UNloved

あんらぶど|----|----

UNloved

レビューの数

6

平均評点

76.2(32人)

観たひと

49

観たいひと

7

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 2002
公開年月日 2002/5/25
上映時間 117分
製作会社 WOWOW=バンダイビジュアル
配給 サンセントシネマワークス
レイティング 一般映画
カラー カラー/ビスタ
アスペクト比 アメリカンビスタ(1:1.85)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 モノラル

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督万田邦敏 
脚本万田珠実 
万田邦敏 
プロデューサー仙頭武則 
協力プロデューサー片桐大輔 
久保聡 
撮影芦澤明子 
音楽川井憲次 
照明金沢正夫 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

多くの若手監督を輩出してきたJ・MOVIE・WARSシリーズの第5期作品。監督は、これが劇場映画初監督となる万田邦敏。主演に森口瑤子、仲村トオル、松岡俊介。2001年カンヌ国際映画祭で、レイル・ドール賞とエキュメニック賞をW受賞した。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

影山光子(森口瑶子)の勤める市役所に、ベンチャービジネスの起業家・勝野(仲村トオル)がやってくる。渡された完璧な資料の作り手を尋ねた彼は、光子を紹介される。それ以来、勝野は光子に急速に惹かれていく。2人は親しい仲になり、勝野は一緒に暮らそうと提案するが、光子は自分の生活が一方的に変えられようとすることを拒み、断る。そして、ふとしたことからアパートの階下に引っ越してきた青年・下川(松岡俊介)と親しくなる。勝野といる時と違い、ありのままの自分でいられる下川との付き合いは、光子にとってかけがえのないものとなっていくが……。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2011/09/20

2023/09/15

90点

選択しない 


森口瑶子がすばらしい

今見ても古くない。それだけ時代を超えて人を動かす作品だと思う。ヘタすると伝わることが難しい台詞を見事にこなした森口瑶子。彼女だからこそ、と思わせる女性像を感じさせた演技はすばらしい。

2002/08/26

2023/01/28

80点

映画館/東京都/ユーロスペース 


会話の格闘技(公開時に書いた感想)

2002年度キネ旬ベスト・テン15位作品。

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自分の今の生活レベルを分相応と思い、
他人に何と言われようとも現状に満足なのだから、
他人の生活をうらやみ上を目指そうという気持ちが無い女。

彼女の前に、
女をきれいなもので着飾ったりいい物を食べさせることこそ愛情表現だと思っている上昇志向に満ちた会社の社長が現われるが、
彼女は彼の一方的な態度に反発して別れる。

彼女は自宅の古いアパートの下の階に住む男に対し、
社長とは逆のタイプの男として惹かれるが、
男は運送会社の仕分けという地味な今の仕事に不満を感じ、
妬みと憧れだけで、今の生活を捨てて社長のようになると言い出し、
そうした考え方を嫌う女と言い争いになる。

男たちは、社会的地位とか財力とか、他人にどう見られるかを重要視し、
逆に嫉妬心が心を卑屈にし、
自分自身をしっかりと持っている主人公の女にそれを指摘されると、
「ぼくの気持ちがわからないのか?」といじけた応対をする。

男たちの甘えた気持ちをことごとく跳ね返す女の言葉が、
まるで的確なパンチを繰り出すボクシングを見ているような面白さはある。

ほとんど動かないカメラワークと普通の構図、
それに、2人の人間が、作りこまれた台詞を棒読みで決して同時にしゃべらずにかわりばんこにしゃべるといった、
リアリティの無い、舞台劇のような様式の台詞のやりとりに面食らったが、
これはこれで面白く、上記で述べたように台詞による格闘技のような面白さがある。

この映画は、男と女の恋愛劇と見せかけて、
実は「高望みをしない生き方」と「向上心に燃える生き方」の、
それぞれのライフスタイルの間の戦いを描いている。

例えば、一人の人間のなかで、どちらの生き方をするかで葛藤しているような状態を、
ライフスタイルを擬人化して人対人の戦いとして見せているようなものである。

だから、どちらが正しいかといった答えは人それぞれなので映画で示せるはずもなく、
戦いそのものを見せているような映画である。

普通、周りに流されない生き方をしている役は女性よりも男性の方がしっくり来ると思われるが、
ここでは敢えて女性にしているということは、
何もリアリティのある女や男を描こうとしているのではなく、
生き方の違いを描きたいのであって、
性別の違いを描くのではないということだろう。

(以下ネタバレ)



ラスト、かたくなだった女を男の優しさに包み込むような形で終わるのは、
上で述べたようにもともと決着をつけられない話の映画を終わらせるためのオチに過ぎないのかもしれないが、
正しいか正しくないかだけの厳格さではなく、
緩やかさがあって人間関係が成り立つことを感じさせる。

2002/06/16

2017/04/09

50点

映画館/東京都 


ちょっと恥ずかしい

『中学生日記』30歳版。見ていて木っ端恥ずかしくなりました。しかし、主役二人みたいな男ばっかりだと思われちゃ困る。

2004/07/25

2014/09/29

60点

レンタル 


世間から流されない事を守り続ける女

世間から流されず、いまの営みを続けていく事を頑に守ろうとする女と、そんな彼女を愛した2人の男。
「今のままで良い」と強く望む女の生き方を受け入れ、彼女と互いに選択し合って最終的に結ばれるのは、どちらの男なのか。
悪くはないのだが、今ひとつ面白みにかける。

2012/06/22

2012/06/23

92点

レンタル 


愛の叙情詩

8mmフィルムの粗さが作中に一貫して漂う湿度を保っている。
痛々しい、自分が幾度も口から出した、そして聞いた言葉の数々。
物事の真理を体現しつづけることは恐ろしいくらい孤独を呼ぶ。
作中の人物達が吐く言葉は肩すかしを食らっているはずなのに、
僕の心には痛く突き刺さる、不思議な体験でした。
映画の作り方、ジャック・ドワイヨンの映画構成に似通った、会話から構築される物語。
皆言わされている台詞が段々とフィルムの粒子と画角(常にカメラをのぞき続けなければいけない)に合わさり、
1人の語り部が呟く叙情詩のようにしみ込んでいく。

2012/01/31

2012/01/31

90点

映画館 


どうやっても埋められない溝

 本作は3人の人物による会話劇だ。過不足ない現状に満足している女、仕事で成功したバツイチ男、そして上昇志向の若者。一見ステレオタイプになりそうな人物による三角関係だけで観客を引き込む力は凄まじいものがある。それは、彼らが相手に言い放つどの台詞かには、自分も思い当たる節があるからだろう。
 コミュニケーションとは、相手の気持ちを考えることから始まると思う。けれども、相手に歩み寄るということは、自分にウソをついていることにもなる。だからこそ、彼らは自分を曲げることも、自分から相手に歩み寄ることもしない。自分の理想に相手が近づくことをただ願っている。そんな理想と現実が自分の思い通りにならないからこそ、彼らは焦り、そして苛立つ。    
 人間は誰もが自分らしく生きたいと思っている。自己愛やプライドが高いからこそ、自己を防衛し、肯定するような態度しか相手に取れない。あるいは、自分の弱みを突かれたくないと思い、強がってしまう生き物だ。自分に対して妥協し、相手に歩み寄るのを「負け」だと頑なに思ってしまう。
 しかし、そうやって頑なに自己変革を拒めば、人間は孤独になってしまう。そんな状況には耐えることができない。ジレンマの中で、人間は苦悩する。自分と相手の人生観や価値観の相違から生まれる、どうしても埋められない溝。その深く暗い亀裂を目の当たりにした時、自分ならどうするだろうか。真剣に人生を考えたことがある者なら、絶対に避けて通れない普遍的な問題が、膨大な会話の端々から浮かび上がっている。
 言葉で何もかも説明することは、映画においては批判されることが多い。けれども、本作はその積み重ねにより、人間を見事に捉えている。自分は3人とは全く違う人間であり、全く同じ人間でもあると思ってしまう。だからこそ、1つの台詞が、まるでナイフのように心を抉っていく。人間の痛々しさを画面に焼き付けた傑作だ。