息子のまなざし

むすこのまなざし|Le Fils|The Son

息子のまなざし

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レビューの数

27

平均評点

75.0(99人)

観たひと

175

観たいひと

28

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 フランス
製作年 2002
公開年月日 2003/12/13
上映時間 103分
製作会社 アーチペル35=レ・フィルムズ・ドゥ・フルーヴ=RTBF
配給 ビターズ・エンド
レイティング
カラー カラー/ビスタ
アスペクト比 アメリカンビスタ(1:1.85)
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

自分の息子を殺害した少年に対峙する男を描いたドラマ。監督・製作・脚本は「ロゼッタ」のジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ兄弟。出演は「天使の肌」のオリヴィエ・グルメ、新鋭のモルガン・マリンヌほか。2002年カンヌ国際映画祭主演男優賞、エキュメニック賞特別賞、同年ファジル国際映画祭グランプリ、主演男優賞、同年ベルギー・アカデミー最優秀作品賞、監督賞、主演男優賞受賞。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

オリヴィエ(オリヴィエ・グルメ)は職業訓練所で大工仕事を教えている。ある日、そこにフランシス(モルガン・マリンヌ)という少年が入所してくる。彼は大工のクラスを希望したが、オリヴィエは手一杯だからと断り、フランシスは溶接のクラスに回される。しかしオリヴィエは人に気づかれぬよう、フランシスを追う。そんな彼の行動を、別れた妻のマガリ(イザベラ・スパール)がなじる。フランシスは、彼らの息子を殺害して少年院に入っていたからだ。しかしオリヴィエとフランシスは徐々に打ち解け合い、ある時、共に材木の仕入れに行くことになる。だが材木置き場に到着した時、オリヴィエはついに、フランシスが殺したのは自分の息子だったことを告げる。逃げるフランシス。オリヴィエは彼を捕まえ、首に手をかけるが、すぐに手を放してしまう。そして二人は、一緒に材木を車に積むのだった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2004年2月上旬号

日本映画紹介/外国映画紹介:息子のまなざし

2004年1月下旬新春特別号

劇場公開映画批評:息子のまなざし

2023/07/13

2023/09/03

80点

VOD/U-NEXT/レンタル 
字幕


職業訓練所で大工仕事を教えているオリヴィエ。始めは新しく入所したフランシスを気に掛ける理由が分からないけれど、その理由を知った時にあまりの重さに愕然とする。ひとつはオリヴィエが体験した悲しみと怒りに、もうひとつはまだ幼さが残るフランシスの罪そのものに。が、少し口下手なところはあるものの、職人としてのオリヴィエを尊敬していて、皮肉にもフランシスはオリヴィエに父親の姿を見ていた気がする。だからこそ、オリヴィエが真実を告げた時のフランシスの言動に、大きな失望を抱いてしまった。結局は自分本位で、本当の意味では罪と向き合えていなかったのか、と。ただ、オリヴィエの元に戻ってきたフランシスは、今度こそ、真剣に罪と向き合う準備が出来たのだと思いたい。

2023/06/01

2023/06/01

29点

選択しない 
字幕


思い上がり

5年収容されても自分の事ばかり。
幕引きに希望など無い。

2023/05/10

2023/05/30

75点

レンタル 
字幕


身長は169センチか。目測の達人。

ネタバレ

ダルデンヌ兄弟監督の初期の作品。オリジナル脚本で、どこからモチーフを得るのか、常に身近な
人間の深い葛藤が見られる。兄弟監督という場合、二人の話のキャッチボールで脚本が深化する
のではないか。手持ちカメラで長回し、人物に接近した映像は息詰まるような効果を上げる。これは
ドキュメンタリー映画で鍛えた人間観察だろうか、ダルデンヌのトレードマークでもある。

職業訓練所の木工部で少年たちを黙々と指導するオリヴィエがいる。新人が回されたが、手一杯と
断ると、少年は溶接部に。しかしオリヴィエはその少年に見覚えがあった。溶接部のヘマで、やはり
木工部で面倒を見ることになった。少年はフランシス。5年前にオリヴィエの幼い息子を殺した少年
だったのだ。少年院を出て職業訓練所に回されて来た。
オリヴィエは別れた妻に会い、息子を殺したフランシスが木工部に回されてきた、という驚くべき事実を
伝えると、元妻は「関わらない方がいい」と助言する。彼女は、新しい夫との間に新しい命を授かって
いたのだ。

オリヴィエはフランシスにも普通に技術を教える。フランシスもオリヴィエの目測の確かさに技術の
深さを知る。彼の身長を1センチも違わずに当てる。
そしてオリヴィエはフランシスと教材に使う材木を仕入れに製材所を訪れる。フランシスはオリヴィエの
特別扱いに疑問も持たずに同行する。
二人きりであれば、オリヴィエはフランシスの個人的な過去を聞き出す、少年院入りした事情を。
フランシスは口が重かったが、熱心なオリヴィエの口調にほだされた。小学校高学年の年齢で、
盗みに入ったクルマの中で、幼い子供に騒がれ、もみ合ったまま首を絞めて殺してしまったという。
冷静に材木選びをしていたオリヴィエは、その子供は自分の息子だ、と宣言した。フランシスは何が
起きたのか理解できない。しかし自分にとっては都合の悪い話だ。素早くオリヴィエから離れ、追ってくる
彼に材木を投げる。

オリヴィエは冒頭から終盤まで寡黙。それが激発したかのように、その子供は自分の息子だ、と叫ぶ。
一転、ドラマは針が振り切れたように沸点に到達する。この強弱のリズムは凄い。

2023/04/25

2023/04/25

68点

VOD/U-NEXT 
字幕

職業訓練校で講師を務める木工職人オリヴィエのところに、かつて息子を殺した犯人の少年が生徒として入校してくる事で、主人公のギリギリの感情を切り取るような作品になっているが、とにかく一言では表現出来ない複雑な心情が全編に漂っている。

音楽が一切なく、セリフも少ない。
主人公のオリヴィエも職人気質で、愛想も良くなければ口数も少なく、辛い過去のせいもあるかもしれないが、喜怒哀楽が表に殆ど出ない。
前科があったり、身寄りがなかったりするような少年達に仕事を教え、真面目で素っ気なく面白みこそないが、生徒達との関係も悪くはない。
息子を殺された事で離婚した妻には、再婚相手との間に赤ちゃんが出来たようで、犯人の少年と鉢合わせた日にたまたまその報告に来た妻に、思惑があってのことか、と詰め寄るくらいの感情的な部分は持ち合わせている。

物語は終始、オリヴィエが腹の底で何を考えているかわからないまま進んでいく。
最初に少年が犯人な事に気が付き関わらないでおこうと拒否するが、、気になって様子を伺いにいったり、妻の妊娠を聞いて、突如何故か彼を自分のクラスに編入させたり、何がしたいか想像するのが難しい。
恨んでいるのか、赦しているのか、復讐したいのか、受け入れたいのか、その複雑な感情は、仕事を教える淡々とした様子からは察するのが難しい。
わざわざ妊娠中の妻にそれを伝えに行きながら、関わっていないとうそぶいたり、何がしたいのか、本人にもわかってないようなぐちゃぐちゃな感情の中にいながら、理性を保って接している。
だが、仕事を教えたりする様子に裏や嘘があるようにも思えない。

常に葛藤が見え隠れするオリヴィエだが、それでも息子を殺された犯人を相手にあれだけ平静を保てることが驚きだ。
再婚して再出発しようとしている妻のほうが遺恨が激しい。

少年がどんな人物かを吟味し、それ次第では復讐しようと目論んでいるわけでもないのだが、それでも真実や犯人の感情を知りたい気持ちを抑える事も出来ず、絶妙な関係で進んでいく。
犯人側の少年の目線で見てみるととてつもなく恐ろしく驚異の存在にも見える。
後見人にまでなってもらいたいと信用した先生が自分が殺した子供の親だと知った時の動揺は最もだったとは思うが、個人的には少年がまともに反省してるようにも思えず…。
ただただ少年院に5年いたから、自分は十分罪を償った、これ以上辛い思いをするのはごめんだ、みたいに子供の人生を奪っておいて開き直ってるような態度は、オリヴィエの立場からしたら我慢ならなくて当たり前だっただろうと思うのですが、むしろあの本心を目の当たりにしてよくあそこで耐えて冷静さを取り戻したなと。
逆に、少年もあれだけ逃げ回っておきながら、何もされないとわかったからなのかなんなのか、普通に手伝いに戻って淡々と2人で作業をこなすラストがなんともいえない気持ちになりました。
自分がオリヴィエだったら、いくら殺意がなくてもあの感じだと許せなくなっちゃいそう。

2022/03/13

2022/03/13

75点

VOD/U-NEXT/レンタル 
字幕


緊迫の時間

ネタバレ

1997年の「イゴールの約束」の5年後。ちょっとスリムになったパパは、今度は複雑な思いを抱えた父親となっている。堅い仕事をしている真面目な男だ。少年院にいる男の子を引き取って製材を教えている。観客はわりと早い段階から彼の葛藤を共有することになる。よいキリスト教徒でいようとか、そういうことを思ってるんだろうか?自分の敵に当たる少年を保護して更生を促すのか。でも怒りと憎しみは押さえつけられてるだけで無くなったわけではない。

「イゴール」より、常時緊迫してる。この父親の理性にいろんなものが依存している。現実を受け入れて冷静でいるように見える彼は、車の中で少年に自分が犯した罪について繰り返し、何度も何度も訪ねる。間を置くけどちゃんと話はつながってる。少年のほうは、その不自然さに気づいてたんだろうか。

そして告白と逃亡、追跡。父親は自分の息子を絞殺した少年に固執する。首に手をかける。殺されるって思っただろうな、この子。でも生きていた。この場面がまた長回しなんですよ。

彼らは作業場に歩いて戻ってくる。しばらく緊迫した空気が流れるけど、作業を再開する。

後見人の話は流れるんだろうな。父親は数年後に、息子のこともこの子のことも思い出すだろう。この子はこの日のことを一生背負っていくんだろう。生きていくって重たいね…。

オチもカタルシスもないのはいつものことだけど、緊迫の時間の迫力が印象的だったので、今まで見た中では特によかったと思います。

2021/05/20

2021/05/20

80点

レンタル/東京都/TSUTAYA/TSUTAYA 吉祥寺店/DVD 
字幕


ヒューマンドラマ

まるでドキュメンタリー映画を見ているようなカメラワークで、台詞も少ないのでどういう状況なのかを把握するのに時間がかかる。だんだんと設定がわかってくると目が離せなくなる緊張感がすごい。計算して仕上げた監督とそれに応えた俳優たちは素晴らしい。