ロウ・キーのモノクロ映像にロバート・ミッチャムが映える
ラオール・ウォルシュ監督の『追跡』(48)と同時代に作られたノワール・ウエスタンの傑作。両作ともロバート・ミッチャム主演で、ミッチャムはこれらの作品で注目され、アメリカで最もノワール的な雰囲気を持つスターと言われるようになったそうです。
『月下の銃声』を観てまず驚くのは、西部劇とは思えないような画面の暗さです。実際、夜の場面が多いのですが、映画全体を覆うロウ・キーのモノクロ映像は独特のノワール的な雰囲気を生み出し、“夜”の空気をたたえた筆舌に尽くしがたい作品になっています。
その中で、ロバート・ミッチャムの映えること!!本当に魅力的です。
話はかなり込み入っているので、概要だけ書くと…
サン・ダストの町は二つの勢力に分かれて闘っていた。牧場主ラフトン(トム・タリー)派とライリング(ロバート・プレストン)派である。ライリングはインディアン居留地の係官と組んで、入植者の権利を建前に牧場主たちの土地を奪い、牛を安く買い叩いて一儲けしようと企んでいたのだ。
牧場主ラフトン派は3000頭の牛に河を渡らせて避難させようと、キャンプを張って様子を見ていた。そんな夜、流れ者のガンマン、ジム・ギャリー(ロバート・ミッチャム)が山越えの途中に、一晩ラフトンのキャンプに世話になり、仲間にならないかと誘われるが断る。
ジム・ギャリーは、旧友のライリングに呼ばれてサン・ダストの町にやってきたのだった。ジムはライリングに用心棒として雇われる。しかし騙されてライリング派に入っていた牧場主クリス(ウォルター・ブレナン)の息子が、無残にもライリングの計画の犠牲になるのを見たジムは、旧友の陰謀に気付き、ライリングと乱闘した挙句、ラフトン側に寝返る。そしてついに、旧友同士のジムとライリングの対決の時がくる。
このストーリーに、牧場主ラフトンの2人の娘の恋愛が絡んできます(姉はライリングと恋愛中←ライリングが情報を得るために恋人のふりをしている。妹のエイミー(バーバラ・ベル・ゲデス)はジム(ミッチャム)に魅かれて行く…)
カメラのニコラス・ムスラカは、RKOのノワール映画を支えた名手なのだそうです。シオドマクの『らせん階段』、ディック・パウエル『非常線』、アイダ・ルピノ『ヒッチ・ハイカー』など数多くのRKO作品を手掛けています。
ぜひご覧ください