ジョン・フォードの劇映画としては遺作にして、異色作。
この後、ドキュメンタリーを1本撮ったらしい。
本作の舞台は、1935年、モンゴル近くの中国北部。
これを知っただけで、見る気が萎える。
タイトルバックは屋外シーンで、馬群の疾走が映る。
しかし、90分弱の上映時間の99%は、スタジオ内の貧相な中国の建物セット。
しかも、ここはキリスト教の伝道所で、シスターばかり。
エディ・アルバート(ローマの休日)は神父みたいな?役で、数少ない男性陣の一人。
中国人の大人・子供の役者も、アメリカでかき集めたアジア系俳優ばかりに見え、ジョン・フォードが、この題材のどこに興味を持ったのか、理解に苦しむ。
そこへ男まさりの女医、アン・バンクロフトが赴任して、タバコを吸いまくり、ひんしゅくを買う。
そしてモンゴル人=馬賊にして蛮族がなだれ込んで来るという展開。
問答無用の悲惨な展開。唖然。
何やら、その非情にして残酷な味わいは、コーネル・ワイルドの「裸のジャングル」を連想した。
異文化による人権の蹂躙・・・。
ここまでで、こりゃひどい映画だと思った。30点かなと。
しかし、アン・バンクロフトの奮闘と、伝道所の女所長の描き方は面白かったので、40点プラス。
キリスト教映画にして、キリスト教の偽善も暴く構造になっている。
あの「わが谷は緑なりき」のウォルター・ピジョンのくだりを思い出した。
役者は、キューブリックの「ロリータ」で売り出したスー・リオン
フォード一家で「サウンド・オブ・ミュージック」にもシスター役で出てたアンナ・リー
キューブリックの「スパルタカス」でカーク・ダグラスと決闘したウディ・ストロードが、モンゴル人メイクで別人の如く登場する。
さすがにスゴイ身体《からだ》。
ツタヤ復刻シネマライブラリーでの貴重なリリースだが・・・。
DVD-Rのうえに、4:3の非スクイーズでのシネスコの低画質だ。
出来と画質で、二重にガックリ。