もう何度となく観ている大好きな作品で約1年前にも映画館で観ているので今回はパスするつもりだったが、トークショー付、登壇者の一人に本浦秀夫役(子供時代)の春田和秀さんとなれば、行かない訳にはいかない。
いつも以上に秀夫少年を意識して観たら、後半(というか和賀英良が「宿命」を演奏するあたり)から涙が止まらなくなってしまった。
「宿命」の演奏に併せて、今西警部補の事件説明とその説明の回想シーンとしてほぼ役者の声なしで描かれる本浦千代吉・秀夫の親子二人の放浪生活と島根県カメダカでの生活がいつも以上にマッチしているように感じた。
トークショーでも言っていたが、この映画は千代吉が大人になった和賀英良を観て、すぐに秀夫と認識するところなど違和感はいくつかある。
でも違和感よりスケールの大きな音楽と共に描かれる感情の揺さぶりに圧倒されてしまうんだよなぁ。
はじめて見た春田和秀さんは映画界を離れていた期間も長かったせいか、謙虚で会話も明瞭、一般社会で揉まれてきたんだろうな、と想像させる。
砂の器に出演していたことは彼の奥さんや子供にも伝えてなかったそうで、かなり人には言えないご苦労があったんだろう。
私はこの映画で見せる秀夫の意思の強そうな強く結んだ口元がとても好きだったので、大人になってトークショーに出演されるほどには本作品への関わりを拒んではいない春田さんを拝見できて、とても良かったです。