待っていた象

まっていたぞう|----|----

待っていた象

レビューの数

2

平均評点

54.7(9人)

観たひと

10

観たいひと

2

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル コメディ
製作国 日本
製作年 1949
公開年月日 1949/11/20
上映時間 81分
製作会社 大映京都
配給 大映
レイティング
カラー モノクロ
アスペクト比
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督安田公義 
脚本小国英雄 
企画松山英夫 
撮影川崎新太郎 
美術川村新 
音楽山田栄一 
録音福安雅春 
照明岡本健一 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演柳家金語楼 山下金助
横山エンタツ 横山円太郎
喜多川千鶴 上野テル子
中村メイコ みどり
大美輝子 上野きみ
志村喬 富永動物園長
大友柳太朗 大井防護団長
星ひかる 上野源兵衛
上田吉二郎 泥棒の親分
寺島貢 中沢警察署長
南部章三 寺井医師
伊達三郎 梶飼育係
老川健 中村家の主人
吉田喜一郎 上野健作
藤川準 梶飼育係

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

久し振りで松山英夫が自ら原案企画し、「狙われた女」「幽霊曉に死す」の小国英雄が脚色した柳家金語楼、横山エンタツの喜劇シリーズの一篇、主演は「花くらべ狸御殿」「幽霊列車」の柳家金語楼、「びっくり五人男」の横山エンタツ、その他「白虎」「三つの真珠」「透明人間現わる」の喜多川千鶴、「野良犬(1949)」の志村喬、「幽霊列車」の大美輝子等出演。劇中に出演する大象は名古屋東山動物園の太郎、花子が特別出演。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

金助と円太郎はある都会の動物園で太郎、花子という二頭の象のし育係で、象使いの名人でした。そのころ空襲が激しくなって、動物園のもう獣を殺さねばならぬようになった。金助と円太郎はわが子のように思っていた太郎花子をとても可哀そうで殺すことが出来なかった。二人は空襲警報のさわぎにまぎれて、象を連れ出しいろいろ苦労の旅の末、金助の女房おきみさんのそ開先の山の奥の実家にたどりついたが象をつれた二人はたちまち追出されてしまったので、仕方なく裏山で草や木で象の家を作ったが、お腹のへった象は二人のねている内にその家をペロリと食べてしまった。象の好きな村の子供達は親にかくれて象の食物を運んでくれたがそんなことではとても足りず円太郎は持っていた金を全部象の食物に使い果してしまった。そこで今度は金助が町の銀行に預けてある金を出すことを決心して町の銀行に出かけた所、そこでバッタリ動物園長に会ってしまいどうしても象を殺さなくてはいけないと知って、気狂いのようにわめきたてるので、狂人扱いされて病院に入れられてしまった。山の円太郎も動物園長や警官隊が山へ上って来るのを見て、最早これまでと象にねらいを定めて鉄砲の引金を引いたが、どうしたことか鉄砲は鳴らなかった。だが園長等が山へ山へ上って来たのは終戦になったので象を殺さなくても好いと知らせに来たのであった。鉄砲の弾を抜いたのは金助の義妹のテル子の機転であった。円太郎は太郎、花子を連れて再びなつかしい動物園へ帰って行った。一方金助は入院中に余り心配したため頭の毛はすっかり抜けてはげ頭になってしまい、女房のおきみさんさえすぐ金助だと気がつかぬ位、顔が変ってしまった。金助は女房にさえ忘れられる位だから、太郎、花子にも忘れられるだろうと動物園へ行く気になれなかった。金助の代りに雇われた象使いは、馴れないので象を怒らせてしまい大騒ぎになった時、見物人の中にうずくまって残っていた一人の男が、危い逃げろという人々の声と共に今にも踏みつぶされるかと思われた瞬間象の脚はその男の前でハタと止り、長い鼻を静かに持ち上げ、背中に乗せて嬉しそうであった。それは金助でした。金助は嬉し涙で、待っていてくれた象に親子のような対面をした。動物園は再び平和にもどり円太郎、金助は昔と同じ太郎、花子と共に動物園の名物として大変な人気者となった。そして円太郎は美しいテル子と象の取持つ縁で結婚することが出来た。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

2022/12/14

2022/12/14

60点

テレビ/有料放送/衛星劇場 


像の疎開

戦争末期、空襲に備えて動物園の猛獣の殺処分令がでた。その中にはゾウも含まれていた。
二人の飼育員山下金助(柳家金語楼)と横山円太郎(横山エンタツ)はゾウを殺すに忍びなくて夜陰に紛れてゾウを隠すことにした。二人の珍道中が始まる。
餌は円太郎が持っていたお金を使い、後は自前で探してきた。田舎の子供達には人気があり、隠しておくこともできなかった。しかしお金が底を突きいよいよ金助の貯金に手を出さざるを得なくなった。そこで金助は捕まる危険を冒し、街まで金を下ろしに行く。そこで園長に見つかり、怪我をして病院に。
一方円太郎はもう10日も帰ってこない金助との約束を果たすため。ゾウの処分をしようとしていた。そこへ終戦を知らせに園長達がやってくる。
動物の殺処分令は実際にあった話で、これは東山動物音の話であるが、上野でもゾウの処分のために何日も餌を与えなくて餓死させたという。
動物にとっては悲劇だが、この映画では悲劇にならないようにゾウを疎開させてしまう。エンタツと金語楼がコミックなやりとりで笑わせてくれるが、そうでもしないとやりきれない事実だ。むしろ喜劇として重たくしなかったのがよい。

2019/01/13

2019/01/13

65点

映画館/兵庫県/神戸アートビレッジセンター 


象との逃避行。

ネタバレ

<新春!ニッポンの喜劇映画セレクション第二弾>の上映作品。

空襲で猛獣が逃げる恐れがあるとのことから動物園に下された殺処分命令。その中には象も含まれていて、他人の手で殺されるよりは、と飼育調教係の金語楼とエンタツが一度は射殺を考えるが、やはり手を下せずに空襲警報に乗じて象とともに逃避行を行う。

重いテーマを含みながらも、喜劇人を主演としているだけあって、基本ストーリーはやはり喜劇。最後に金語楼がいつもの毛髪になってしまう辺りも面白おかしい。難しい題材を喜劇として纏め上げた脚本は、後に黒澤組で活躍する小国英雄。監督の安田公義は本作のクレジットでは平仮名で「やすだきみよし」と出ているのは子供の観客に向けてのことだろうか。