砂の器(1974)

すなのうつわ|The Castle of Sand|The Castle of Sand

砂の器(1974)

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レビューの数

62

平均評点

82.5(404人)

観たひと

590

観たいひと

47

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル サスペンス・ミステリー / 文芸
製作国 日本
製作年 1974
公開年月日 1974/10/19
上映時間 143分
製作会社 松竹=橋本プロダクション(製作協力 シナノ企画=俳優座映画放送)
配給 松竹
レイティング 一般映画
カラー カラー/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 ステレオ

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督野村芳太郎 
脚本橋本忍 
山田洋次 
原作松本清張 
企画川鍋兼男 
製作橋本忍 
佐藤正之 
三嶋与四治 
製作補杉崎重美 
撮影川又昂 
美術森田郷平 
装置若林六郎 
装飾磯崎昇 
音楽監督芥川也寸志 
録音山本忠彦 
調音吉田庄太郎 
照明小林松太郎 
編集太田和夫 
衣裳松竹衣裳 
作曲・ピアノ演奏菅野光亮 
指揮熊谷弘 
演奏・特別出演東京交響楽団 
製作主任吉岡博史 
進行長嶋勇治 
助監督熊谷勲 
スチール金田正 
効果福島幸雄 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演丹波哲郎 今西栄太郎
森田健作 吉村正
加藤剛 和賀英良
加藤嘉 本浦千代吉
春日和秀 本浦秀夫
島田陽子 高木理恵子
佐分利信 田所重喜
山口果林 田所佐知子
緒形拳 三木謙一
松山省二 三木彰吉
内藤武敏 捜査一課長
稲葉義男 捜査一課係長
穂積隆信 新聞記者・松崎
夏純子 女給・明子
松本克平 三森署々長
花澤徳衛 安本
笠智衆 桐原小十郎
春川ますみ 女中・澄江
渥美清 ひかり座・支配人
菅井きん 山下お妙
殿山泰司 のみ屋・主人
野村昭子 若葉荘の小母さん
浜村純 巡査
芥川也寸志 
信欣三 国語研究所所員桑原
山谷初男 岩城署署長
ふじたあさや 鑑識課技師

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

迷官入りと思われた殺人事件を捜査する二人の刑事の執念と、暗い過去を背負う為に殺人を犯してしまう天才音楽家の宿命を描くサスペンス映画。原作は松本清張の同名小説。脚本は「日本沈没」の橋本忍と「男はつらいよ 寅次郎恋やつれ」の山田洋次、監督は「東京ド真ン中」の野村芳太郎、撮影も同作の川又昂がそれぞれ担当。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

六月二十四日早朝、国鉄蒲田操車場構内に扼殺死体が発見された。被害者の年齢は五十~六十歳だが、その身許が分らず、捜査は難航をきわめた。警視庁の今西栄太郎刑事と、西蒲田署の吉村正刑事らの必死の聞き込みによって、前夜、蒲田駅前のバーで被害者と酒を飲んでいた若い男が重要参考人として浮かび上った。そしてバーのホステスたちの証言で、二人の間に強い東北なまりで交わされていた“カメダ”という言葉に注目された。カメダ……人の姓の連想から東北各県より六十四名の亀田姓が洗い出されたが、その該当者はなかった。しかし、今西は「秋田県・亀田」という土地名を洗い、吉村とともに亀田に飛ぶが、手がかりは発見できなかった。その帰途、二人は列車の中で音楽家の和賀英良に逢った。和賀は公演旅行の帰りらしく、優れた才能を秘めたその風貌が印象的だった。八月四日、西蒲田署の捜査本部は解散、以後は警視庁の継続捜査に移った。その夜、中央線塩山付近で夜行列車から一人の女が白い紙吹雪を窓外に散らしていた。その女、高木理恵子を「紙吹雪の女」と題し旅の紀行文として紹介した新聞記事が、迷宮入りで苛だっていた吉村の触角にふれた。窓外に散らしていたのは、紙なのか? 布切れではなかったか? 早速吉村は、銀座のクラブに理恵子を訪ね、その事を尋ねるが、彼女は席をはずしたまま現われなかった。だが、その店に和賀英良が客として現われた。和賀英良。和賀は音楽界で最も期待されている現代音楽家で、現在「宿命」という大交響楽の創作に取り組んでいる。そしてマスコミでは、前大蔵大臣の令嬢田所佐知子との結婚が噂されている。八月九日。被害者の息子が警視庁に現われた。だが被害者三木謙一の住所は、捜査陣の予測とはまるで方角違いの岡山県江見町で、被害者の知人にも付近の土地にもカメダは存在しない。しかしそれも今西の執念が事態を変えた。彼は調査により島根県の出雲地方に、東北弁との類似が見られ、その地方に「亀嵩」(カメダケ)なる地名を発見したのだ。なまった出雲弁ではこれが「カメダ」に聞こえる。そして三木謙一はかつて、そこで二十年間、巡査生活をしていたのだ……。今西は勇躍、亀嵩へ飛んだ。そして三木と親友だった桐原老人の記憶から何かを聞きだそうとした。一方、吉村は山梨県塩山付近の線路添いを猟犬のように這い廻って、ついに“紙吹雪”を発見した。それは紙切れではなく布切れで、被害者と同じ血液反応があった。その頃、とある粗末なアパートに理恵子と愛人の和賀がいた。妊娠した彼女は、子供を生ませて欲しいと哀願するが、和賀は冷たく拒否するのだった。和賀は今、佐知子との結婚によって、上流社会へ一歩を踏み出す貴重な時期だったのだ。一方、今西は被害者が犯人と会う前の足跡を調査しているうちに、妙に心にひっかかる事があった。それは三木が伊勢の映画館へ二日続けて行っており、その直後に帰宅予定を変更して急に東京へ出かけているのだ。そして、その映画館を訪ねた今西は重大なヒントを得た……。本庁に戻った今西に、亀嵩の桐原老人から三木の在職中の出来事を詳細に綴った報告書が届いていた。その中で特に目を引いたのは、三木があわれな乞食の父子を世話し、親を病院に入れた後、引き取った子をわが子のように養育していた、という事だった。その乞食、本浦千代吉の本籍地・石川県江沼郡大畑村へ、そして一転、和賀英良の本籍地・大阪市浪速区恵比寿町へ、今西は駆けめぐる。今や、彼の頭には、石川県の片田舎を追われ、流浪の旅の末、山陰亀嵩で三木巡査に育てられ、昭和十九年に失踪した本浦秀夫と、大阪の恵比寿町の和賀自転車店の小僧で、戦災死した店主夫婦の戸籍を、戦後の混乱期に創り直し、和賀英良を名乗り成人した、天才音楽家のプロフィルが、鮮やかにダブル・イメージとして焼きついていた。理恵子が路上で流産し、手当てが遅れて死亡した。そして、和賀を尾行していた吉村は理恵子のアパートをつきとめ、彼女こそ“紙吹雪の女”であることを確認した。今や、事件のネガとポジは完全に重なり合った。伊勢参拝を終えた三木謙一は、同地の映画館にあった写真で思いがけず発見した本浦秀夫=和賀英良に逢うべく上京したが、和賀にとって三木は、自分の生いたちと、父との関係を知っている忌わしい人物だったのである。和賀英良に逮捕状が請求された。彼の全人生を叩きつけた大交響曲「宿命」が、日本音楽界の注目の中に、巨大なホールを満員にしての発表の、丁度その日だった。

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2018年8月上旬特別号

巻頭特集 キネマ旬報創刊100年特別企画 第2弾 1970年代日本映画ベスト・テン:ベスト15グラビア解説

2005年12月上旬号

巻末スペシャル 感動∞倍増 本を観る、映画を読む! “映画×本”で広がるストーリー:紹介作品『対岸の彼女』『春、バーニーズで』『センセイの鞄』「理由」『巷間百物語~狐者異~』「自由戀愛」「深紅」「天国の本屋~恋火」「八つ墓村」「蒲田行進曲」「砂の器」「天城越え」「ゼロの焦点」「ライディング・ザ・ブレッド」

2005年9月上旬号

日本映画紹介/外国映画紹介:砂の器

1975年2月下旬決算特別号

特別グラビア 日本映画ベスト・テン:サンダカン八番娼館 望郷/砂の器/華麗なる一族/青春の蹉跌/竜馬暗殺/わが道/仁義なき戦い頂上作戦/襤褸の旗/赤ちょうちん/妹

特別グラビア 読者のベスト・テン 日本映画:砂の器/サンダカン八番娼館望郷/青春の蹉跌/津軽じょんがら節/竜馬暗殺/仁義なき戦い頂上作戦/赤ちょうちん/妹/男はつらいよ・寅次郎恋やつれ/日本沈没

1974年12月上旬号

映画批評:砂の器

1974年11月下旬号

日本映画紹介:砂の器

1974年11月上旬号

グラビア:完成した「砂の器」

1974年6月下旬号

グラビア:野村芳太郎監督 「砂の器」

1969年1月上旬新年特別号

シナリオ:砂の器

2019/05/12

90点

レンタル 


悲劇は人を成長させない

松本清張の本の素晴らしさと、野村芳太郎の画が最高にマッチした作品だと思う。相変わらず風景描写と人物描写が巧みなのと、観るものの心にいつまでも残るシーンを作り出す鬼気迫る演出が本当に見事だと思った。名シーンとして語り継がれる和賀の演奏するオーケストラに乗せて、ハンセン氏病患者として追われた父と子の壮絶な半生が描かれるシーンは涙なしには観られない。隔離病棟へと移される父を、線路上を追いかける秀夫の姿が印象に残る。ドラマチックな演出にし過ぎている感じは紙一重なところがあるが、そこは父千代吉を演じた加藤嘉と三木巡査役の緒形拳が圧倒的な存在感がすべてを成立させている。時代の冷たさに身も心も磨り減らされ、そこに手を差しのべた暖かい心を拒絶した一人の少年がたどり着いた先。想像も出来ないような壮絶な人生を歩んだ和賀に同情の余地はあるのかもしれないが、彼の犯した罪は最低な行為だったと思うし、彼自身もその成功とは裏腹に誠実さのない最低な男だと思う。だからこそとても悲しい映画だった。そしてハンセン氏病に対する偏見と差別がいかに残酷なものだったかを考えさせられる内容でもあった。丹波哲郎に島田陽子、渥美清、笠智衆といった豪華すぎる出演者も見所の重厚なドラマだった。

1980年代

2019/04/12

65点

テレビ 


再観賞したい

世に名作傑作と謳われてはいても個人的にシックリこない映画がいくつかあって、残念ながらその内の一本が本作。演出のメロドラマ感が強すぎて、物語のミステリーサスペンスを損なっているように感じるのがその理由。その昔に一度観ただけなので、機会があれば再観賞したい映画のひとつではある。

2014/07/20

2019/03/12

-点

映画館/神奈川県/TOHOシネマズ上大岡 


なんだ丹波哲郎に尽きるのか

午前十時の映画祭
真夏のクソ暑い中、汗だくの外回りで同僚と「まるで砂の器だな」と自嘲したように、我々世代にこの映画の存在感は抜群だった。個人的には評価は高くなく、今更『砂の器』かよ、と思いながらも32年ぶりの再会。今回、3回目にして丹波哲郎があまりに良かったことと、脚本とドラマツゥルギーの巧さに改めて感服。もっといえば感涙した。

2019/02/24

80点

選択しない 


笑いどころじゃないのに

言わずと知れたシリアス100%にしてコメディ要素皆無の本作ですが
むかし映画館で観たとき、渥美清が出てきただけで館内が爆笑に包まれたものです。(モチロン寅さん的コミカルな演技は一切しませんでした。)

映画館で観てこその、テレビやDVDではありえない、語り草♪

渥美は、犯人の手掛かりとなる伊勢の映画館の、支配人役でしたね。

2019/02/13

2019/02/13

75点

テレビ/有料放送/衛星劇場 


過去を否定するため

ある殺人事件の真相を求めて北へ行ったり西へ行ったりと、もつれた糸をほぐしていく過程がよく描かれている。今西刑事(丹波哲郎)が自分の考えをまとめ、足で稼いでいく姿は感動を覚える。捜査というのは地道なものだ。
犯人が三木元巡査を殺したのは成功しつつある自分の保身のためで、過去を消したかったからである。映画はそれとなく犯人を匂わせていて、やっぱりなというところに落ち着くが、後半の動機説明の部分は音楽映画かと思うほどの表現。作曲が芥川也寸志なので、単純な映画音楽にはならないだろう。それを見越しての起用だと思う。
とにかく俳優陣も豪華で、松本清張の原作をよく生かしていると思う。こんなちょっとだけのセリフにこんな俳優を使って良いものかと思うぐらい。
原作についてもあの地名のあるところが、東北弁と同じような発音で喋ると言うことをよく調べたものだと思う。

2019/02/03

2019/02/03

75点

VOD 


昭和ミステリーの傑作

ネタバレ

昭和のミステリー作品として燦然と輝く名作。本作の「カメダ」は、『人間の証明』の「ストーハ」、『獄門島』の「キチガイじゃが仕方ない」と並ぶ昭和ミステリー作品の名文句。また、この作品を『砂の器』と名付けた松本清張にも感服。
ミステリーとしては何かカタルシスのある意外性のあるトリックや犯人がいるわけではない。ただただある親子の「宿命」、それだけが重厚に語られる。クライマックスでの『宿命』の演奏をバックにセリフなしで展開される親子の放浪の旅は圧倒的に美しく哀しい。今西刑事の捜査報告による再現シーンとしてスタートするも、『宿命』を奏でる和賀の回顧とも受け取れる演出に感動が止まらない。
春夏秋冬続くその親子の放浪の旅の映像はどれも詩的。冒頭での高木理恵子が破いた服を列車から撒くところも現実的に考えれば犯人側の不可解な行動ではあるが、非常に画になる。全般に渡り、ストーリーの辻褄よりも画の構図がものすごく練られた作品。