寝盗られ宗介

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寝盗られ宗介

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レビューの数

13

平均評点

70.6(88人)

観たひと

132

観たいひと

22

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル コメディ
製作国 日本
製作年 1992
公開年月日 1992/10/3
上映時間 106分
製作会社 バンダイ(製作協力…若松プロダクション)
配給 松竹富士
レイティング 一般映画
カラー カラー/ビスタ
アスペクト比 アメリカンビスタ(1:1.85)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督若松孝二 
脚本つかこうへい 
原作つかこうへい 
企画中川好久 
製作奥山和由 
プロデューサー清水一夫 
斉藤立太 
若松孝二 
撮影鈴木達夫 
美術丸山裕司 
音楽宇崎竜童 
録音久保田幸雄 
照明安河内央之 
編集鈴木歓 
助監督増本知尋 
スチール西本敦夫 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演原田芳雄 北村宗介
藤谷美和子 レイ子
久我陽子 あゆみ
筧利夫 ジミー
山谷初男 留造
岡本信人 謙二郎
柴田理恵 こまどり姉妹・亀井
山田美雪 こまどり姉妹・種子
藤田弓子 イネ
あき竹城 ウメ
白川和子 玉枝
斉藤洋介 北島マネージャー
小倉一郎 岩手の医者
梅津栄 亀井の父
佐野史郎 信二
玉川良一 大造
吉行和子 志乃

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

愛の昂揚のため女房を他の男と駆け落ちさせるドサ回り一座の座長と劇団員たちの姿を描くつかこうへい原作の舞台喜劇の映画化。つか自ら脚本を担当、監督は「われに撃つ用意あり」の若松孝二、撮影は「チー公物語 ネズミ小僧のつくりかた世紀末版」の鈴木達夫が担当。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

富士山をのぞむのどかな町。客のざわめきをよそに北村宗介一座の宗介は、妻子もちの謙二郎と駆け落ちした一座の看板スターで女房のレイ子を待っていた。レイ子の父親の留造や音痴の歌手ジミーらを前に、自ら駆け落ちを画策した宗介は「帰って来る!」というばかり。やむなく幕をあけるが、イカサマ歌謡ショーに客は騒ぎはじめる。高校生のあゆみが代役として間をつないでいるうちにレイ子が帰って来た。そしてレイ子が舞台に立つや客は彼女に見とれ、ため息と涙の大合唱となった。宗介は間男の謙二郎に田舎へ帰って運送屋をやるようトラックを買って送り出す。宗介は間男に寛大でレイ子をやさしく受け入れることで“勝った”と感じ、そのことでレイ子への愛情を昂揚させているのだった。続いてジミーが倒れ病院へかつぎ込まれた。腎臓移植手術しか助かる見込みがないと聞かされた宗介は、一座を離れジミーの弟ユタカに腎臓を提供するよう頼み、その足で青森の実家を訪ね手術費用を工面してもらった。建設会社をやっていて女グセが悪かった父親の大造は、病院で寝たきりでもう長くない。会社をきりもりする弟の信二に、新しく建つ公民館の柿落としを頼まれ、宗介は思わず「ついでに俺の結婚式でもやるか」と口走ってしまったが、照れからレイ子の前で断ってしまう。やるせないレイ子の前に以前駆け落ちをし、今度は国へ帰るというマックが現れた。宗介は小遣いをわたし、2人を温泉旅行に行かせた。ついであゆみが一座を出て東京へ行くと言い出した。ジミーの腎臓の一件もユタカが拒否したため、宗介が提供することになったが、それをきっかけにレイ子が荒れるようになっていった。宗介は結婚を決意して打ち明けるが、うまくいかない。結婚前の最後の公演を終えて、いよいよ青森に向かう時、こともあろうにジミーとレイ子が駆け落ちすることになった。レイ子が戻ってくるのを信じて送り出す宗介だったが、当日になってもレイ子は戻って来ない。会場には病床の大造も駆けつけ、いよいよ幕があがり舞台で宗介が「愛の讃歌」を熱唱するがレイ子は帰らず、ついに宗介はこまどり姉妹役のひとりである亀井さんと式をあげることを決意するが、時遅く大造は息を引き取った。その時レイ子が現れ、めでたく2人の結婚と相成り、舞台に一座が揃うと、宗介を結婚させるため死んだふりをしていた大造も生き返り、万々歳のうちに舞台の幕が落ちると、向こうには大きな富士山がそびえたっているのだった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2011年9月下旬特別号

特別企画 アウトサイドを駆け抜ける原田芳雄 1968-2011:疾走の軌跡(フィルモグラフィー) 映画作家は語る 「反逆のメロディ」澤田幸弘監督、「オレンジロード急行」大森一樹監督、「ツィゴイネルワイゼン」鈴木清順監督、「生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言」森崎東監督、「どついたるねん」阪本順治監督、「寝盗られ宗介」若松孝二監督、「鬼火」望月六郎監督、「歩いても 歩いても」是枝裕和監督

1992年11月下旬号

日本映画批評:寝盗られ宗介

1992年10月下旬号

日本映画紹介:寝盗られ宗介

1992年9月上旬号

KINEJUN CRITIQUE:寝盗られ宗介

1992年8月下旬号

グラビア《Coming Attractions》(新作紹介):寝盗られ宗介

1992年7月下旬号

試写室:寝盗られ宗介

1992年7月上旬号

ルポ 撮影現場訪問:「寝盗られ宗介」

2020/07/21

2020/07/21

70点

テレビ/有料放送/日本映画専門チャンネル 


人間味豊かな座長の愛

一座を率いる北村宗介(原田芳雄)は女房(藤谷美和子)と言っても内縁の妻だが、を寝取られても許してやる人間味豊かな男である。裏を返せば女房に心底惚れていて、女房も彼を愛していると信じている。だから家出をしても迎えには行かない。女房は絶対帰ってくると自信を持っているからだ。
宗介には多くの異母兄弟がいて、角館の名士の父親の事業は異母兄弟の次男に継がせている。宗介のただ一つの願いは母親の自殺の敵を取るために父親の死である。
もののはずみから弟の作った劇場のこけら落としをすることになり、それは結婚披露公演となるはずだった。
つかこうへいのシナリオらしく、ギャグが満載でしかもラストに大どんでん返しが用意されている。
原田芳雄の宗介のキャラクターが原田調であるが、面白い。また破天荒な女房の藤谷も実生活の藤谷を思い起こさせるようなキャラクターである。
ラストシーンに向かって駆け落ちした女房が帰ってくるかどうかをじらすあたりはうまく作ってある。当て馬の柴田理恵も楽しい。

2000年代

2019/04/10

55点

レンタル 


コケティッシュ

まるで演歌のPVを観ているようなのような思い入れタップリな情景描写や、そこから滲むマッタリとした余情が個人的に苦手なゆえのこの点数。コケティッシュな魅力を湛えた藤谷美和子の好演が印象に残る。

2018/07/18

2018/07/18

35点

テレビ/有料放送/日本映画専門チャンネル 


原田芳雄を見る映画

ヒゲをつけて舞台の司会進行をする姿にすごい味がある。
ラストの越路吹雪『愛の讃歌』も素晴らしい。
原田芳雄ともう一つ、特筆したいのは宇崎竜童の音楽で中近東っぽいエキゾチックな音楽がすごくいい。特にシャルマイじみた木管楽器の旋律!歌を一切入れずエンドクレジットにも歌がないのがいい。
『フイリッピン』『フアン』昔の大人のカタカナの発音、小さい母音をきちんと発音するおかしさ。
ジミーが奥さんと駆け落ちする前に座長からお金をせびるシーンは強烈に笑える。香典に始まりお年玉、入学祝い、アオの鼻を撫でに来い、だしブタと一緒にスープ鍋に入れ等。
ただ全然映画的じゃないんだよね。それが残念。

2018/07/16

40点

選択しない 


原田芳雄が越路吹雪に扮して歌う「愛の讃歌」がすべて

 つかこうへいの同名戯曲が原作。
 ドサ廻りの北村宗介一座の物語で、座長(原田芳雄)の内縁の妻レイ子(藤谷美和子)は一座のトップスターだが、しょっちゅう座員と駆け落ち。それで座長の綽名が寝盗られ宗介だが、心優しい宗介はそれも芸の肥やしと黙認、寝盗った座員にもお礼をするお人好しで、座員に上カツ丼を食べさせて自分は並で我慢するという出来た人柄から座員に慕われている。
 それもそのはず父親(玉川良一)は妻妾合わせて50人の子供がいるという金持ちで、跡を継いだ弟(佐野史郎)からいつでも金を引き出せるくらいに育ちがいい。
 物語は、座員のジミー(筧利夫)の腎臓移植、あゆみ(久我陽子)のスカウト話、レイ子とジミーの駆け落ちなどのエピソードを織り交ぜながら、地元・角館の公民館の杮落とし公演とレイ子との結婚式を軸に進む。
 ストーリーは正直つまらなく、寛容な宗介と浮気で心を引き留めておきたいレイ子の屈折した愛の関係と成就がテーマという、小劇場にありがちな芝居で、若松孝二もこの手の作品に向いているとは思えず、富士山をバックにしたラストと、農村シーンが頑張っているくらい。
 うだうだした気持ちで見ていると、原田芳雄が越路吹雪に扮して「愛の讃歌」を歌うシーンで突然雷を受けたような衝撃が走り、他のシーンをすべて忘れるくらいに引き込まれる。
 このシーンを見るだけで十分に価値があるが、ならば他の100分は何のためにあるのかということになる。(キネ旬8位)

2018/01/21

2018/01/21

75点

テレビ/有料放送/WOWOW 


「粋」な原田芳雄と「色っぽい」藤谷美和子

若松孝二監督、つかこうへい原作・脚本、1992年キネマ旬報ベストテン第9位、ということで観てみたが、この映画が面白くなったのは何と言っても、「粋」な原田芳雄と「色っぽい」藤谷美和子、この2人の魅力によるところが大きい。

「寝盗られ」と言っても、宗介(原田芳雄)とレイ子(藤谷美和子)は結婚しているわけではないので、恋人の浮気…というかレイ子が次から次へといろんな男と肉体関係をもっては一時的な男を捨てて宗介の所に戻ってくるのを繰り返す(笑)
藤谷美和子、実に色っぽい!
また、寝盗られても悠然としている宗介(原田芳雄)は、大らかなので、肝っ玉据わった男に見える。

序盤は、やや時代を感じる古臭さがあったものの、それに慣れてきて、中盤以降は笑える場面あり。
間男が宗介に「レイ子と一緒になるから金くれ」など次々と図々しい場面など…

原田芳雄が女装して越路吹雪の歌を熱唱するあたりも、ようやる感あり。
越路吹雪の歌は良く知らないのでエンドクレジットで確認したら「♪愛の讃歌」という聞いたことはある曲だった。

最初はどうなることかと思ったが、寺山修司的もしくは大島渚的な「驚きのラストシーン」含めて、なかなかの娯楽作であった。

<映倫No.113766>

2017/11/04

2017/11/04

75点

テレビ/有料放送/WOWOW 


傑作だ

さすが、つかこうへい作。だれが演じても傑作になるとは思わないが、原田芳雄は素晴らしかった。とらえどころのない藤谷美和子も役にハマっていた。原田芳雄はあらためて惜しいなあ。もっといろいろな映画を観たかった。