マグノリア

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マグノリア

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レビューの数

76

平均評点

73.8(543人)

観たひと

938

観たいひと

109

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 アメリカ
製作年 1999
公開年月日 2000/2/26
上映時間 187分
製作会社 ジョアン・セラー=グラーディ・フィルム・カンパニー作品(ニューライン・シネマ提供)
配給 日本ヘラルド映画配給(日本ヘラルド映画=ポニーキャニオン提供)
レイティング 一般映画
カラー カラー/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 ドルビーSRD/SDDS

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

L.A.郊外のある1日、10数人の男女が織りなす人生模様を、観客の意表を突く意欲的で斬新な語り口で綴った群像劇。監督・脚本は『ハード・エイト』(V)「ブギーナイツ」のポール・トーマス・アンダーソン。主題歌は実力派ソングライターのエイミー・マンで、本作の着想は彼女の同名歌によるものという。音楽は彼女の夫であるジョン・ブライオンで映画音楽は本格的には本作が初めて。製作はアンダーソン、『ロード・オブ・イリュージョン』(V)のジョアン・セラー。製作総指揮はマイケル・デ・ルーカ、リン・ハリス。撮影のロバート・エルスウィット、衣裳のマーク・ブリッジズ、編集のディラン・ティチェナー、SFXのルー・カーリッチは「ブギーナイツ」に続く参加。美術は「カラー・オブ・ハート」のウィリアム・アーノルドとマーク・ブリッジズ(衣裳と兼任)。VFX監修は「スター・ウォーズ 特別篇(三部作)」のジョー・レッテリ。クリーチャー・エフェクトは『シャイニング』(V)のスティーヴ・ジョンソン。出演は「アイズ ワイド シャット」のトム・クルーズ、「フィラデルフィア」のジェイソン・ロバーズ、本作が映画デビューのジェレミー・ブラックマン、「ジャッキー・ブラウン」のマイケル・ボウエン、「キルトに綴る愛」のメリンダ・ディロン、『ポイント・ブランク 殺し屋の憂鬱』(V)のエマニュエル・L・ジョンソン、そしてジュリアン・ムーア、ウィリアム・H・メイシー、ジョン・C・ライリー、フィリップ・ベイカー・ホール、フィリップ・シーモア・ホフマン、メローラ・ウォルターズらが「ブギーナイツ」に続き登場。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

L.A.郊外のサンフェルナンド・ヴァレー。曇り空のある日。人気長寿クイズ番組『チビっ子と勝負』を介して、お互いに知らないままつながりを持つ男女の人生模様が映し出される。制作者で死の床にあるアール・パートリッジ(ジェイソン・ロバーズ)の若い後妻リンダ(ジュリアン・ムーア)は悲嘆のあまり混乱の極み。アールは献身的な看護人のフィル(フィリップ・シーモア・ホフマン)に、彼がかつて捨てた息子を探してほしいと頼む。彼の息子は今ではフランク・T・J・マッキー(トム・クルーズ)と名乗り、女性の口説き方をモテない男に伝授する指南役として評判をとっていた。いっぽう、番組の名司会者ジミー・ゲイター(フィリップ・ベイカー・ホール)もガンを宣告されて死期を悟り、彼を憎んで家出した娘クローディア(メローラ・ウォルターズ)の元を訪ねるがすげなく追い返される。薬物に頼って生きる日々の彼女の前には、生真面目な独身警官ジム(ジョン・C・ライリー)が現れた。日暮れと共に雨が降り出す。番組が始まるが、目下天才少年として評判をとるスタンリー(ジェレミー・ブラックマン)は本番前にトイレに行けずおしっこを我慢していたが、ついに漏らしてしまって無言になる。司会していたゲイターも倒れた。同じ頃、その昔番組でスタンリーのように天才少年とうたわれたドニー(ウィリアム・H・メイシー)はなじみのバーへ。そこのバーテンをひそかに恋する彼は、年甲斐もなく歯列矯正ブレスをはめる予定だったが、勤め先の電気店でクビを言い渡されていた。こうして彼らの運命は変転を迎えようとしていた。クローディアはジムとレストランでデートするが、キスを交わした後で逃げ去る。スタンリーは「僕は人形じゃない」と日頃の鬱積を生放送中にぶちまけた。フィルに呼び出されたフランクは、かつて母と共に自分を捨てた父親アールの枕元で激情のあまり嗚咽する。動揺しきったリンダは車の中でアールの薬を服んで自殺を図る。バーでついにバーテンに求愛したドニーは、歯の治療の金を盗むべく電気店へ押し入る。それを目撃したのが車で通りかかったジム。ところがここで思いもよらぬ天変地異が……。かくして、その事件のあまりの不可思議さが、思い悩む彼らの心にあまねく影響を及ぼし、ひとりひとりに“救済”をもたらすのであった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2000年5月下旬号

外国映画紹介:マグノリア

2000年4月上旬春の特別号

劇場公開映画批評:マグノリア

劇場公開映画批評:マグノリア

2000年3月上旬号

企画特集 ジョニー・デップ「スリーピー・ホロウ」vsトム・クルーズ「マグノリア」:トム・クルーズVSジョニー・デップ徹底比較

企画特集 ジョニー・デップ「スリーピー・ホロウ」vsトム・クルーズ「マグノリア」:ポール・トーマス・アンダーソン監督「マグノリア」とトム・クルーズを語る

企画特集 ジョニー・デップ「スリーピー・ホロウ」vsトム・クルーズ「マグノリア」:ジョニー・デップ インタビュー

企画特集 ジョニー・デップ「スリーピー・ホロウ」vsトム・クルーズ「マグノリア」:クリスティーナ・リッチ「スリーピー・ホロウ」とジョニー・デップを語る

新作紹介:マグノリア

2000年2月下旬決算特別号

スペシャル・グラビア:「ザ・ビーチ」「ワールド・イズ・ノット・イナフ」「ストーリー・オブ・ラブ」「マグノリア」「リプリー」「理想の結婚」

2023/09/23

2023/09/23

70点

選択しない 


空から・・・が降る

賛否の分かれるラストということで楽しみに見ていましたが、予想以上にとんでもないエピソードでした。それまで2時間45分それぞれの人々が不安感を持ちながらその飽和状態になっていた矢先に空から降ってきた・・・。私の中で一気に緊迫感が薄れ、「こんなこともある」という台詞に白けてしまいました。エンディングに別のアイデアがあったのならそのヴァージョンを観たい気持ちでエンドロールを観ていました。

2023/05/23

2023/05/27

100点

レンタル/新潟県/ゲオ/ゲオ竹尾インター店/DVD 
字幕


多すぎる

◎ 主な登場人物は多いが、みんなテンパっている。いまにも血管が破裂しそうだ。そんな中で、ただ一人フィリップ・シーモア・ホフマンだけで尋常な精神状態でいる。彼まで逆上したら、映画がバラバラに砕け散ってしまう。
◎ こんな物語だから、この流れをおさめるためには、アレを大量に降らせるしか仕方がなかった。たとえ非現実的であろうと。それにしても、多すぎるだろう。

2023/05/14

2023/05/17

-点

映画館/東京都/立川 CINEMA CITY/TWO 
字幕


偶然と、運命と、後悔と、赦しと

長尺で、しかもあれほど登場人物が多く、一見複雑そうに見える『マグノリア』が多くの人から支持されるのは、誰でもがひとつくらいは気持ちの整理がつかないことを心に秘めているからだろう。登場人物の抱える心のわだかまりが見る側の心のどこかにつながっている。

これは、「気持ちに整理がつかない人たち」の告白劇。整理がつかないどころか「人生を狂わされてしまった人たち」とも言える。

クイズショウの名司会者である父親がかつて家を飛び出して行った娘のアパートを訪ねる。飛び出して行ったきりで二人は長年向き合えていない。すると娘は物凄い剣幕でこの父親を罵る。父親はやむなく「自分が癌で余命いくばくもないこと」を告白する。しかし娘はそれを受け止めることもなくけんもほろろにアパートから父親を追い出す。娘はかつてこの父親から性的ないたずらを受け、その心の傷によるドラッグ中毒から抜け出せないでいる。

自宅で死の床にある元テレビプロデューサーの老人。かつて彼は、妻が癌だとわかると妻子を置いて(おそらく)別の女性の元に出て行ってしまった過去を持つ。人生も終わりに近づき自分のしたことを後悔し、生き別れた息子に一目会いたいと看護人に漏らす。息子は今や「性の伝道師」として自己啓発セミナーのカリスマ講師。汚い言葉と共に「女を落とすテクニック」を連発し聴衆を煽る。彼は父親を奪って行った「女」という存在に復讐がしたいのだろう。もちろんどこかで父親を恨んでもいる。老人の懺悔を聞いた看護人はそんな彼を捕まえて最後に親子を向き合わせようとする。

こうしたやりとりが続く。観客は常に登場人物の「親子関係に何かあるのかも知れない」という思いを抱く。この何かが物語を紡いでいく。ただし人が向かっていく方向は自分の手で変えることはできない。それはまさに運命というもの。偶然と運命の物語でもある。ポール・トーマス・アンダーソン監督のオリジナル脚本で素晴らしい。

一方で、後悔と懺悔と赦しの物語でもある。
こうした人たちをラストに向かってつなぎ合わせていくのはまさにアンダーソン監督の才能。長尺の先のカタルシスへと繋がっている。ふだんはどこかにいるが決してつながることはないバラバラに存在する人たち。親が子の心に残した傷。当たり前にあるタテの「怨」のつながりをヨコに繋いだ。観客はそこに癒しと赦しを見いだす。オリジナルの脚本の中に「偶然」という言葉を捻り出したことが素晴らしい。見ている側も日常「ひとつやふたつそんなこともあるかな」と思えてくる。ポストロバート・アルトマン。群像劇の正統な後継者。

2023/04/17

2023/04/17

88点

テレビ/有料放送/WOWOW 
字幕


小間切れエピソードが見事に一体化

ネタバレ

「偶然のめぐり合わせ」をテーマにした群像劇。主要な登場人物が10名程度いて、各人のエピソードが小間切れ的に交錯しながら描かれている。徐々に各エピソードの関連性が浮かび上がっくると同時に、各人が抱える辛さを観客も感じる様になる。各エピソードの交錯の仕方も、同じ様な心情を醸し出させる仕組みになっており(例えば、悲しいエピソードの次には、やはり悲しいエピソードが続き、その後気付くと違う様な雰囲気に変わっており、それがまた少し続く、と言った感じ)、脚本や編集作業の見事さを観ている最中から実感した。
そしてラストでは、各人各様で締めくくる。ひたすら後悔する人、自分が封印していた感情が一揆に噴出した人、トラウマからの解放の一歩を歩みだせそうな人、自分の気持ちを素直に伝えらる様になった人、何かに憑依されていた様な状態から解放された人、懺悔する人、誰かの為に尽くしたいと思い続ける人、、、
ポール・トーマス・アンダーソン監督はロバート・アルトマン監督の群像劇からも影響を受けたとの事で、ロバート・アルトマン監督作品も観てみたくなった。以前、村上春樹が大作を書きたい云々というエッセーを読んだが、こういう作品を描きたいからかなぁと思った。
ワンカットで”焦点を一人の人物から他の人物へ移し続ける”カメラワークが非常に上手い。これは、前作「ブギーナイツ」でも感じた。
映画的で、とても圧倒された作品でした。

2023/02/19

2023/02/23

85点

映画館 


ぎりぎりで差し伸べられる神の手。あり得ないことは起こり、それがもたらす人生の和解。強烈なカタルシス。

登場人物は10人以上。愛する者への裏切り、怒り。一見関係のない人たちに共通するのは人生の後悔。

それぞれが関係したりしなかったり。PTA独特の滑らかなカメラとテンポでぐいぐい進む。

忘れ難い親への憎悪、死の向き合い方、消えない過去……。乗り越えられない人生の壁に対峙し壊れてしまいそうになった時、それは起こる!
カエル!
人生は何が起こるか分からない。
傷ついた人が救われますように。

それにしてもPTAは音楽のセンス良いなあ。

そしてトムクルーズの表情の変わる様子よ

新文芸坐にて

2023/02/20

80点

その他/録画WOWOW 
字幕


次元が変わる

ネタバレ

 フランク(トム・クルーズ)やスタンリー(ジェレミー・ブラックマン)を始めとする、親からの虐待まがいの仕打ちを受けた人達。

 そして、ジミー(フィリップ・ベイカー・ホール)やアール(ジェイソン・ロバーツ)のように、子供に虐待まがいの仕打ちをし、死期も迫る人達。

 また、彼らに関わる、アールの妻リンダのように心に傷を負った人々が登場する。このリンダのジュリアン・ムーアはかなり良かった。

 そのトラウマを受けた人々が、繋がっていく様子や、どうにもならない追い詰められた状況になる。それを、予想を超えるような現象によって、昇華していく様を描く。

 結果的にさらし者になってしまうスタンリーは可哀そうだし、ドラッグを手放せないクローディアの傷も大きいだろう。

 どう見ても変なフランクは、トム・クルーズによって最も目立つ存在だけれども。死ぬ前の父アールに呼ばれたことで、少し父への恨みを吐き出すことが出来たんだろう。

 このような群像劇は、以前に観てから8年位経つと、かなり忘れてしまうけれど、観ると段々思い出してくる。

 そして、ラストにあれが降って来て、次元が変わる、これで、気持ちが変わってしまうのは、出来過ぎと言えなくもないが、何度観てもこの場面は凄い。

 これだけ降ってくれば、人も何かが変わらざるを得ないかもしれないと思った。

 「リコリス・ピザ」に続いて、再びポール・トーマス・アンダーソンを観る、これが一番好きな作品(2023.2.20)。