ユーゴスラビアの歴史を元に男二人の友情と確執を描いたコメディー。
3部構成になっているが、時代を区切っただけである。
第一章「戦争」では第二次大戦のドイツ軍占領下、無頼漢のマルコ(ミキ・マイノロヴィチ)は友人のクロ(ラザル・リフトフスキー)を共産党に入党させ、パルチザンにした。マルコとクロは共にナタリア(ミリャナ・ヤコヴィチ)と言う女優を愛している。ナタリヤは保身のためにナチスの将校フランツ(エルンスト・ストッツナー)の愛人になった。ここから3人+1人のやりとりが面白おかしく描かれる。クロはナチスに捕まって、マルコはそれを助け出し、地下室にかくまう。
第二章「冷戦」では、マルコは戦後大統領に取り入って大統領の側近になるが、クロは地下室で他のパルチザン達と武器作りをしながら10年も暮らしている。しかし、マルコは時計を少しずつ遅らせたりして年数をごまかし、武器を売ってはうまい汁を吸っている。またナタリヤとも結婚し、クロはそれを知らない。クロに知られたとき偽装自殺をするが、その間にクロは外に出る。折しもマルコの伝記映画の撮影中でクロはそれを本物と信じて撮影隊に危害を加えてしまう。マルコは地下室のみんなを処分してどこかへ逃げ去る。
第三章「戦争」ではドイツの精神病院に入れられていたマルコの弟イヴァン(スラヴコ・スティマッチ)がユーゴスラビアへ帰りたいと言うが、ユーゴスラビアはもう無いと言われる。彼はその昔パルチザンが作った地下の大回廊を通って帰国するが、そこはセルビアとクロアチアに分かれ、内戦の最中だった。クロはそこでも戦争に参加しており、マルコはナタリヤと共に武器商人として同じ戦場にいた。結局はマルコとナタリヤは殺され、イヴァンも自殺、クロは二人が死んだことを知って昔の地下室を訪れる。そこで井戸の中に息子の影を見つけ追いかける。
最後に死んだはずの人物達がクロの息子の結婚式を祝いに駆けつける。
物語の最初に「昔あるところに国があった」で始まり、ラストでも「昔あるところに国があった」で終わる。そしてクレジットに「この物語に終わりは無い」と出て終わる。
長い物語だが、パルチザン達の生活を虚仮にして笑い飛ばしている。またナタリアもうまく立ち回りながら生き延びていく。彼と彼女3人はうまく立ち回ってしたたかに生き延びたものの、ユーゴスラビアが消滅したときに共に亡くなっている。楽しいが悲しい物語である。
昔のニュースフィルムと合成してリアルに描いているところは感心した。