二十一歳の父

にじゅういっさいのちち|Our Happiness Alone|Our Happiness Alone

二十一歳の父

レビューの数

9

平均評点

74.0(27人)

観たひと

43

観たいひと

4

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル 文芸
製作国 日本
製作年 1964
公開年月日 1964/3/29
上映時間 96分
製作会社 松竹大船
配給 松竹
レイティング 一般映画
カラー モノクロ/シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット 35mm
メディアタイプ フィルム
音声 モノラル

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督中村登 
脚色中村登 
原作曽野綾子 
製作深沢猛 
撮影成島東一郎 
美術佐藤公信 
音楽武満徹 
録音田中俊夫 
照明田村晃雄 
編集浦岡敬一 
スチル堺謙一 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演山形勲 酒匂彰
風見章子 酒匂延子
高橋幸治 酒匂市郎
岩崎加根子 酒匂増子
山本圭 酒匂基次
倍賞千恵子 酒匂好子
宮口精二 越源一郎
中村雅子 越正子
稲野和子 越屋寿子
勝呂誉 越秋穂
鰐淵晴子 岩間恭子
高峰三枝子 岩間母

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

曽野綾子の原作を「鏡の中の裸像」を監督した中村登が脚色、監督した文芸もの。撮影は「嵐を呼ぶ十八人」の成島東一郎。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

酒匂基次と越秋穂は親友だ。秋穂は明朗な青年で母の正子のヘソクリを借りては金貸し業をする学生商人。基次は、広告代理店の重役である父をもちながら病床にある母の延子を置いて、かたくるしい上流社会の空気を持つ家庭からとびだし、盲目のマッサージ師の好子と世帯をもっていた。酒匂家では、家族会議が開かれ、基次は母の延子が生きている間だけという条件で家に帰って来た。酒匂家で静かな歓迎を受ける二人に、小さな魂が宿った。二十一歳の父が誕生するのだ。一方秋穂は美貌のクラスメート恭子と結婚を約束していた。その頃、基次の母は息をひきとった。基次は最初の契約通り、酒匂家を出てアパートに移った。やがて酒匂家には初孫が誕生した。その幸福感を味う暇もなく、基次は、赤ん坊を背負った好子が交通事故に会うという惨事に出くわした。落胆した基次を慰める家族の言葉に、新しい生活に入るとみえた基次が、ある夜突然睡眠薬自殺を計った。父は盲目の嫁が、息子の心にそれ程の重さをもっていたとは信じられなかった。唯一人、それを理解したのは、彼の親友秋穂であった。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2023年8月号

COMING Old Pictures:「二十一歳の父」

1964年5月上旬号

日本映画批評:二十一歳の父

1964年4月上旬春の特別号

新作グラビア:二十一歳の父

日本映画紹介:二十一歳の父

2023/08/18

2023/08/19

-点

映画館/東京都/神保町シアター 

『二十一歳の父』。学生結婚は当時の流行りか。つけられている音楽が短調なのですべてが暗い雰囲気になる。その流れのままラストへ。薬局、父親(山形勲)の部屋の棚にアスパラ<タナベ>。東急柿の木坂変電所脇の階段付の跨線橋を渡る恭子(鰐淵晴子)。ラストシーンは渋谷駅ハチ公前交差点。

2023/08/17

2023/08/17

65点

映画館/東京都/神保町シアター 


 

2018/08/28

2018/08/28

80点

テレビ/有料放送/衛星劇場 


父親

ある家族の物語だが、悲劇ばかり。
次男基次(山本圭)は兄市郎(高橋幸治)とそりが悪く自由を求めて家出している。父親(山形勲)は次男に理解を示し、病気の母親(風見章子)も優しいが、兄は世間体を気にする堅物。次男が目の見えない女好子(倍賞千恵子)と結婚したことから色々な問題が起きる。目が見えなくても心の優しい好子は母親を献身的に看病するが、その間に妊娠していることが分かる。
そこから人間の生き方とは何かという問いかけが始まる。父親の愛情に対し、あくまでも世間体などを気にする兄夫婦。
好子と赤ちゃんの事故死から立ち直ったかに見えた次男も、兄夫婦の変わらぬ態度に好子達の後追い自殺をする。
対照的な子供達を持った父親の苦悩と友人の死に対する思いなどを描いている。
倍賞千恵子と山形勲の名演。

2018/03/28

2018/03/28

60点

テレビ/有料放送/衛星劇場 


「人間の温かみ」あふれる映画

中村登監督、倍賞千恵子(若い!)・山本圭・勝呂誉などが共演のカラー作品。

ある一般的な家庭の息子(山本圭)が、親の知らぬ間に結婚していた。相手は、美しい女性(倍賞千恵子)だったが、彼女は目が見えない。そうした彼女を心から愛して、子供も生まれて幸せな家庭を築くのであったが……。

親子愛、兄弟の思いやり、友人の優しさなど、「人間の温かみ」あふれる映画であった。

<映倫No.12497>

2017/10/11

75点

選択しない 


中村登のカラー作品は目の保養になる。

2014/08/18

2015/01/21

75点

映画館/東京都/シネマヴェーラ渋谷 


時代に押し潰される悲痛

ネタバレ

 三百人劇場での中村登特集は、7~8年前のことかと思っていたら、既に12年も前のことでした。12年も経つと忘れていることも多いのは理解できますが、「二十一歳の父」の冒頭、富士山マークがモノクロであることも、山本圭と勝呂誉がちょんまげを結い刀を持って登場することも、綺麗さっぱり忘れているという己の記憶力の無さには、愕然とせざるを得ません。
 忘れていたのは冒頭だけではありません。勝呂誉と級友の鰐淵晴子のくだりの一切も、山形勲と小畠絹子が旅行した先の温泉で、倍賞千恵子と幼子の事故死を山形が知るくだりも、小畠の料亭で残された家族全員の食事会をすることも、綺麗に忘れていましたが、山本圭の自殺を噛み締めながら、勝呂がラグビーの練習をボーッと眺めるラスト近くの場面は、なぜか印象に残っていました。
 そもそも12年前には、悪いとは思わないものの些か理が勝った科白回しなどに中村登の気負い過ぎた硬さを感じ、さほど評価する気になれなかったのですが、今回は、競争より共存を求める21歳の青年の世界観が、東京オリンピックを機に成長へ成長へと急かされる時代の中で押し潰されてしまう悲痛さが、えらく心に沁みたのでした。