藤田進で銀座三四郎となれば、もちろん黒澤明の「姿三四郎」から来ているのだろう。
市川崑監督も初期はこういうアヤシイ便乗ものもやらなきゃならないだろうね・・・と思ったらプロデューサーの青柳信雄に温情をかけられた市川監督がそれに報いるためにこころよく引き受けたものらしい。
市川監督らしいコミカルなところを加えている。
絹江の両親(河村黎吉・飯田暢子)のやりとり、診療所の看護婦などをコメディリリーフとしている。
よく邦画では短縮版や総集編を作ると、それを残して全長版のフィルムを処分するという蛮行を行っており、本作も短縮版をつくって全長版は処分したという。
短縮版なのでなぜ銀平の片目がつぶれたのか、マリエがやくざの情婦になったのはなぜかさっぱりわからない。全長版でもその経緯が描かれていないのか、カットされたのかもわからない。
最期にマリエが見送ると主人公が未練たっぷりですっきりしない終わり方は疑問である。