木村威夫美術監督特集での上映作品で、彼の第1作目の美術監督作品です。
太平洋戦争終末期の昭和19年に完成していたが、上映不許可となり、戦後に初公開となった。
漁師の夫を海で失った母親は、一人息子が父親の二の舞になるのを恐れ、海に出るのを禁じるが、息子は父親のたどった途を継ぎたいと希望し、反対の母もやがては出立を認め船出を笑顔で見送る。
押し迫った戦局の中、少しでも明るく見せようとしたのか通常ならばナレーションで行う繋ぎの解説を浪曲で行っているのは、明らかに違和感がある。
母と子を無理に引き裂く戦争が裏にあるのが見え見えながら、人情話にして、笑って送り出すのが留守宅の義務だというメッセージが終戦時にまたがったために、変な仕上がりになってしまいました。