登場人物が増えるたびに,どのように没落し,どの様に殺されていくのかという背徳的な期待が高まってしまう.別荘で村木芙由(岩下志麻)の周囲には妻(おんな)たちが 集まっている.極道の男たちは男たちで和気藹々と興じている.それらの人物は軒並み死んでいくのだろうか.ミナミの野球場跡地の開発の話をまとめたところで引退を考えていた御蔵組の村木(高島忠夫) はヘリから銃撃されてまず殺されている.武ちゃん(清水宏次朗)はいつの間にかスクリーンから消えている.
芙由は,極道の血を分けた関係から言えば義妹とも呼べるような斎子(斉藤慶子)にパイナップル(手榴弾)を持たせて同伴させ侠和会に乗り込み,その上で侠和会の面々が居並ぶ中で左手の小指を詰める.侠和会の坂本(中条きよし)やその妻(あいはら友子)は,芙由を殺したいが打つ手にとタイミングを見計らっている.
芙由は100億の金で弱小の御蔵組を「ガチガチ」の組に強化しようと企んでおり,そのために我慢を続けている.妻(中野みゆき)を殺された御蔵組の野田哲男(小西博之) は「南無妙法蓮華経」をと唱え気合を入れている.が,主演級の女優(宮崎ますみ)が出演していた忠臣蔵らしき映画の撮影が行われている現場で,殺しながらも殺されていく.抗争が激化していくと「露営の歌」を歌ってスナックで嫌がらせをしているヤクザもいる.御蔵組が壊滅に向かう中では内部の分裂も発生している.雨の降る竹林の中.芙由は「お撃ち」「撃たんかい」と斎子を煽っている.が,斎子は夫の清二(山下真司)ともども崖から車ごと突き落とされ焼かれてしまう.
残された啓太(世良公則)は出所して妻の加奈代(川島なお美)と喧嘩をしているが,乳繰り合って仲直りをしたらしい.その啓太も路上でパフォーマンスのように銃を乱射し,自らも銃弾を受け止めながら倒れていく.芙由もやはり見世物の様に死んでゆかなければいけないのだろうか.死んだものと思わせ,潜行し,あるいは隠遁していた彼女も,大舞台で坂本を圧倒的に殺している.