将軍家光が山城新伍というのがくすぐったい。私はテレビの司会や70年代の映画のコメディリリーフの印象が強いもので。
タイトルにもある通り、夜桜があるのにモノクロ撮影とは残念。1961年製作なのにモノクロ作品ということは、東映としても軽く見ていたシリーズなのかなあ。近衛十四郎は松竹から東映に移籍したが、第二東映で活躍することになる。第二東映ということで片岡千恵蔵、市川右太衛門クラスのスターは出演できないことになっている。ということで近衛も二番手の主役という位置に甘んじてしまう。だから本作はモノクロだったのだろう。本作の年に第二東映は興行不振により撤退。近衛も本家東映に移るのだが、扱いはこんな感じだ。
しかし、近衛十四郎は殺陣に定評があり、本作で見せるチャンバラはさすがに決まっている。モノクロで撮るのが気の毒に思えた。
ことにクライマックスで敵味方が入り乱れて大乱闘になるが、近衛の殺陣がいちいちぴしゃッと決まり、迫力も出る。
今の時代劇じゃ、このような迫力は出せないだろう。
千恵蔵、右太衛門以上の殺陣なのになあ、彼らより格下というのはなんとも言いようがない。