東京兄妹

とうきょうきょうだい|----|----

東京兄妹

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レビューの数

10

平均評点

69.1(65人)

観たひと

101

観たいひと

6

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1995
公開年月日 1995/1/14
上映時間 92分
製作会社 ライトヴィジョン作品
配給 ギャガ・コミュニケーションズ=ライトヴィジョン
レイティング 一般映画
カラー カラー/ビスタ
アスペクト比 アメリカンビスタ(1:1.85)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督市川準 
脚本藤田昌裕 
猪俣敏郎 
鈴木秀幸 
原案藤田昌裕 
製作鍋島壽夫 
プロデューサー吉田多喜男 
撮影川上皓市 
小林達比古 
美術磯田典宏 
音楽梶浦由記
((See・Saw))
音楽プロデューサー森康哲 
録音橋本泰夫 
照明中村裕樹 
編集荒川鎮雄 
衣装高橋栄音 
仲野かおり 
助監督吉川威史 
スクリプター川野恵美 
スチール坂口正光 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演緒形直人 日暮健一
粟田麗 日暮洋子
手塚とおる 三村真
白川和子 近所のおばさん
広岡由里子 林桂子
角替和枝 和菓子屋のおかみ
小池幸次 豆腐屋の主人

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

都電が今も走る昔ながらの街に、二人きりで暮らす兄妹の日常風景をスケッチ風につづった作品。監督は「病院で死ぬということ」の市川準。人々の生活の様子などドキュメンタリー風の映像をドラマの合間に織り込んだ独特の語り口が今回も印象的。ベルリン国際映画祭正式参加、エーテボリ映画祭正式参加、シンガポール国際映画祭出品。95年度キネマ旬報ベストテン第2位。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

両親を亡くし、兄一人妹一人で暮らしている日暮兄妹。兄・健一は古本屋に勤め、妹・洋子は高校卒業後、駅前の写真ラボ屋で働いていた。二人が生活している町は都電が走り、昔ながらの商店が並び、醤油の貸し借りをするような近所づきあいの残るちょっと古臭い町だった。健一は一家の生計を支える存在として関白であり、その態度は毅然としていた。洋子もそれを当然のことと受け止め、家事の一切と兄の面倒をよくみた。健一には恋人の桂子がいたが、妹が二十歳になるまで結婚は待ってくれという彼の言葉に愛想を尽かした桂子は、健一と別れてしまった。数日後、健一は家に友人で写真家の真を連れて帰って来る。洋子は真の顔を見て、彼が洋子の勤めるラボ屋にちょくちょくやって来る客だったことに気付いて驚いた。二人はそれ以来デートを重ね、洋子は家を飛び出して真と同棲を始めてしまう。胸中穏やかではない健一は、洋子に帰って来るように電話をかけるが、願いは聞き入れられなかった。だがある晩、飲み屋で泥酔した真が急死する。傷心の洋子は行き場を失い、真の葬儀があった夜、家に戻って来るのだった。こうしてまた日暮家の日常が再開された。しかしある晩、勤めから戻った健一は、門を潜りかけたところでその足を止め、再び表へ出て行ってしまった。彼の帰りを待っていた洋子は、その時、門の鈴の音が聞こえたような気がして顔を上げた。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1995年3月下旬号

日本映画紹介:東京兄妹

1995年3月上旬号

劇場公開映画批評:「東京兄妹」

1995年1月下旬号

特集 東京兄妹:対談 市川準×安西水丸

1995年1月上旬新年特別号

グラビア 《New Releases [新作映画紹介]》 :東京兄妹

2023/12/13

2023/12/25

65点

レンタル 


東京○○、ザ・四文字タイトル。

ネタバレ

公開年の1995年は、阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件などが発生した年。平成7年、バルル崩壊後
の社会不安が強まった。しかし本作は、徹頭徹尾昭和感満載の家庭ドラマとなった。しかも父親母親を
失った兄と妹の最小単位の家庭で、カメラの視界は意図的に周辺のとどまり、静謐な画が中心となった。

日暮健一(緒形直人)と妹洋子(粟田麗)が両親から相続した自宅は、都電の走る下町の一軒家。下町
人情が残る古い町。健一は古本屋に勤め、洋子は高校卒業後、駅前の写真ラボ店で働く。たぶん両親の
の暮らしぶりをカーボンコピーしたのだろう、健一の日常はとても平成とは思わせない昭和関白亭主の
真似となる。洋子は文句一つ言わずに、やはり昭和主婦ばりの尽くす主婦業を見せる。
健一は結婚を想定した恋人がいたが、妹が成人になるまで待ってくれ、と時代錯誤の言葉で、別れ話
となってしまった。
一方、洋子の方は脱皮する。健一の友人の真(手塚とおる)の登場だ。日暮家を訪れる前から、真は
洋子の写真ラボを利用していたのだった。健一の妹と知り、一気に親近感を持った。趣味がカメラで
あれば、なおさらだった。経験豊かな真にすれば、未成年の洋子を誘惑することは簡単だった。
二人の仲は急速に進む。洋子は家を出て真と同棲を始める。健一は平和な兄妹の家庭が壊され、心は
穏やかではない。帰って来るように電話をするが、洋子は聞き入れない。しかし真は泥酔が元で命を
落とす。ここも無理な作劇がある。真の葬儀の後、傷心の洋子は健一の家に戻る。
また昭和風の兄妹の家庭が戻ったのか、それとも新らしい洋子との関係になるのか、監督は、はっきり
した説明をせずに、観客に判断を任せて夜の闇に隠れる…。

小津安二郎のオーマージュ作品という感じだが、実際に平成日本の落とし込むと違和感は免れない。
公開当時から高い評価を得たようだが、ちょっと過大評価の気もする。しかし時代の流れは、これから
加速する。フィルム写真もなくなり、現像もしない。店番のようなノンビリした光景も失った。令和から
見れば、平成市川準監督も小津安二郎と見事オーバーラップされることになった。

2014/11/29

2019/04/16

75点

映画館 


余情豊か

出会いと別れを経ることで子供から大人へと成長する妹と、それを傍らで戸惑いながらただただ見守るほかない兄。もう決して昔の関係には戻れないであろう兄妹の、その後を想像させる余情豊かなラストショットが忘れられない。

リリカルな音楽を背景に瑞々しい日常描写を積み重ね、登場人物の心情の機微を陰影深く紡ぎ出す市川準。その繊細にしてストイックな語り口が光る陰影深い人間ドラマ。

2018/10/10

2018/10/10

70点

レンタル/東京都/TSUTAYA 
字幕


バブルの裏側の世界

1995年といえば今から23年も前だから、古くさい感じの街角にクラシックな兄妹が歩いてきてもいいのかと思ったけど、違和感を感じた人も多かったらしい。確かに、その時代はむしろバブルで、こんな枯れすすきな昭和ではなかったはずでした。

兄、妹、小さい写真屋、電話ボックス、といった昭和感あふれる佇まいは見ていて気持ちいいけど、兄の唯一の友人が彼の妹の気を引いて同棲に至る際の妹の心の動きを描くのを、完全に飛ばしてますね。 割と真面目に見てたのに筋が追えない。ちょっと、あるべきものがない感じです。それでも1990年代のバブルの裏側の映像として美しさを感じられるものでした。

キネマ旬報ベストテン上位の映画の中には、男の美学なんだろうなぁ、という、必ずしも共感できない世界の映画も結構あるんだけど、これもその一種で、妹という手の届かない「女」に対する複雑な思いをあくまでも主観的に描いたんだと思えば、それでもいいです。

でも、なんでバルサン炊くの?これもしかして「スモーク」?

1995/11/03

2018/09/03

60点

映画館/沖縄県 


映画の画面同様、こちらの気分も枯れた感じ

小津安二郎監督の線を狙って、淡々とドラマが進んでいく枯れた感じの映画。だが静かな映画でも小津作品はドラマチックだ。しかし、市川準監督は、登場人物に距離を置いているようなよそよそしさを感じる。小津の形を模倣するだけで、主人公のふたりの心情に興味がないような。

2017/10/16

40点

選択しない 


妹は豆腐であるというオジサン的ノスタルジー

 藤田敏八の『妹』(1974)同様、妹に対する大きな勘違いから生れた作品で、本作では「妹は豆腐である」というテーゼが提示される。
 冒頭から冷ややっこや豆腐屋のシーンを象徴的に登場させるが、要は白くて柔らかくてプルンプルンしていて壊れやすいというオジサン的嗜好が丸出しで、せめて『男はつらいよ 望郷篇』(1970)の寅次郎の「四角四面は豆腐屋の娘、色が白いが水臭い」くらいに気の利いた台詞が欲しかった。
 家族がテーマで、小津安二郎を意識した舞台装置やカット割りですぐそれと知れるが、所詮はテーマもストーリーも映像も真似でしかなく、21世紀を控えてこんな兄妹がいるか? というくらいにアナクロニズムに溢れている。
 そのアナクロニズムを演出するための小道具が都電荒川線と雑司ヶ谷鬼子母神、どこにあるのか知れない昭和初期のような大きな木造家屋、古臭いテレビになんとゼンマイ式の柱時計まである。
 夕餉を給仕する妹と座椅子にふんぞり返る兄は、戦前からタイムマシンに乗ってやってきたみたいで、恋人ができて連日デートする妹を父親のように心配するが、小津作品で親身に娘のことを心配する父親の外形だけを真似しているだけで、単なる近親相姦にしか見えない。
 恋人が死んで妹は兄のもとに戻るが、帰宅した兄が足を戻すシーンは意味不明。意味深な勿体ぶった演出で観客の心を宙ぶらりんに弄ぶようでは、小津には遠く及ばず、縄文時代の化石を撫でただけに終わっている。(キネ旬2位)

2017/09/15

2017/09/15

75点

その他/BS録画 


冷奴のように

昔のBS録画を再度見る。亡くなった訳は、映画内ではわからないが古い家を相続して住む兄妹。二人は父娘か夫婦のように日々の生活を過ごす。兄(緒方直人)の亭主関白振りや妹(栗田麗)のしつけのいいたたずまいがいい。それぞれに恋人らしきはできるが次の一歩でしくじる。小津安二郎を意識した映像が多い。エンディング、この二人、妹離れ・兄離れができるのだろうか心配を残して見終わった。