ローマ帝国時代の奴隷ものというと、キューブリックの「スパルタカス」が思い出されるが、SFXが発達した分、何かドロドロしい。
巨匠リドリー・スコット監督によるローマ帝国を舞台にした壮大なスペクタクル史劇だ。開始早々、血しぶきが飛んで来そうな戦闘シーンが繰り広げられる。
その戦闘に勝利したローマ軍は広大な領土をさらに広げるが、皇帝(リチャード・ハリス)の顔はさえない。戦いに疲れ、退位を考えている。後継者に考えているのが、この戦さを勝利に導いた将軍マキシマス(ラッセル・クロウ)だ。皇帝には息子のコモドゥスがいるが、皇帝の器でないことを見抜いている上でのことだ。そのことを知ったコモドゥスは父を憎み、マキシマスに殺意を抱く。コモドゥスを演じるホアキン・フェニックスは名優ローレンス・オリビエに面影が似ている。そういえばオリビエが「スパルタカス」でかたき役を演じていたのも何かの縁か。
コモドゥスは姉のルッシラ(コニー・ニールセン)に想いを寄せている。ルッシラは幼い息子を守るため、コモドゥスに従わざるを得ない。ルッシラはかつてマキシマスとも恋愛関係にあったようで、そのこともコモドゥスのマキシマスへの憎悪の一因のようだ。
コモドゥスから逃れ、奴隷となり、剣闘士として、ふたたび都に戻ったマキシマスは殺りくの場で、コモドゥス、ルッシラと再会する。巨大なコロッセウムが見事に再現され、ローマ帝国の建築技術の高さに目を見張る。しかしそこで行われるのが殺し合いというのは文化的とは言えない。
スペイン人と呼ばれるマキシマスの出自についても触れて欲しかった。