アマデウス ディレクターズ・カット版

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アマデウス ディレクターズ・カット版

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レビューの数

30

平均評点

83.4(196人)

観たひと

353

観たいひと

25

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル 伝記
製作国 アメリカ
製作年 2002
公開年月日 2002/9/7
上映時間 180分
製作会社 ソウル・ゼインツ・カンパニー
配給 ワーナー・ブラザース映画
レイティング PG-12
カラー カラー/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 ドルビーSRD

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演F・マーリー・エイブラハム Antonio Salieri
トム・ハルス Wolfgang Amadeus Mozart
エリザベス・ベリッジ Constanze Mozart
サイモン・カロウ Emanuel Schikaneder
ロイ・ドトリス Leopold Mozart
クリスティン・エバソール Katerina Cavalieri
ジェフリー・ジョーンズ Emperor Joseph ?
チャールズ・ケイ Count Orsini-Rosenberg
ケネス・マクミラン Michael Schlumberg
ケニー・ベイカー Parody Commendatore
リザベス・バートレット Papagena
バーバラ・ブリン Frau Weber
マルチン・カバーニ Young Salieri
ロデリック・クック Count Von Strack
ミラン・デムヤネンコ Karl Mozart
ピーター・ディゲス Francesco Salieri
リチャード・フランク Father Vogler
パトリック・ハインズ Kappelmeister Bonno
ニコラス・ケプロス Archbishop Colloredo

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

モーツァルトの死をめぐる絢爛豪華な舞台劇を映画化し、アカデミー8部門を独占した「アマデウス」に、20分の新たな映像が追加されたディレクターズ・カット版。全編にちりばめられたモーツァルトの名曲の数々が、最新のデジタル音響で鮮やかに甦る。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

1823年11月、凍てつくウィーンの街で1人の老人が自殺をはかった。「許してくれモーツァルト、おまえを殺したのは私だ」、老人は浮わ言を吐きながら精神病院に運ばれた。数週間後、元気になった老人は神父フォーグラー(リチャード・フランク)に、意外な告白をはじめた。--老人の名はアントニオ・サリエリ(F・マーリー・エイブラハム)。かつてはオーストリア皇帝ヨゼフ二世(ジェフリー・ジョーンズ)に仕えた作曲家だった。神が与え給うた音楽の才に深く感謝し、音楽を通じて神の下僕を任じていた彼だが、神童としてその名がヨーロッパ中に轟いていたウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(トム・ハルス)が彼の前に出現したときその運命が狂い出した。作曲の才能は比類なかったが女たらしのモーツァルトが、サリエリが思いよせるオベラ歌手カテリナ・カヴァリエリ(クリスティン・エバソール)に手を出したことから、彼の凄まじい憎悪は神に向けられたのだ。皇帝が姪の音楽教師としてモーツァルトに白羽の矢を立てようとした時、選考の権限を持っていたサリエリはこれに反対した。そんな彼の許へ、モーツァルトの新妻コンスタンツェ(エリザベス・ベリッジ)が、夫を音楽教師に推薦してもらうべく、音譜を携えて訪れた。コンスタンツェは苦しい家計を支えるために、何としても音楽教師の仕事が欲しかったのだ。フルートとハープの協奏曲、2台のピアノのための協奏曲…。 譜面の中身は訂正・加筆の跡がない素晴らしい作品ばかりだった。再びショックに打ちのめされたサリエリは神との永遠の訣別を決意した。神はモーツァルトの方を下僕に選んだのだ。ある夜の、仮面舞踏会。ザルツブルグから訪れた父レオポルド(ロイ・ドートリス)、コンスタンツェと共に陽気にはしゃぎ回るモーツァルトが、サリエリの神経を逆撫でする。天才への嫉妬と復讐心に燃えるサリエリは、若きメイドをスパイとしてモーツァルトの家にさし向けた。そして復讐のときがやってきた。皇帝が禁じていたオペラ「フィガロの結婚」の上演をモーツァルトが計画したのだ。サリエリがスパイから得た情報を皇帝に密告したとも知らず、モーツァルトはサリエリに助けを求める。それを放っておくサリエリ。やがて父レオポルドが死んだ。失意のモーツァルトは酒と下品なパーティにのめり込んでいく。そして金のために大衆劇場での「ドン・ジョバンニ」作曲に没頭していくモーツァルトに、サリエリが追い打ちをかける。変装したサリエリがモーツァルトにレクイエムの作曲を依頼したのだ。金の力に負けて作曲を引き受けるモーツァルトだが、精神と肉体の疲労は想像以上にすさまじく、「魔笛」上演中に倒れてしまう。コンスタンツェが夫のあまりの乱行に愛想をつかし旅に出てしまったために無人になった家に、モーツァルトを運び込むサリエリ。仮装した彼は衰弱したモーツァルトにレクイエムの引き渡しを迫る。サリエリは作曲の協力を申し出て、一晩かかってレクイエムを仕上げさせるが、翌朝、サリエリが強いた過酷な労働のためか、モーツァルトは息を引きとった。モーツァルト35歳、1791年12月のことだった。すべてを告白し、いまや老いさらばえたサリエリひとりが、惨めな生を生きるのだった。

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2010/08/28

2021/02/28

-点

映画館/神奈川県/TOHOシネマズ海老名 
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ジェラシーは魔物を呼ぶ

「午前十時の映画祭」

この映画祭の上映ラインナップで、80年代の映画については封切りロードショーで観たものが多い。そうなると不思議なことに過去の名作という色合いが抜ける。
少なくとも「懐かしい」という感覚に乏しいのは80年代から映画はビデオ市場と併走することになったからだろう。一度パッケージソフトとしてカタログ作品になってしまうと、ビデオショップの棚に基本在庫として身近に存在し続けることになる。
とくに『アマデウス』のようなクラシック音楽を題材とするドラマがビデオ屋の商売にどこまで貢献したのかは別として、やはりオスカーウィナーを外すことはできない。
自分がやっていた店でも『アマデウス<ディレクターズ・カット版>』はVHS二巻組の厚めのパッケージで最後まで陳列されていたことを思い出す。

それでも公開からすでに四半世紀が経つ。この映画は有楽町の日劇跡に新設されたばかりの有楽町マリオンで観た。
その映画館の階下にあった西武百貨店がこの年末で閉店するというのだからやはり25年はそこそこの時間であるに違いない。
しかしモーツァルトという巨大な存在がある限り『アマデウス』という映画は永遠に色褪せることはないのではないか。
今回、25年ぶりにスクリーンで再会して、改めてその意を強くした。

今回上映されたのは、松竹富士から最初に封切られたものよりも20分長く、上映時間180分という大作としてワーナーブラザーズが再公開したディレクターズ・カット版だ。

正直言うと長くてしんどかった。
さすがにどの場面が20分追加されて、ミロッシュ・フォアマンがどのように再編集したのかはさっぱりわからなかったが、やはり3時間はきつい。付け足された20分間ぶんは散漫に観てしまったのではないか。
そもそも、この長さ楽しむのには、オペラや宮廷音楽などクラシックにある程度の素養が必要なのではないかと思ってしまう。
現実、『フィガロの結婚』『ドン・ジョヴァンニ』などの舞台模様など、楽曲が作られた経緯を知っていれば、映画との虚実皮膜を楽しめたのだろうし、純粋にドルビーデジタルサウンドによる音楽にも酔いしれることもできたのかもしれない。
さらに当時のザルツブルグがオーストリアではなく、ドイツ国という概念でもなく、あくまでも「ドイツ国民の神聖ローマ帝国」だったという時代背景が前提にあり、そこがまったく無知であるため、モーツァルトが皇帝に「ドイツの心、それは愛です」と宣言し、ドイツ語オペラを企画する件など、モーツァルトの信条を理解するには至らないもどかしさもあった。
もっとも25年が経過して、『アマデウス』はサリエリを演じたF・マーリー・エイブラハムの苦みばしった表情とトム・ハルスのモーツァルトの「キャァハハハ~」という奇声しか印象に残っていなかったので、おそらく封切り当時から前のめりに観ていたわけではなかったのだろう。

ただ、クラシック音楽には無知な私でも、巨匠モーツァルトに対して、映画は相当にカリカチュアライズして描いたことだけはわかる。
奇声を発しながら女の尻を追いかけ、卑猥な言葉を連発する下品極まりない行動の数々。実際のモーツァルトの実像がそれに近かったのかもしれないが、そこを遠慮なしに描いたのはすごかったと思う。
もともと脚本も担当したピーター・シェーファーの書き下ろした戯曲の映画化だということだが、モーツァルトの心酔者からはかなりの顰蹙を買ったらしく、だからこそオスカーに結びついたのではないだろうか。(因みにピーター・シェーファーはかの『フォロー・ミー』の脚本家でもある。)

そして今回の観賞ではもうひとつの当たり前に気がついた。
映画はモーツァルトよりサリエリこそカリカチュアライズしていたのではないかということ。
実際、35歳という早すぎるモーツァルトの死の陰にはサリエリによる謀殺説もあるようで、まさか映画のように、レイクエム『魔笛』を書かせるため、変装までして衰弱していたモーツァルトを追い込んで死に至らしめるなどということはなかったにしても、天賦の才能に嫉妬し、魂を悪魔に売った挙句に精神病棟で廃人扱いされるまでのサリエリをよくぞ描ききったものだと思う。
サリエリの腸が煮えくり返るほどの憎悪の対象としてのモーツァルトだからこそ、あのように良識派の眉をしかめさせるようなキャラクターが必要だったのだろう。

確かに凡庸な私でさえ、あまりにもかけ離れた才能を目のあたりにし、しかもその主が下品でだらしない女たらしの若造だったというのでは、才能に生きる芸術家として、神を呪いたくなる心情は想像がつく。
モーツァルトを熱演したトム・ハルスもオスカーにノミネートされていたが、やはりF・マーリー・エイブラハムこそオスカーに相応しかった。

『アマデウス』はモーツァルトではなくサリエリの映画だった。

2020/08/27

2020/08/27

90点

レンタル/東京都/TSUTAYA 
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やっぱり大傑作だなぁ

1984年の作品か。私はどうやって見たんだろう?公開まもなく見て、アマデウスの才能と品のなさ(あの高笑い!)、サリエリの嫉妬深さや狡猾さに強烈な印象をもった記憶があって、いつか見直そうと思ってました。改めて見てみると、アマデウスと妻がいちゃつく場面なんかは、ソフィア・コッポラ的。虚飾の果ての崩壊は美しい。若い天才を追い詰めて死に至らしめる悲劇は胸を打つ。このキャスティングは本当に素晴らしすぎますね。F.マーリー・エイブラハムもすごいけどトム・ハルスの無邪気さや破滅的なもろさに胸を打たれました。

いま見ても、前と同じように胸が痛くなるなぁ。アマデウスがマイケル・ジャクソンとかエイミー・ワインハウスとか、天才的な才能を持ちながら周囲の期待やあつれきや嫉妬に押しつぶされて夭逝した人たちと重なってくる。夭逝しないまでも押しつぶされてしまった人は大勢いる。彼らの”取り巻き”、お金や才能に群がってきていた人たちは、自分にないものを持つ彼らに憎しみを持っていたのかもしれない。憎まれて当然の人にたかっているだけだ、と思わなければ取り巻きにはなれない、人間って自分を常に正当化するから。(逆に憧れ続けるのも残酷なんだよね。もしアマデウスがサリエリが憧れるような上品で美しい若者だったとしても、どこかのタイミングで期待を大きく裏切るかもしれない。)

画面の中のことを現実として胸を痛めてしまうくらい、アマデウスは本当に才気ばしった青年だしサリエリは悪魔みたいだ。でも、若い頃に見たときと違って、サリエリが特殊な悪魔だとは思えない。このくらいの悪魔はいくらでもいるし、サリエリのかけらはたいがいの人の心の片隅に、隠れてるけど、ある。

思ってたより美しく、リアリティと痛みに満ちた傑作でした。構成も完璧だし配役も演技も素晴らしい。上手というようなレベルじゃなくてそれぞれが一瞬、一瞬を生きてる。アカデミー賞8部門独占もなるほど、でした。

2019/08/06

2019/08/06

88点

その他/録画スターチャンネル 
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“レクイエム”が圧巻

 素晴らしかった。

 アマデウス・モーツァルト(トム・ハリス)ではなく、彼の敵でもあり、理解者でもあったサリエリ(F・マーリー・エイブラハム)の語りを中心として展開されて行く所が、元々戯曲から始まったこともあり、本当に面白い。

 そして、そのサリエリの羨望と嫉妬から、モーツアルトを死に追い詰めて行く所が凄まじい。それでも、“レクイエム”の作曲に至っては、二人が段々に信頼し合う事になり、苦しみながら曲を完成させていく所が圧巻。本当にここが素晴らしかった。 

 そして、モーツァルトの音楽の美しさもさることながら、オペラの場面も、“フィガロの結婚”などのさわりも次々と見せてくれるのは本当に贅沢なことだ。

 ディレクターズ・カット版なので3時間と長かったが、じっくり見せてくれた。傑作と思う。

2019/05/04

2019/05/04

65点

レンタル 
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前からずっと見たかったやつ! とはいえ、家で見ると集中できないのでつらい…。ほとんど流し見になってしまった。
とはいえ、大道具小道具とかすごい豪華で見ごたえあったなー。画面の作り方や演出なんかも、時代感じさせなくて見やすくてありがたい。ものによるけど古臭くて見てられないものとか、古臭さが逆に気持ちよくて見てて楽しいものとか色々あるんだけど、今回はまったく違和感なく見られた。
ひたすら奔放で無邪気で放埓なアマデウスと、生真面目で善人で誠実で、だからこそ本心を出せないサリエリの対比がすごくいいねえ。悪気はないんだろうけどそれは言っちゃあかんやろ…みたいなせりふ連発のアマデウス…ははこいつめ……
才能は好き、でも本人は嫌い、でもそれは嫉妬でよくない感情だ、でも蓋をしたくても出来ない…みたいな葛藤で道を踏み外すサリエリは、踏み外した端から後悔して、でも軌道修正もできるわけがなくて、堕ちていったんだろうなあ。そこで最後に向けられるアマデウスの言葉の穢れのなさゆえの刃よ…。
サリエリにはめちゃくちゃ刺さっただろうなあ…。役者さんの演技もいいなあ。そして最後の、精神病院でのサリエリの去っていく時のせりふが悲しいけれどもいっそ清々しい。虚勢でなくて心底そう開き直れてしまったら、もっと彼も救われたのかもしれないけれども。

2000年代

2019/04/09

85点

レンタル 
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時代の爛熟した息吹

ネタバレ

類い稀なる才能に恵まれながらも、人並外れた放蕩ゆえに自ら朽ち果てゆくモーツァルト。そして、陰微な快楽と剣呑な羨望が入り混じった複雑な眼差しで、一人の天才の自滅を見詰めるサリエリ。

そんな、ふたりの男の禍々しい生き様を対照鮮やかに紡ぎ出しながら、全編に猥雑なバイタリティと濃密なデカダンムードを醸し出した名匠M・フォアマンのラディカルな視座とセンセーショナルな語り口が光る異色にして出色の人間ドラマ。それはまた、物語の要所に響く壮麗なクラシック音楽を背景に、劇場や宮殿の豪奢なインテリアや、人々の衣装やメイクといった時代風俗を完成度高く再現し、バロックからロココへと移行する時代の爛熟した息吹を生々しく掬い取ったリアリスティックな歴史劇でもある。

あと、エキセントリックな役柄を果敢に挑戦したT・ハルス、F・M・エイブラハムの熱演怪演が心に残る。

2017/01/02

2017/01/02

80点

その他/録画BSスターチャンネル 
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全編でモーツァルトの曲を堪能

ネタバレ

 何と言っても、全編でモーツァルトの音楽を堪能させられる。

 私は決して詳しくないが、オペラも「魔笛」や「ドン・ジョバンニ」、「フィガロの結婚」を少しずつ観ることが出来て嬉しい限りだ。

 そして、サリエリがモーツァルトの才能に嫉妬し、そしてその人柄を憎んで憤慨し、その為に神を呪う所。だが、"レクイエム"を作曲させるうちに尊敬の念も織り交ざってくるあたりが本当に素晴らしい。

 そのサリエリのF・マーリー・エイブラハムが上手かった。モーツァルトのトム・ハルスも後半になるに従い、執念で曲を産み出していく所が凄かった。 

 私自身、体調があまり良くなく、3時間は少し辛かった。また、ラストで何故無縁墓地に行くことを妻もサリエリも容認したのかが解せなかった。

 しかし、やはり素晴らしかったと思う。