カラマリ・ユニオン

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カラマリ・ユニオン

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レビューの数

8

平均評点

69.4(49人)

観たひと

85

観たいひと

14

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 フィンランド
製作年 1985
公開年月日 2002/1/26
上映時間 80分
製作会社 ヴィレアルファ
配給 ユーロスペース
レイティング 一般映画
カラー モノクロ/ビスタ
アスペクト比 アメリカンビスタ(1:1.85)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

フランクという名の15人の男たちが繰り広げるシュールな寓話。監督・脚本はアキ・カウリスマキで、「罪と罰」に続く長編第2作。出演は「罪と罰」に引き続きマッティ・ペロンパーやマルック・トイッカ、ロック・バンドレニングラード・カウボーイズのメンバーでもあるサカリ・クオスマネンほか。カウリスマキ監督も顔を見せる。香港映画祭特別賞受賞。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

イカ墨同盟=カラマリ・ユニオンのメンバーである15人のフランクは、エイラという約束の地を目指す。彼らはまちまちの方法で挑戦するが、エイラへの道のりは険しい。英語しかしゃべらないペッカ(マルック・トイッカ)も交え、フランクたちはカフェに集まり知恵を出し合う。バスを買うための金を銀行で借りることに決めるが、強盗に間違われる始末。悪戦苦闘の中、フランクたちは一人一人死んでいく。ペッカもハンバーガーショップで射殺される。そしてやっとエイラに辿り着いたのは、ロッカーフランク(マッティ・ペロンパー)ら3人のみ。しかしエイラは荒れ果てていた。約束の地の存在をあきらめられない彼らは、エイラの向こう側にあるエストニアへボートで渡ろうとするのだった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2002年4月下旬号

日本映画紹介/外国映画紹介:カラマリ・ユニオン

2024/03/26

2024/03/26

75点

VOD/U-NEXT/レンタル/テレビ 
字幕


深読みするのが楽しい

カラマリってフィンランド語でもイカのことなんだ。このフランクの群れはフィンランドのイカ漁組合、ってことかな。彼らは現状の生活に行き詰まりを感じていて、町の反対側にある「エイラ」という場所を目指すけど、なぜか次々に殺されていく。

1回流して見たらまるで意味がわからなかったけど、2回目を見る前に、ふと思った。そういえば「レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ」が作られた1989年はまだソ連は崩壊していなくてサンクトペテルブルクはレニングラードと呼ばれてた。そんな中、監督はなぜあえてヘルシンキじゃなくて「レニングラード・・カウボーイズ」の映画を作ったのか。なぜソ連の合唱隊とコラボする必要があったのか。(いつも書いてるけど、フィンランドはマイケル・モンロー率いるハノイ・ロックスが国民的ヘビメタバンドという国なので、ネーミングに関しては何ら不思議はない)

そんなことを考えながら見ていたら、これけっこう怖い映画かも、と思った。意味もなく仲間の誰かや行きずりの誰かに一人ずつ殺されるフランク。みんな同じ名前なのは、誰もがこのフランクになりうるからかな。仲間たちは一瞬驚愕するけど、殺人者を追うことももしないし、軽い交通事故かなにかのようにフランクを置き去りにして先を行く。

いまとても戦闘的になっているお隣の国と、フィンランドは国境を1300キロも接している。この映画がつくられた1985年に、攻撃をいちばん恐れてたのはウクライナじゃなくてフィンランドの人たちだったかも。

この映画はカウボーイズがアメリカに行く数年前で、大勢によるパラダイスへの行軍・西側の音楽への傾倒・死の気配を、いまどきの3人組の漫才グループのコントみたいにシュールにまとめています。

もう1つシュールな点に気づきました。フランクたちの行軍は「カリオ」から「エイラ」を目指すんだけど、Google Mapで調べるとこの2つの町は車で11分という近さ。「エイラ」はフィンランド語でパラダイスを意味する架空の約束の地かしら、など考えていたので拍子抜けです。歩いたって数時間で着くので、途中で野宿をするのも、3日3晩飲まず食わずで歩くのも、脱落者を出すのも難しい。カイラは労働者の歓楽街、エイラは別荘地として知られているらしい。東京でいえば蒲田から田園調布くらいかな。最後、フランクたちはエイラをも離れて対岸のエストニアのタリンに向かうのですが、これはありそうな設定。私もフィンランドの短い旅行のなかで、「フェリーでタリンに日帰り(片道3時間)」ツアーに参加したくらいなんで。(といってもイカダみたいな船では遭難の恐れが)

もう一ついうと、フランクたちが根城にしていた「カリオ」は左派が集まるところでもあるとのこと。この「左派」はお隣の国寄りという意味ではないというか、真逆のような気もします。かといってアメリカへ渡ったカウボーイズはかの地で受け入れられることはなく、期待と現実のギャップの大きさを痛感する。複雑だな、フィンランド。

初期の作品をじっくり見ると、監督の問題意識や方向性など、のちの作品を見て不思議に思ったことの糸口がつかめてきて、すごく面白いですね。。。

2024/03/17

2024/03/17

-点

レンタル/東京都/ゲオ 
字幕


のちのレニングラードに繋がる一作

アキ・カウリスマキ監督の長編第二作目にあたる作品です。カウリスマキの作品群の中で「奴らはどこかを目指す系」のシュールなタッチのコメディ。初めて見たんですが、のちのレニングラード・カウボーイズといった一連のシリーズに繋がるものを感じました。

ヘルシンキ、カッリオの町。下町なのか?薄暗い食堂に集まった15人の男たち。リーダーと思しき男が、働けども豊かになれず、町は荒廃し、人心もすさんで希望が持てない!と労働者の悲哀を語り、われわれは理想の町エイラを目指す!と高らか宣言。それぞれの手段で理想郷に向かいます。彼ら、単独行動、グループ行動あれど、共通するのはみな黒のサングラスをかけ、名前もみなフランクと名乗る集団。見ていて「おやっ」とすることの連続でめまいがしました。労働者としての絶望感が動機のように始まりますが町に出てみると市中の人々は何となく平穏で変わりのない日常が営まれているわけです。そんな寓話性のある話の中であるものは殺されたり、あるものは捕まったり、あるものは自死したりして一人減り二人減りしていく。そしてエイラに辿り着けたのは誰か?憧れたエイラとはどんなところだったのか?というまぁ人を食ったような話なのですが。

大真面目に言えば資本主義社会に組み込まれた労働者という不条理な状況からの逃避というか逃亡と苦難を描いているわけですよね。ただ、キャリアの初期にこれが撮れたからレニングラードのようなおふざけタッチのコメディを堂々と生み出せたんじゃないかなぁと思う。レニングラードの一作目なんかはかなり真面目で脱力感あふれるコメディとして完成してる。お笑いのネタは違えどその大元になるような作品と言えるのではないでしょうか?

やはり目を引くのは作中にパッとライブを挟み込むスタイル。サカリ・クオスマネンのさりげない弾き語りや、狙った彼女が相方を選び自暴自棄になった彼(あれ誰だろう?)ステージに上がってエレキを掻き鳴らし、バンドマンたちが「スタンド・バイ・ミー」に収斂させていく小気味良さ、レニングラードならぬカラマリ・ユニオン勢揃いのライブ演奏。こうした編集からしてもカウリスマキの後のスタイルが垣間見える一作と言えますね。

2024/03/09

2024/03/11

50点

VOD/U-NEXT 
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「男たちよ、パラダイスへ進め!」

アキ・カウリスマキ監督の初期作品。
クレイジーなロードムービー。
真面目に見始めたがフランクばかりで謎展開。
「レニングラード・カウボーイズ」が好きなら楽しめそう。
自分的には苦手な方のアキ・カウリスマキ作品。

2024/02/04

2024/02/04

60点

その他/TSUTAYA DISCAS 
字幕


約束の地エイラ

「枯れ葉」を見た後、労働者3部作の内「パラダイスの夕暮れ」を見ていなかったのでレンタルしたら、この映画も一緒に構成されていた。おまけの映画でした。
全く理解不能な映画でした。アキ・カウリスマキ監督が扱う労働者階級の男たちを描いたものだが、「イカ墨同盟」の15人の男の名前がみんなフランク(これは後で解説で知った)で、約束の地エイラへ向かうために、車を盗んだりハチャメチャな行動。その挙句何人かは殺される。途中でチョイワル親父達のバンド演奏もあったり(結構上手でした)、訳が分からない展開。
エイラへたどり着いたのは3人、その内の2人はボートで対岸(対岸と言ってもフィンランド湾を渡る)を目指す。
@エイラ;首都ヘルシンキの南の海岸の都市で中々良さそうな街です。

2021/12/07

2021/12/07

50点

レンタル/東京都/ゲオ/ゲオ北新宿店/DVD 


アキ・カウリスマキ監督

この監督作品は好きなのだが、これはついていけなかった。

2015/07/17

2015/07/21

50点

選択しない 

 カウリスマキ監督のデビュー二作目。初期の作品だけど彼の独特な個性はこの頃からすでに確立されていたようだ。グラサン姿の冴えない叔父さん連中のズッコケハードボイルドぶりが可笑しいのだけど、彼らは一体、何をどうしたいのかがしばらくわからないのだ。冒頭の組合決起集会みたいな場所で高らかに宣言をして見せてはいるけど。それからの各自の行動ぶりに何の脈略もなく、ある者は突然殺されたり、格好をつけてみたり、自殺を試みたりと支離滅裂。社会の底辺での生活に嫌気がさしどこかへ(エイラ)逃亡したいらしいのだけど思うに任せない、そんなジレンマを抱えた彼らの行動が見ているうちに次第に哀愁を帯びてくる。まさにカウリスマキワールド。ちょいワルオヤジ達の屁のツッパリぶりが粋な音楽と伴にちょっとカッコ良い。