須賀ストーリー、ピンクレディのカメレオン。2004年公開キネマ旬報ベストテン第⑨位、読者選出第⑩位

2020/03/02

2020/03/02

72点

選択しない 


これ見てると、市民レベルでの日韓関係はかなり改善されたのかなと感じる。韓国側からはヨン様とか韓流スター、KPOPのおかげ。
海を隔てて恋をする高校生、
日本海が天の川、ミルキーウェイ。
2人を隔てる者は海以外にも色々あって、
七夕・チルソクに一年ぶりに再会するというのは映画では表現しきれないくらい、2人にとっては、気の長くなるような時間だったのだろう。
なのに次会うのは四年後と言われるような心境は想像を絶する。
そしていつしか四年後に再会するというような純粋さは失ってしまい、それを青春として片付けてしまい、それぞれの人生を歩んでいく。
初恋は実らないというのも青春映画の醍醐味、条件か。
上野樹里をはじめ、女子高生4人が、学芸会みたいな台詞回しもあるけど、初々しくて、爽やかで、甘酸っぱい青春だなぁという感じがした。
下関の田舎具合も良い。青春映画の舞台は田舎に限る。
イルカのなごり雪が本当にいい味を出してる。
歌詞も合ってる。冬という以外笑

今の映像がセピアで、過去がカラーという演出も面白い。色褪せない夏の思い出なのだろう。

2009/06/24

2019/12/03

90点

その他/清水市民文化会館 


歌謡曲が元気をくれた時代

ネタバレ

この映画の女子高生たちと、僕の高校生時代が、完全にシンクロしている。歌謡曲が元気をくれた時代に、僕も確実に恋をしていた。そのシュチエーションは違っても、異性を想い求める気持ちは、変わらない。百恵ちゃん、ピンクレディ、ツイスト、イルカ…。様々な歌手たちが、恋のメッセージを、ストレートに僕たちに歌いかけていた。青春の思い出は、歌と共にあり。女の子たちは、みんなミーちゃんケイちゃんの振り付けに夢中になり、男子はフォーク、ニューミュージックに憧れギターをかきならしていた。

現在のモノクロシーンから始まり、1977年はカラーになる。監督曰く、『初恋のきた道』を意識したそうだ。26年後の郁子の手首に輝くブレスレット。意味ありげな描写が興味をそそる。

陸上部の四人の女の子の関係がとても好ましい。喧嘩することも当然あるが、いつも四人はまとまって行動していて、とても仲が良い。主人公の郁子は、あまり感情は表に出さない、もの静かなタイプのようだ。それと対照的なのが、まだブレイク前の上野樹里演じる真理。郁子とは正反対の直情系。このメンバーのムードメーカーだ。喜びも悲しみも、トラブルも真理がいつもリードしている。

郁子役の水谷妃里も静かに頑張ってはいるが、ここは上野樹里に完全に持っていかれている。まあ、真理の役は目立つので、有利ではある。しかし、郁子を陸上部に引きとめようと、部室で涙を流して説得する上野樹里の演技に注目せざるをえない。お好み焼屋での今後の男子との交際計画をあっけらかんとしゃべる真理の奔放さ。唖然と見つめる他の三人のショットが笑える。

韓国の高校生で、郁子と恋に堕ちるアンくん。郁子とアンくんの『ロミオとジュリエット』を彷彿とさせるバルコニーのシーンで、郁子の住所を書きとめるために、真理が調達してきた紙は、大笑いだった。

『ロミオとジュリエット』の他にも名作を意識したシーンがいくつか出てくる。郁子とアンくんの再会シーンは、『ウエスト・サイド・ストーリー』のマリアとトニーの出会いの構図そのままだ。船に向かって名前を叫ぶシーンは『望郷』だろう。このどれもが悲恋映画というのが、何だか二人の恋模様を暗示しているかのようだ。

話は戻るが、四人の女の子たちのシーンが、本当にどれも良い。真理の家のベランダで夜中に歌う「横須賀ストーリー」。怒られても、まだ歌い続けちゃう。それでも許しちゃうね。先ほども言ったが、お好み焼屋や部室のシーン。四人で行った、乃木神社の初詣。それぞれ違う色の着物。アンくんに会いたいと願ったのに、友だちには成績が上がるように祈ったとウソをつく、郁子の乙女心。韓国語の掛け声で、ランニングする四人組。「ここは日本だ」とコーチに言われると、更に声高に「イルイサンサオーリュチルパル」。この小娘たち、四人だといつも強気だ。そして四人で踊りながら歌う「カルメン’77」。笑っちゃうんだけど、一所懸命でかわいい。韓国の高校生たちは、みんな目をパチクリさせて呆気にとられていた。この頃、韓国ではこういう歌や踊りは珍しかったのだろうか。郁子を行かせるために、三人で先生を抑え込むシーンのチームワークには、涙交じりに笑ってしまった。

で、この映画で忘れてはならないのは、まだ、日韓の関係があまり良くなかった頃のお話。日韓の高校生同士の恋愛を、それぞれの親が、かなりの嫌悪感を抱いている。どうしてなのか、子供たちには理解できない。純粋な恋心を、引き裂こうとする大人たちの偏見。

郁子の父親役の山本譲二が、分からず屋の流しのギター弾きを好演している。父親に猛反対されながらも、父親のことを心配している郁子の気持ちが泣かせる。プレゼントされたギターで、歌う「雨に咲く花」が胸に沁みる。その時々に映画の中で歌われる曲の歌詞も、物語の内容にマッチしている。

まだ、日本の歌など歌ってはいけない時代の韓国。それでもアンくんが日本語で歌う「なごり雪」。偏見に凝り固まった大人たちへの、痛烈な挑戦状だ。過去の恨みは、どこかで一度清算しないと、いつまでも後を引く。郁子とアンくんには、過去の軋轢の責任などとれるはずもない。世代が変わったのなら、もう無かったことにしてもいいのではないか。そうしないと、いつまでも問題は解決しないだろう。

イルカの「なごり雪」は、エンディングでも流れるが、最初は韓国語だ。映画内でのアンくんの歌と対で、エールの交換のように聞こえて、感動的だった。名曲をお互いの国の言葉で歌う。これほど素晴らしいメッセージはあるだろうか。そして「なごり雪」は、やはり名曲だ。映画を観終わった後、観客の心には、いつまでもこの曲が流れ続けたことだろう。僕もつい口づさんでいた。

映画はまた、モノクロのシーンで終わる。「クンナンフ オボンゲートエソキダリルケ…」。そこからは、やはり懐かしい「なごり雪」のメロディが…。

2004年キネマ旬報ベストテン第9位。

2000年代

2019/04/16

55点

レンタル 


個人的相性

瑞々しい恋愛譚に込められた日韓交流のテーマには納得。ただ映画としてはそれ以上でも以下でもなく、「半落ち」然り、「夕凪の街 桜の国」然り、本作然り、佐々部清監督作品とは個人的相性がどうにも良くないってことを再認識。

2019/02/27

2019/02/27

75点

レンタル/東京都/TSUTAYA 


いい映画じゃないか

こういう映画には弱いんだ。リアルに日焼けした、手足の細い女の子たちが、しなやかに、初々しく、走ったりおしゃべりしたりするのを、遠目のカメラで追う。自然にきれいなんだから、普通のままでいい。元気でほっぺがパンパンの上野樹里も可愛いけど、主役の水谷妃里って子が素敵なんですよね。 仏頂面(のちにクール・ビューティと言われるに違いない)でエンピツみたいな細長い手足をしていて、走るのが早い。ぱっと見カッコいい女の子なんだけど、笑うと小動物みたいで急に可愛らしくなる。

外国の男の子が一目惚れしてしまいそうなこの少女と、純粋な目をした男の子が、どんな子どもっぽいつまらない話をしていようと、もうどうでもいいんですよ。自分たちがこのくらいの年齢のときに、はたから見てどんなに気の利かない、色気のない子どもだったか、それが大人になるとどれほど大事か、胸の奥がツーンとなります。

それと対照的なのが、大人になった彼女たちの大人らしい気の使い方。わかりやすい白黒の映像で描かれている、きらめきのない日常。でも最後にちょっとだけきらめきを思い出させてくれるところが、大人になった私たちには嬉しかったです。

2018/10/21

2018/10/25

65点

映画館/茨城県 


50年前と今と

ネタバレ

下関市と韓国釜山市との高校生の陸上競技の交流大会で、知り合った高校生男女の恋を描く。
下関と釜山は姉妹都市で、関釜陸上競技大会が開催されており、それに題材をとったもの。

1977年、釜山で行われた大会に参加した下関の女子高校生4人が、釜山の高校生安大豪と知り合い、4人の中の遠藤郁子と文通を始め、翌年の下関での大会での再会を約束する。
そして、その1年間の紆余曲折と、その26年後の2003年の下関で再開された大会での郁子が描かれる。

物語の輪郭はきっちりとしており、額縁に納まった絵画のような端正な映画である。その中で、4人の女子高校生が生き生きと描かれる。会話のほとんどは、男の子と、ヒット曲と、昨日のテレビと放課後の食べ物、そういう中に、韓国の男子高校生の話題も割り込む。

単純な青春物語ではなく、対馬海峡を隔てた恋物語である。そこに、多数の感情の総和としての世間の意識が加わる。
4人の仲間たちの周囲からも、韓国人と付き合ってはならない。という声が上がる。大豪の周囲からも、日本人と付き合うなと声があがる。

郁子と大豪が初めて話す場面を見て、彼女の仲間が言う「ロミオとジュリエットみたい」
図らずも、この言葉は二人の立場の本質を射抜いていた。
日本と韓国。この国を挟んで、恋愛が生まれれば、キャピュレット家とモンタギュー家のように、それは悲劇となる。

この物語は50年前のこと。さて、今はどうか。ニュースに現れるのは、両国の声の大きな勢力なので、さほど好転しているとは思えない。が、声なき大多数はどうか。そこが肝心。

4人の女子高校生の中で、真理を演じた上野樹里は抜群の存在感。この後、売れっ子となった。
主人公の郁子を演じた水谷妃理は、とびきりの美人女子高生。昨今の高校生映画で、ここまで美しい女子高校生には、めったにお目にかかれない。

茨城県那珂市瓜連のミニシアターあまや座開館1周年記念の佐々部清監督特集で鑑賞。