復讐 The Revenge 消えない傷痕

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復讐 The Revenge 消えない傷痕

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レビューの数

9

平均評点

66.8(47人)

観たひと

79

観たいひと

11

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル サスペンス・ミステリー
製作国 日本
製作年 1997
公開年月日 1997/5/31
上映時間 80分
製作会社 ケイエスエス(制作協力*ツインズ)
配給 ケイエスエス
レイティング 一般映画
カラー カラー/ビスタ
アスペクト比 アメリカンビスタ(1:1.85)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督黒沢清 
脚本黒沢清 
企画神野智 
製作須崎一夫 
プロデューサー伊藤正昭 
下田淳行 
鎌田賢一 
撮影柴主高秀 
美術丸尾知行 
音楽吉田光 
哀川翔
(「冗談じゃねェぜ!」)
録音郡弘道 
音響効果丹雄二 
照明金沢正夫 
編集鈴木歓 
衣装デザイン古藤博 
鈴木いづみ 
助監督吉村達矢 
スクリプター森直子 
スチール奥川彰 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演哀川翔 安城伍郎
菅田俊 吉岡俊
井田州彦 西英介
小林千香子 橘美津子
逗子とんぼ 小笠原陶一郎
しみず霧子 文江
仙波和之 山野辺信一
芹沢礼多 津山
賀川黒之助 
根岸大介 高木
大森南朋 ヒロ
大杉漣 刑事課長
下元史朗 古紙回収業者
諏訪太朗 片桐
三上剛史 久留米
倉田昇一 松井
なかはら五月 美津子の母

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

「復讐 運命の訪問者」の続編で、終わらない復讐を虚無的に続けていく男の姿を、破滅へと突き進むひとりのヤクザの姿を伴奏として描いたハードボイルド。監督は前作と同じ黒沢清で、脚本も黒沢が執筆した。撮影は「WiLd LIFe」の柴主高秀が担当している。主演は「極道修行 決着」の哀川翔。16ミリkらのブローアップ。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

妻を殺された元刑事・安城の復讐は終わっていなかった。山本という偽名を使い古紙回収所で働く安城は、妻殺しの背後に潜んでいた何者かを追い続け、今またそのうちの一人、山野辺興業社長を暗殺し終えたところである。そんな安城の正体を知らぬ暴力団吉岡組の吉岡組長は、偶然知り合った彼をまるで親しい兄弟分のように扱っていた。一方、独自にヤミ資金ルートの捜査を進めていた刑事の西は、山野辺殺人事件の捜査途中で、安城もまたヤミ資金関係者を追っていることに気付く。ヤミ資金に連なる殺人事件に関わり、そして妻を殺された安城は、その黒幕を捜しつつ復讐を続けていた。だが警察もヤミ資金に絡むらしく安城の関係資料は抹消され、西の言葉も聞き入れられない。西は安城と接触し、検察庁の極秘書類を渡す代わりに関係者リストの作成を依頼した。やがて安城は同じアパートの貝原服飾学院生・美津子から、ヤミ資金に関わった学院の資料を譲り受け、次の標的を日本流通企画元会長・小笠原に特定する。小笠原宅に乱入した安城は、自分が妻殺しの黒幕だと語る病床の老人の首に手をかけたが、余命幾許もない老人を絞め殺すことはできなかった。その頃、いつも安城を誘っては躁鬱的行動を繰り返していた吉岡の組に、組員の高木が本家・国士会の総長に目をかけられるという出世譚が沸き起こる。だがシャブに体を犯された吉岡は高木を撃ち殺してしまい、その後で安城をドライブに誘った。しかし、ふたりはどこにもたどり着けなかった。やがて吉岡は取り憑かれたように国士会に殴り込んでいく。また小笠原の存在を安城から教えられた西も、のちに川に浮かぶことになった。そして安城は、おそらくすべての罪をひとりで背負うつもりの小笠原を、義務であるかのように撃ち殺す。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1997年6月下旬号

COMING SOON【新作紹介】:復讐 消えない傷痕

2019/07/14

2019/07/15

65点

映画館/東京都/新文芸坐 


アクロバティックな続編

 復讐は前作で決着がついたはずだが、続編を作ることになった。そこでかなりアクロバティックな着想を持ち込んだ。
 確かに、本作で安城が述べているように、前作の妻殺しは全く無意味だった。妻を誘拐したのなら盾にでも使わなければ意味がない。殺したら何にもならない。前作だけなら殺し屋一家の弟の暴走と解釈するのが妥当だろう。しかし、本作では妻殺しを故殺とした。
 ヤミ資金ルートの捜査が背後にあったというのが本作の着想である。ヤミ資金ルートの捜査を止めたい勢力があった。買収などもあったかもしれないが、少なくともそれでは止まらなかった。そこで脅しである。警察関係者の家族も無事ではすまないという脅し。安城がヤミ資金ルートの捜査に関わっていなかったことも都合がよかった。安城も脅された人以外の警察関係者も事件を結びつけないからである。
 明言されているわけではないから一つの解釈だが、状況証拠的にはこうなる。何ともアクロバティックな続編である。

2016/05/11

2016/05/15

70点

テレビ/有料放送/WOWOW 


復讐劇に男の友情をプラス?

黒沢清監督と哀川翔が組んだ「復讐 運命の訪問者」の続編。1作目が評判が良かったので無理やり作られた感じもするが、両親の仇を遂げた代償に妻を殺された元刑事が終わらない復讐を虚無的に続けていく姿を描く。この男に菅田俊演じる破滅へと突き進むひとりのヤクザの姿を伴奏として描き、二人の男の間というか、奇妙な関係がちょっと変わったハードボイルド映画にしている。
 デビューしたばかりの大森南朋、嘉之兄弟が出ていたのをエンドクレジットで確認したが、観ていてわからなかった。





2015/10/03

2015/10/04

60点

映画館/東京都/シネマヴェーラ渋谷 


この続編はエピローグ程度の内容で、まとめて一本でよい

前作「復讐 運命の訪問者」の続編となる作品で、刑事を辞職した安城は暴力団吉岡組組長と知己の間柄となり、妻殺しの黒幕の正体を追って活動を始めます。

直接の当事者ではなく、黒幕を追う作業は地味で、相手が高齢で寝たきりであるなど、設定があまりアクション向きでなく、サイドストーリーも本筋との馴染みが良いとは言えず、際立ったキャラクターも存在せず、安城も前作同様に比較的穏やかな行動をとるために、盛り上がりが乏しい感は否めませんでした。

なお、前作で安城が同僚の刑事を誤射して殺してしまった件は有耶無耶になっていて、罪を問われる事もなく、ご都合過ぎる気がしました。

2015/04/16

2015/04/16

84点

VOD/U-NEXT 


アパートのドア扉に、荷物袋は下げられたまま、という引き目のショット。
それに続く、男はひとり車を走らせた、というラストショット。
最後を飾る、見事なまでに簡潔なこの2ショットだけでも、黒沢演出は冴えまくっている。

2014/11/04

2014/11/05

84点

レンタル 


復讐第二弾

映画タイトル  : 復讐 The Revenge 消えない傷痕
評点      : 92.0点
いつ観た    : 2014年11月4日(年月日指定)
誰と観た    : 一人
氏名(任意)  : 
観賞方法    : パッケージ
ラック分類   : コレ、観た!,ミステリー・サスペンス
公開/非公開  : 公開
レビュータイトル: 復讐第二弾
レビュー本文  :
あらすじは以下の通り。
妻を殺された元刑事・安城の復讐は終わっていなかった。山本という偽名を使い古紙回収所で働く安城は、妻殺しの背後に潜んでいた何者かを追い続け、今またそのうちの一人、山野辺興業社長を暗殺し終えたところである。そんな安城の正体を知らぬ暴力団吉岡組の吉岡組長は、偶然知り合った彼をまるで親しい兄弟分のように扱っていた。一方、独自にヤミ資金ルートの捜査を進めていた刑事の西は、山野辺殺人事件の捜査途中で、安城もまたヤミ資金関係者を追っていることに気付く。ヤミ資金に連なる殺人事件に関わり、そして妻を殺された安城は、その黒幕を捜しつつ復讐を続けていた。だが警察もヤミ資金に絡むらしく安城の関係資料は抹消され、西の言葉も聞き入れられない。西は安城と接触し、検察庁の極秘書類を渡す代わりに関係者リストの作成を依頼した。やがて安城は同じアパートの貝原服飾学院生・美津子から、ヤミ資金に関わった学院の資料を譲り受け、次の標的を日本流通企画元会長・小笠原に特定する。小笠原宅に乱入した安城は、自分が妻殺しの黒幕だと語る病床の老人の首に手をかけたが、余命幾許もない老人を絞め殺すことはできなかった。その頃、いつも安城を誘っては躁鬱的行動を繰り返していた吉岡の組に、組員の高木が本家・国士会の総長に目をかけられるという出世譚が沸き起こる。だがシャブに体を犯された吉岡は高木を撃ち殺してしまい、その後で安城をドライブに誘った。しかし、ふたりはどこにもたどり着けなかった。やがて吉岡は取り憑かれたように国士会に殴り込んでいく。また小笠原の存在を安城から教えられた西も、のちに川に浮かぶことになった。そして安城は、おそらくすべての罪をひとりで背負うつもりの小笠原を、義務であるかのように撃ち殺す。

前作から5年後で元刑事で大杉漣を課長に持っていたという設定は同一ではあるものの話が繋がっているかといえばそういうわけでもない。
安城という同一人物を用いた妻の復讐の続きには違いないが、いうなれば番外編といったところ。
前作ではモンスターと対峙する主人公という構図であったが本作は主人公自身が復讐のためにモンスターになっている。
復讐だけが生の目的であるが、次第にその復讐の意味は無化され、主人公は方向を見失い停滞した時間のなかで、虚無的な生を強いられるという点で非常に『蜘蛛の瞳』に似ている
物語と演出も比較的王道だった前作と比べると説明なしに物語が進んでいくので極めてわかりにくいが俯瞰や長回しを多用して面白みのある演出をしているが、後半は脚本の回収ができてない印象を受ける。
ヤクザの組長やってるけど空虚な菅田俊がとても良い味を出している。
国士会に呼ばれた部下をお前だけ抜け駆けは許さないと言って頭をかち割りレンガでちょっと角っこで殴ってみろって言ってみたりコミカルなのも可笑しい。『蜘蛛の瞳』のダンカンと同じような役どころ。
物語とは関係ない安城と組長のやりとりがおもしろい。
チンピラ役に若かりし日の大森南朋が出ているのに注目。

2013/01/29

2014/07/10

55点

レンタル/DVD 


アンニュイな生き様

前作「運命の訪問者」の続篇ですが、ダークなムードは依然続く中、妻を殺した犯人探しと復讐を続ける元刑事の古紙回収業者・哀川翔が描かれる一方、その哀川となぜか意気投合して何かと哀川の世話を焼きたがるヤクザ組長・菅田俊のアンニュイな生き様を並行して描く映画です。
無償の行為として友情遊戯を繰り広げる菅田俊と哀川翔に哀愁が帯びる点に、黒沢清映画の面白さがあると思われ、キネ旬データベースの解説文にある“終わらない復讐を虚無的に続けていく男の姿を、破滅へと突き進むひとりのヤクザの姿を伴奏として描いたハードボイルド”という言葉がよく当て嵌まる映画です。