第一次世界大戦の最中。ロンドン市内に空襲警報が鳴り響き、慌ただしく人々が行き交うウォータールー橋で、イギリス軍将校ロイ・クローニン大尉(ロバート・テイラー)とバレエの踊り子マイラ・レスター(ヴィヴィアン・リー)は出会う。逃げ込んだ人々で満員の地下鉄の駅で、明日戦地へ向かうというロイに、マイラはお守りのビリケン人形を渡す。翌日、ロイは大佐との食事をすっぽかし、マイラが出演するオリンピック劇場へと足を運ぶ。マイラを食事へ誘うロイの手紙はバレエ団団長のマダム・キーロワに見つかってしまうが、マイラの友人キティの機転でロイとマイラは無事会うことができ、レストラン「キャンドルライト・クラブ」で楽しいひと時を過ごす。閉店前の最後の曲『別れのワルツ』が流れる中、口づけを交わし愛を確かめ合う2人だったが、マイラは彼とはもう2度と会えないだろうと思っていた。しかし翌日、フランス行きが2日延期になったロイが現れ、マイラにプロポーズ。将校の面倒な結婚の手続きのためロイは奔走し、上官に話を通してマイラを伴って聖マタイ教会へと向かうが、午後3時以降はできないという法律によって式は翌日11時に行うこととなる。マイラは宿舎へ帰り、友人キティと踊り子仲間に明日結婚することを告げ、皆が喜びに沸く中公演へ向かうちょうどその時、急に戦地へ発つことになったとのロイからの電話で、マイラはウォータールー駅へと向かう。しかしロイが乗る列車は動き出し、2人は互いの姿を遠く確認することしかできなかった。公演に遅れたマイラはバレエ団を解雇され、彼女を庇ったキティも共に解雇される。マイラとキティは初めはレビューのショーの仕事を、さらにはほかの様々な仕事も探すが、うまくいかず日々の暮らしにも行き詰まるようになる。キティはロイにバレエ団を解雇されたことを話すよう勧めるが、マイラのプライドはそれを許さなかった。ある日ロイから、ロイの母あマーガレット夫人が赤十字病院の仕事を休んでロンドンに上京しマイラに会いに来るという手紙が届く。粗末な部屋に呼ぶことはできずマイラは喫茶店で会うことにするが、なかなか来ないマーガレット夫人が来るのを待つ間、店員が親切で持ってきてくれた新聞の戦死者の記事欄にロイの名前を見つけてしまう。動揺したマイラは遅れてやってきたマーガレット夫人にまともな応対ができず、そんな彼女を不審に思ったマーガレット夫人はすぐ帰ってしまう。マイラが体調を崩し寝込んでいる間、キティは生活費とマイラの薬代のため娼婦に身を落としていた。いっそ死にたいと思うマイラだったが、生きていくしかないとキティに強く励まされ、自身も娼婦に身を落としていく。そんなある日、いつものように駅で客の兵士を探すマイラの前に、死んだはずのロイが現れる。死亡記事は誤報だったのである。マイラは罪悪感に苛まれながらも拒みきれずにロイの故郷スコットランドへ赴き、マイラへの誤解を解いたマーガレット夫人らクローニン家の人々に優しくもてなされる。その日の夜に開かれた舞踏会で、思い出の曲「別れのワルツ」でロイと踊りながら幸せを噛みしめるマイラだったが、罪の意識に耐えかねてついにマーガレット夫人に秘密を打ち明け、ロイには言わないでほしいと頼んで屋敷を去る。翌朝マイラの置き手紙を見たロイはマイラを探しにキティの部屋を訪れ、キティと共にマイラを探し回るうちに、彼女が言えなかった事情を察し、もう彼女が二度と自分の前に現れないことを悟る。
そしてマイラはロイと出会ったウォータールー橋を彷徨い歩き、軍用トラックに身を投げる。事故現場にはロイがマイラに返したあのビリケンのお守りが落ちていた。
月日は流れ、1939年。ロイはウォータールー橋の上で、ビリケンのお守りを手に回想する。「私が愛したのはあなただけ。これからもずっと。」というマイラの言葉を。
元祖すれ違いラブストーリー。原題はウォータールー橋。戦争がもたらした悲劇が哀しい。戦争はいつも女や子ども、弱い者をより苦しめる。
マイラの辿る運命は悲惨だが、それゆえにキャンドルライト・クラブでのダンスのシーンが美しく感動的だ。演奏が終わりに近づくにつれ、楽団員がひとつ、またひとつとキャンドルに蓋をかぶせて消していき、少しずつ暗くなるホールに浮かび上がる2人のシルエットは歴史に残る名シーンである。ヴィヴィアン・リーの瞳の煌めきの何という美しさよ…!