まさに題名通り不思議な映画だが、今観るとロシアという国、国民性を理解するのに、かなり役立つように思われる。
製作された1986年は旧ソ連邦が崩壊する直前であり、日本で公開されたのは何と2001年、プーチン政権が成立した直後。
わけも分らず、別の惑星に飛ばされたロシア人の男二人が、そこで彼らからすると全く不条理で理解できない体制に直面する。その実態を面白おかしく描いているところが実はかなり皮肉を効かせた表現ということなのだろう。
冷戦末期で欧米的資本主義と民主主義の波がソ連邦内にも押し寄せていたわけだが、彼等から見るとそのお仕着せの主義思想は全くおかしなものにしか見えない。ただ、付き合っていく内にはそのおかしな主義思想も理解するようにはなるが、彼等自身のスタイルは頑固に変えようとはしない。
プーチンが常に主張してきた、自分達は自分達の主権下で行うことに対し他国の主義主張で判断したり、それを押し付けることは止めてもらいたい。自分達も他国の主権は尊重して口出しするつもりはない。ウクライナ侵攻については旧ソ連邦解体時のいきさつ等複雑な事情もあるようで、我等欧米からの情報にしか接していない者には一方的にロシアが悪いように感じているが、必ずしもそういった単純な話でもなさそうだ。(高倉健の仁侠映画的な一面もあるらしい。)もちろん、いかなる理由があったとしても、プーチンの採った対応は許されることではないが、ロシア人の思想、信条を考えるには恰好の教科書的作品だったような気がする。