原題"A Chorus Line"で、ミュージカルのコーラス団・ダンサー団のこと。ジェームズ・カークウッド・Jr、ニコラス・ダンテ台本の同名ミュージカルが原作。
冒頭、ニューヨークの街の俯瞰からオーディション会場へのシークエンスを除くと、ほぼステージシーンしかない。ストーリーも始めから終わりまでディレクター(マイケル・ダグラス)によるコーラスラインのオーディションで、ラストにコーラスラインによる群舞のレビューがあるだけ。
ただそれだけで、最終選考に残るダンサーたちの人生の一片を摘まんだり、ハリウッドに転身して失敗した女優(アリソン・リード)がコーラスラインで再起を期すエピソードが入るが、どれもドラマとしては中途半端で食い足りない。
そうなるとコーラスラインの悲哀を描く単なる楽屋ネタでしかなく、あとは踊りのシーンしか見どころがなく、テーマ上、コーラスラインの群舞と多少の個人技を見せるしかない。
群舞はよく揃っていて、ダンサーたちの身体能力の高さには感心するが、やはりストーリーのないミュージカルというのは決定的なものに欠けていて、フィナーレからエンディングに移る"ONE"でようやく胸のつかえが下りる。(キネ旬10位)