サイレント末期の傑作「第七天国」の2年後、監督フランク・ボーゼージ、主演ジャネット・ゲイナー、チャールズ・ファレルの3人が再び結集して作られたメロドラマ。本来は、全10巻のうち、最初の7巻はサイレント、最後の3巻はトーキーとして作られ、日本でもその形で公開されたようですが、今回上映されたディジタル素材(そもそも欧州で見つかったプリントのようです)はオール・サイレントでした。
第一次世界大戦に志願兵として参加したチャールズ・ファレルは、前線に食事を運ぼうとしている途中、爆弾が飛んできて命中し、両足が動かないという怪我を負います。帰国して車椅子生活を送る彼は、ちょくちょく訪ねてくる貧乏娘ジャネット・ゲイナーに心を寄せるようになりますが、ゲイナーの継母は、ファレルと一緒に出征したのち、健常のまま帰還したファレルのライヴァル男グィン・ウィリアムズにゲイナーを嫁がせようとしています。ウィリアムズは、戦歴を詐称し、実際は軍を解雇されているのに少佐に昇進したなどと称している悪人なのですが、そうと知らぬゲイナーの継母はすっかり騙されています。そして雪の日、ウィリアムズが馬車にゲイナーを乗せて、結婚式を行う町への汽車に乗ろうとしたところ、前夜から必死に自力で歩く練習を重ねていたファレルが、松葉杖をつきながら山道を越えて列車駅に追いつき、ウィリアムズを殴り倒した上で、ゲイナーのことをしっかり抱き締めるというお話。
いくらお約束とはいえ、それまで車椅子から立ち上がることも覚束ず、松葉杖で1歩進もうとしても倒れてしまうほどだったチャールズ・ファレルが、たった一夜の特訓によって雪山さえも越えられるほどの脚力を付けてしまうというのは、ご都合主義も甚だしく、あの傑作「第七天国」の感動とは程遠い映画でした。