砂の器(1974)

すなのうつわ|The Castle of Sand|The Castle of Sand

砂の器(1974)

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レビューの数

47

平均評点

82.9(325人)

観たひと

473

観たいひと

41

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル サスペンス・ミステリー / 文芸
製作国 日本
製作年 1974
公開年月日 1974/10/19
上映時間 143分
製作会社 松竹=橋本プロダクション(製作協力 シナノ企画=俳優座映画放送)
配給 松竹
レイティング 一般映画
カラー カラー/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 ステレオ

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督野村芳太郎 
脚本橋本忍 
山田洋次 
原作松本清張 
企画川鍋兼男 
製作橋本忍 
佐藤正之 
三嶋与四治 
製作補杉崎重美 
撮影川又昂 
美術森田郷平 
装置若林六郎 
装飾磯崎昇 
音楽監督芥川也寸志 
録音山本忠彦 
調音吉田庄太郎 
照明小林松太郎 
編集太田和夫 
衣裳松竹衣裳 
作曲・ピアノ演奏菅野光亮 
指揮熊谷弘 
演奏・特別出演東京交響楽団 
製作主任吉岡博史 
進行長嶋勇治 
助監督熊谷勲 
スチール金田正 
効果福島幸雄 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演丹波哲郎 今西栄太郎
森田健作 吉村正
加藤剛 和賀英良
加藤嘉 本浦千代吉
春日和秀 本浦秀夫
島田陽子 高木理恵子
佐分利信 田所重喜
山口果林 田所佐知子
緒形拳 三木謙一
松山省二 三木彰吉
内藤武敏 捜査一課長
稲葉義男 捜査一課係長
穂積隆信 新聞記者・松崎
夏純子 女給・明子
松本克平 三森署々長
花澤徳衛 安本
笠智衆 桐原小十郎
春川ますみ 女中・澄江
渥美清 ひかり座・支配人
菅井きん 山下お妙
殿山泰司 のみ屋・主人
野村昭子 若葉荘の小母さん
浜村純 巡査
芥川也寸志 
信欣三 国語研究所所員桑原
山谷初男 岩城署署長
ふじたあさや 鑑識課技師

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

迷官入りと思われた殺人事件を捜査する二人の刑事の執念と、暗い過去を背負う為に殺人を犯してしまう天才音楽家の宿命を描くサスペンス映画。原作は松本清張の同名小説。脚本は「日本沈没」の橋本忍と「男はつらいよ 寅次郎恋やつれ」の山田洋次、監督は「東京ド真ン中」の野村芳太郎、撮影も同作の川又昂がそれぞれ担当。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

六月二十四日早朝、国鉄蒲田操車場構内に扼殺死体が発見された。被害者の年齢は五十~六十歳だが、その身許が分らず、捜査は難航をきわめた。警視庁の今西栄太郎刑事と、西蒲田署の吉村正刑事らの必死の聞き込みによって、前夜、蒲田駅前のバーで被害者と酒を飲んでいた若い男が重要参考人として浮かび上った。そしてバーのホステスたちの証言で、二人の間に強い東北なまりで交わされていた“カメダ”という言葉に注目された。カメダ……人の姓の連想から東北各県より六十四名の亀田姓が洗い出されたが、その該当者はなかった。しかし、今西は「秋田県・亀田」という土地名を洗い、吉村とともに亀田に飛ぶが、手がかりは発見できなかった。その帰途、二人は列車の中で音楽家の和賀英良に逢った。和賀は公演旅行の帰りらしく、優れた才能を秘めたその風貌が印象的だった。八月四日、西蒲田署の捜査本部は解散、以後は警視庁の継続捜査に移った。その夜、中央線塩山付近で夜行列車から一人の女が白い紙吹雪を窓外に散らしていた。その女、高木理恵子を「紙吹雪の女」と題し旅の紀行文として紹介した新聞記事が、迷宮入りで苛だっていた吉村の触角にふれた。窓外に散らしていたのは、紙なのか? 布切れではなかったか? 早速吉村は、銀座のクラブに理恵子を訪ね、その事を尋ねるが、彼女は席をはずしたまま現われなかった。だが、その店に和賀英良が客として現われた。和賀英良。和賀は音楽界で最も期待されている現代音楽家で、現在「宿命」という大交響楽の創作に取り組んでいる。そしてマスコミでは、前大蔵大臣の令嬢田所佐知子との結婚が噂されている。八月九日。被害者の息子が警視庁に現われた。だが被害者三木謙一の住所は、捜査陣の予測とはまるで方角違いの岡山県江見町で、被害者の知人にも付近の土地にもカメダは存在しない。しかしそれも今西の執念が事態を変えた。彼は調査により島根県の出雲地方に、東北弁との類似が見られ、その地方に「亀嵩」(カメダケ)なる地名を発見したのだ。なまった出雲弁ではこれが「カメダ」に聞こえる。そして三木謙一はかつて、そこで二十年間、巡査生活をしていたのだ……。今西は勇躍、亀嵩へ飛んだ。そして三木と親友だった桐原老人の記憶から何かを聞きだそうとした。一方、吉村は山梨県塩山付近の線路添いを猟犬のように這い廻って、ついに“紙吹雪”を発見した。それは紙切れではなく布切れで、被害者と同じ血液反応があった。その頃、とある粗末なアパートに理恵子と愛人の和賀がいた。妊娠した彼女は、子供を生ませて欲しいと哀願するが、和賀は冷たく拒否するのだった。和賀は今、佐知子との結婚によって、上流社会へ一歩を踏み出す貴重な時期だったのだ。一方、今西は被害者が犯人と会う前の足跡を調査しているうちに、妙に心にひっかかる事があった。それは三木が伊勢の映画館へ二日続けて行っており、その直後に帰宅予定を変更して急に東京へ出かけているのだ。そして、その映画館を訪ねた今西は重大なヒントを得た……。本庁に戻った今西に、亀嵩の桐原老人から三木の在職中の出来事を詳細に綴った報告書が届いていた。その中で特に目を引いたのは、三木があわれな乞食の父子を世話し、親を病院に入れた後、引き取った子をわが子のように養育していた、という事だった。その乞食、本浦千代吉の本籍地・石川県江沼郡大畑村へ、そして一転、和賀英良の本籍地・大阪市浪速区恵比寿町へ、今西は駆けめぐる。今や、彼の頭には、石川県の片田舎を追われ、流浪の旅の末、山陰亀嵩で三木巡査に育てられ、昭和十九年に失踪した本浦秀夫と、大阪の恵比寿町の和賀自転車店の小僧で、戦災死した店主夫婦の戸籍を、戦後の混乱期に創り直し、和賀英良を名乗り成人した、天才音楽家のプロフィルが、鮮やかにダブル・イメージとして焼きついていた。理恵子が路上で流産し、手当てが遅れて死亡した。そして、和賀を尾行していた吉村は理恵子のアパートをつきとめ、彼女こそ“紙吹雪の女”であることを確認した。今や、事件のネガとポジは完全に重なり合った。伊勢参拝を終えた三木謙一は、同地の映画館にあった写真で思いがけず発見した本浦秀夫=和賀英良に逢うべく上京したが、和賀にとって三木は、自分の生いたちと、父との関係を知っている忌わしい人物だったのである。和賀英良に逮捕状が請求された。彼の全人生を叩きつけた大交響曲「宿命」が、日本音楽界の注目の中に、巨大なホールを満員にしての発表の、丁度その日だった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2005年12月上旬号

巻末スペシャル 感動∞倍増 本を観る、映画を読む! “映画×本”で広がるストーリー:紹介作品『対岸の彼女』『春、バーニーズで』『センセイの鞄』「理由」『巷間百物語~狐者異~』「自由戀愛」「深紅」「天国の本屋~恋火」「八つ墓村」「蒲田行進曲」「砂の器」「天城越え」「ゼロの焦点」「ライディング・ザ・ブレッド」

2005年9月上旬号

日本映画紹介/外国映画紹介:砂の器

1975年2月下旬決算特別号

特別グラビア 日本映画ベスト・テン:サンダカン八番娼館 望郷/砂の器/華麗なる一族/青春の蹉跌/竜馬暗殺/わが道/仁義なき戦い頂上作戦/襤褸の旗/赤ちょうちん/妹

特別グラビア 読者のベスト・テン 日本映画:砂の器/サンダカン八番娼館望郷/青春の蹉跌/津軽じょんがら節/竜馬暗殺/仁義なき戦い頂上作戦/赤ちょうちん/妹/男はつらいよ・寅次郎恋やつれ/日本沈没

1974年12月上旬号

映画批評:砂の器

1974年11月下旬号

日本映画紹介:砂の器

1974年11月上旬号

グラビア:完成した「砂の器」

1974年6月下旬号

グラビア:野村芳太郎監督 「砂の器」

1969年1月上旬新年特別号

シナリオ:砂の器

1974年

2017/05/15

75点

映画館 


とんでもないトリックがあったりして、

原作はイマイチなミステリです。映画は変な部分を削り、小説では出来ない映画的な見せ場を作って、見事な作品に仕上げました。コンサートと捜査会議と父子の放浪シーンが同時進行するラストが見事で泣かせます。

実は原作を先に読んでいた。それも早版の原作で、犯人は被差別部落出身者だった。抗議があってハンセン病に書き改めたそうだが、それを知らずに映画をみたので、ラストの衝撃はさらに大きかった。

日本各地の四季の風景を観るだけでも感動ものです。

2017/04/22

2017/04/24

-点

テレビ/有料放送/衛星劇場 


この映画が、日本の各土地を訪ねることで日本の土地・観光をPRする目的があったことを知ったうえで見たものだから、そういう所が非常に気になって見てしまった。
捜査で色んな土地に出張したり、特急列車の食堂車で食事したり、そういったことが一つ一つPRになっていることがよくわかる。
なかなか繋がらない話が急に一つに繋がるのは随分話が急な気もしたが、さすが松本清張はそういった伏線を張るのが上手いと思わせる。
ハンセン病とか戦後の混乱期のことは、今の時代の私たちにはなかなか肌感覚で感じることが難しい事象。そういった時代の「混乱」も上手くミステリーのツールとして組み合わせている松本清張の原作はさすが。唸ります。

2017/04/22

2017/04/22

85点

選択しない 


見終えた後も余韻が残る

今更ながら、鑑賞。
リメイクされたドラマとかも見ているが、映画とは格が違うと思った。
丹波哲郎、緒形拳、加藤嘉、それから子役の男の子の演技が素晴らしい。緒形拳が警官で、丹波哲郎が殺された三木だったら…という配役も考えてしまう。
「良かれと思って…」の行為だったが、自分が三木だったら、和賀だったら、どうするのだろうか。親子になったことも宿命ならば、三木と和賀が再会してしまったことも「宿命」なのだろうか。そう思うとなんだか切ないよりも重苦しい気持ちだ。

2016/12/24

2016/12/24

100点

映画館/福岡県/TOHOシネマズ天神本館・ソラリア館 


これぞ一級品のミステリー

松本清張原作の同名小説を野村芳太郎監督で映画化した日本映画屈指のミステリー作品。父と息子の断ちがたい絆と情愛をテーマにする一方で、忌まわしい過去を持つ音楽家のエゴまでも描き切った点は見事。豪華キャストの中でも映画館主に扮した渥美清のコメディリリーフぶりは作品に華を添える好演であった。

いつもは強面の敵役が多い丹波哲郎が本作では、執念で真相に辿り着く熱血漢の刑事を演じていてこれもまた瞠目させられた。クライマックスの捜査会議の席で、必死に涙をこらえながら犯人の生い立ちや被害者の心情を語る芝居には素直に感動した。

日本の四季折々の風景の切り取り方も素晴らしい。日本海を臨む岸壁の雪景色、緑の生い茂る出雲地方の山中など特に印象的だった。そんな名作に唯一ケチをつけるとするならば、過剰な字幕の存在である。時間や場所を説明するのはいいとしても、ラストシーンで親子の宿命にまで言及した使い方は如何なものか。字幕が不要なくらい圧倒的な映像に心酔した身としては、残念の一言に尽きる。

2016/12/09

100点

選択しない 


過酷な運命が紡ぐ壮大な人間ドラマ

かなり大昔に鑑賞した作品だが、今でも鑑賞した時の衝撃ははっきり覚えている。

JR蒲田駅近くで発生した殺人事件。犯人に結び付く手がかりは少なく、捜査は難航する。しかし、捜査を担当した二人の刑事は、わずかな手がかりをもとに、執拗に、粘り強く、執念の刑事魂で、犯人に迫っていく。

本作は、単なる犯人捜し物語ではない。壮大な人間ドラマである。

犯人の犯行動機が、あまりにも切な過ぎる。

犯人の子供の頃の回想シーン、差別を受けて父子で日本各地を放浪するシーンが、感動的で美しく、哀しく切ない。

日本の美しすぎる四季の風景と、壮大で優美な音楽が相まって、いつ果てるともない放浪を続ける父子の姿に感涙必至。

ようやく辿り着いた安息の地での出会いが、後の過酷な運命につながっていく・・・。

差別、運命、宿命、生きること、愛すること、栄光、悲劇、等々、色々なことを深く考えさせられる作品である。

観終わって、場内が明るくなっても、席から離れられず、暫く圧倒的な感動の余韻に浸っていた。

こんな作品を後何本観られるだろうか。

こんな作品に出逢えることを信じて、映画生活を続けていきたい。

2016/12/04

2016/12/07

100点

映画館/静岡県/静岡東宝会館 


生まれたこと、生きること

DVDを持っていても劇場で観たくなる映画がある。本作が正にそれで、午前十時の映画祭で観て、また涙を流した次第だ。前半は今西(丹波哲郎)吉村(森田健作)の地道な捜査の様子を丹念に描き、終盤のコンサート、捜査会議、過去の旅の三元中継に繋げて盛り上げる、脚本・橋本忍、山田洋次の構成力が見事。原作者・松本清張も絶賛したというだけはある、映画史上に残る名作だ。

殺人事件の犯人の糸口は、「カメダ」という言葉のみ。名前なのか地名なのか。それだけを手掛かりの気の遠くなるような捜査から、よく犯人に辿り着けたものだ。吉村が目を付けた「紙吹雪の女」の一件など、かなり奇跡的な展開もあるが、犬のように探し回る森田の好演もあり、つい受け入れたくなってしまう。序盤の捜査など完全に空振りで、今西は呑気に俳句などを詠んでいる。名推理をする訳でもない、この普通の捜査官たちの、文字通り靴を磨り減らす粘り強い捜査には頭が下がる。

身元不明だった被害者が、三木謙一という元巡査であることが判明。演じる緒形拳はなかなか画面には出てこないのに、捜査の過程からいかに人情味のある人物か観客に想像させる描き方もお見事。こんな素晴らしい人物が、何故殺されなければならなかったのか…。謎解きともなるクライマックスが圧巻だ。

原作ではほんの数行という、過去の放浪の旅が丁寧に描かれる。背景に流れる、芥川也寸志の「宿命」がこれ以上ないほど素晴らしく、心を揺さぶられる。差別に遭い、どこへ行っても追いやられる辛い宿命。酷い目に遭っているシーンがあっての上で、それでも父と息子二人が垣間見せる、笑顔のシーンに泣かされた。日本の四季を織り交ぜた、川又昂のカメラの美しいこと。 観客はそこに、親子の断ち難い愛情を見出すことになる。

和賀英良(加藤剛)は語る。宿命とは、「生まれてきたこと。生きて行くこと」。人は生まれを選ぶことはできない。この楽曲は、辛い隠したい過去の記憶から成り立っている。それがあっての名曲であることの皮肉。正に宿命。父親の愛情を体現する加藤嘉の姿に号泣させられ、涙の乾かないまま劇場を後にすることになってしまった。