ラピュタのレイトショー“東映ニューポルノ”特集にて、荒井美三雄監督のドキュメンタリー「処女の刺青」を観ましたが、これが退屈極まりない出来でした。他人の肌を素材にした“塗り絵”を見せられても、そこに一定のドラマがなければ、観るほうは退屈するのが当たり前であり、作り手は彫り物と性行為が類似しているのだということを盛んに強調したがっていましたが、観る者は一向に説得されず仕舞いでした。刺青を入れる者の抱えたドラマ、彫る者の抱えたドラマが、取材対象者から浮かび上がってこない限りは、キャメラを回すべきではないのに、作り手は闇雲にフィルムを浪費するばかりであり、結局は彫る者、彫られる者のそれぞれが、ドラマのない点として点在するばかりで、彼らを貫く全篇としての“串”が不在です。要は取材不足なのでしょう。