CURE

きゅあ|----|----

CURE

amazon
レビューの数

80

平均評点

76.5(477人)

観たひと

768

観たいひと

64

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル サスペンス・ミステリー
製作国 日本
製作年 1997
公開年月日 1997/12/27
上映時間 111分
製作会社 大映(製作協力*ツインズ)
配給 松竹=松竹富士
レイティング 一般映画
カラー カラー/ビスタ
アスペクト比 アメリカンビスタ(1:1.85)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 ドルビー

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督黒沢清 
脚本黒沢清 
企画池田哲也 
神野智 
製作加藤博之 
プロデューサー土川勉 
下田淳行 
撮影喜久村徳章 
美術丸尾知行 
音楽ゲイリー芦屋 
録音郡弘道 
整音中田裕章 
音響効果丹雄二 
照明金沢正夫 
編集鈴木歓 
衣裳古藤博 
森田流水 
助監督吉村達矢 
スクリプター柳沼由加里 
スチール中岡美樹 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演役所広司 高部賢一
萩原聖人 間宮邦彦
うじきつよし 佐久間真
中川安奈 高部文江
洞口依子 女医
戸田昌宏 花岡徹
でんでん 大井田
螢雪次朗 桑野一郎
大鷹明良 安川
大杉漣 藤本本部長
河東燈士 精神科医
春木みさよ 花岡とも子

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

猟奇的殺人事件の犯人を追う刑事の姿を描いたサイコ・サスペンス。監督・脚本は「復讐 消えない傷痕」の黒沢清。撮影を「マネージャーの掟」の喜久村徳章が担当している。主演は「バウンス ko GALS」の役所広司で、本作で第10回東京国際映画祭の主演男優賞を受賞した。共演に「ドリーム・スタジアム」の萩原聖人。スーパー16ミリからのブローアップ。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

ひとりの娼婦が惨殺された。現場に駆けつけその死体を見た刑事の高部は、被害者の胸をX字型に切り裂くという殺人事件が、秘かに連続していることを訝しがる。犯人もその殺意も明確な個々の事件で、まったく無関係な複数の犯人が、なぜ特異な手口を共通して使い、なぜ犯人たちはそれを認識していないのか。高部の友人である心理学者・佐久間が犯人の精神分析を施しても、この謎を解く手掛かりは何も見つからない。そのころ、東京近郊の海岸をひとりの若い男がさまよっていた。記憶傷害を持つ彼は小学校の教師に助けられるが、教師は男の不思議な話術に引きずり込まれ、魔がさしたように妻をXの字に切り裂いて殺してしまう。その後、男は警官に保護され、そして病院に収容されて同様の話術を警官や女医と繰り返した。警官と女医は、それぞれに殺人を犯し、被害者の胸を切り裂いてしまう。催眠暗示の可能性に思い至った高部は、事件の捜査線上に浮かび上がったこの男・間宮を容疑者として調べ始めた。しかし、高部は間宮の記憶傷害による進展のない会話に翻弄され、また精神を病んだ妻・文江の介護による疲れも加わり、その苛立ちを積もらせていく。やがて、間宮が元医大の学生で、メスマーという18世紀の医者が開発した催眠療法の研究をしていたことを知った高部は、正式に調書を作ろうとするものの、間宮の不思議な話術のうちで妻の病気を指摘され、苛立ちを爆発させてしまった。そんな高部を間宮は誉め称え、高部こそ自分の言葉の本当の意味を理解できる人間だと語る。疲れきった高部は文江を病院へ入院させた。高部の精神状態に危機感を抱いた佐久間は、間宮に深入りしないよう忠告するが、自らも間宮と催眠療法の施術に取り憑かれていく。やがて、精神病院に収監されていた間宮が脱走した。時を同じくして、佐久間が奇妙な状態の自殺死体として発見される。高部は、本当の自分に出会いたい人間は必ずここにやって来ると間宮が言う、森の中の廃屋で間宮と再会し、そして彼を殺害した。すべては終わったかのように思われたが、病院では文江がX字に切り裂かれて殺され、高部のいるレストランでは、ウエイトレスが店長に包丁を向けていた。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2023年9月号

読者の映画評:「To Leslie トゥ・レスリー」原田隆司/「ぼくたちの哲学教室」若林泰之/「CURE」喜井大二朗

2019年10月上旬特別号

巻頭特集 キネマ旬報創刊100年特別企画 第6弾 1990年代日本映画ベスト・テン:ベスト16 解説

1998年4月上旬春の特別号

劇場公開映画批評:CURE キュア

1998年2月下旬決算特別号

日本映画紹介:CURE キュア

1998年1月上旬新年特別号

特集 CURE キュア:座談会 黒沢清×役所広司×萩原聖人×うじきつよし×中川安奈

特集 CURE キュア:「CURE」の俳優たち

特集 CURE キュア:作品評

特集 CURE キュア:黒沢清論

COMING SOON【新作紹介】:CURE キュア

2024/02/29

2024/02/29

44点

選択しない 


0年代に向けて

ゾッとする画面と役所広司が特異な作品としての魅力を放っている。

2024/02/12

2024/02/12

70点

テレビ/無料放送/BS松竹東急 


猟奇殺人ものが、世界的なブームだった頃の作品。サイコパスものにホラー・テイストも加わって、なかなか面白かった。
役所広司以下キャスト陣が、無理なく自然に演技をしているのがいい。最近はすっかり麻雀の人になった感じの萩原聖人が、本物の異常者みたいでなかなかの怪演。女医役の洞口依子、警官役のでんでんもいい。
オチが無いのがちょっと不満だが、さすが黒沢清監督と言えるクオリティである。

2024/02/01

2024/02/01

-点

テレビ/無料放送/BS松竹東急 


いいね うじきつよしさん

ネタバレ

凄いね 萩原聖人さん 「青髭」中川安奈さん
砂浜のシーン美しい 優しい光 穏やかな色彩
柔らかで静かで美しい映画 風 波 水 ライター

2023/10/17

2023/10/18

78点

テレビ/無料放送/その他 


うわー、すごい!

コレは凄い!見ている自分も催眠にかけられていくみたい。狂気犯罪って、こういう精神状態にいるのかなぁって思ってしまった。引き込まれ続けた作品でした。

2023/10/02

2023/10/03

70点

テレビ/無料放送/BS松竹東急 


黒沢清ワールド全開。この監督の作品はどうしていつもこれほど変わっている?のだろう、と思ってしまう(笑)。
導入から前半はミステリアスな雰囲気こそあるものの、極めて普通、オーソドックスな設定に見えているのに、中盤ぐらいから登場人物達に変化が表れる。人の心の奥に潜む闇のようなものがだんだん炙り出されていくことに主要人物達自身が困惑し、迷宮に入り込んでしまうのにあわせ、観ているこちらもいつのまにか狂気の世界に取り込まれてしまう。
監督本人は観て楽しむ映画を目指しているらしいが、楽しむの感覚が少し違うようだ(笑)。
でも、面白いことは確かです。

2023/09/30

2023/09/30

70点

テレビ/無料放送 


灯と雨

青ひげやメスマーが語られる。特定の者から語られるだけでなく、この世界の無意識や19世紀の下層に沈む何事かの一角として多様な話者によって語られる。本来、多弁な語り手であるべき「間宮」と名付けられた男(萩原聖人)は、しかし、多くは語らず、質問をしてくる者たちにに逆に、「どこ」「だれ」「なぜ」と問い返し、話を聞きたがる存在である。彼の空白こそが依代となって、意味と無意味、動機と説明の言葉を呼び込み、それとともに不安や変を起こさせ、予想もしないことが起こるかもしれない予感で人物や画面を震えさせる。
テーブルが微妙に揺れる。時にキャメラも揺れる。催眠術あるいは霊術を施す者がカメラと被験者の間にも入り込んでいる。そこに女(中川安奈)がいるかと思えば、その前を横切り、精神科医(河東燈士)が現れてもいる。逆に、浴槽の血の垂れた跡を、視線の動きと同期したキャメラが舐めるように追う。注視あるいは極端なクロースアップは、点滅する光や火に留まる。ライターの火、灯の灯ったタバコの先端、割れ防止の金属メッシュに護られた蛍光灯など、あるいは檻に囲われた猿や鳥なども生物の火と言えるのだろうか。そうした光や点滅を打ち消すように、あるいは全面的に肯定するかのようにバツ印が肉体に刻まれる。
スチールドアの向こうに潜む男の桑野(螢雪次朗)は証言する。潮見町病院の診察室で女医をしている宮島(洞口依子)は証言する。また、落とされるべく檸檬を積んだ部屋に住む小学校教師の花岡(戸田昌宏)も自らの体験を語り、潮見町交番で同僚を撃ち殺した大井田(でんでん)も起こった事を語りたいが、記憶がないのか、言葉を失ったのか、語りきれずにいる。
クリーニング店では、客が悪態をつぶやき、それが高部(役所広司)には聞こえている。佐久間(うじきつよし)はこうした人物たちの不可解を解釈しようとするも、解釈の不可能性も心得ており、結局、自殺し果てる。
水が落ちる。水が溢れ出す。「女のくせに」というワードが女医宮島に刺さる。その言葉を間宮は探り当て、まさぐっているようでもある。彼女は男の裸には無反応でありながら、その意識下では反応しているかにみえる。ぼんやりの文江も沖縄に反応しているように見える。生前の佐久間はラグビーボールを握っている。大井田は佐久間や高部に無理矢理ペンライトの点滅を見せられ、反応させられようとしている。交番の脇の掲示板は4人の死亡があったことを告げている。本部長の藤原(大杉漣)が喜劇的に迫るも、そこに間宮の食指がのびることはない。
パイプで殴る音が聞こえ、洗濯機からも警告音が聞こえ、そこはどこかと問われている千葉の白里海岸では波の音が聞こえている。檸檬が落ちる音はそれが爆弾であるかのように大きい。踏切が鳴り、点滅と警告音がシンクロする。夜景に航空障害灯が灯っているが音はない。シャッターの開閉音すらけたたましく、丸い大きな熱いものとして溶鉱炉が見え、それらを暗がりで覆うかのように雨が降り出す。
不可解で不快な世界の手触りは、肉を掴んだあの手の感触のところに、確かにあると感じられる。