今は無き沖縄・桜坂流映スカラ座で観た。
「戦国自衛隊」以来、タイムスリップするという設定が増えたような気がする。この映画もそれを取り入れて現代の若者が戦時中にスリップする。
この設定がなんだか安直に思えるんだが、現代の若者に戦時中の価値観のズレを感じさせようとしたのだろう。
でもそれがあまりうまく行っていない。主人公の緒形直人は反戦を叫ぶのだが、「この戦争を誰が始めんだ」と言っても、劇中でそれを明らかにしない。
他の戦後の戦争映画の大半がこういう感じで撮っている。戦争を始めた権力者を批判するというよりは、戦争を天災のように扱い、そういう事態になったらひたすら耐え忍ぶといったふうになってしまう。
そこがどうも、というところ。
だけど、フィリピンで地元民から食料を強奪するなどの蛮行を描いているところは、加害者としての視点もある。それまでの戦争映画ではあまりなかった加害者としての日本を描くのは1990年代になってから良く観られた。それが2010年代の今日になると反日だ!と言われるようになってしまったのだから、時代の移り変わりも感じる。
ともあれ、本作品は的場浩司のキャラを戦争アクション映画のそれにしてしまい、この種の映画では合わない登場人物だし、現代の若者に伝えようとして、何か間違っているところが問題だ。