悪魔の接吻

あくまのせっぷん|The Enchanting Devil|----

悪魔の接吻

レビューの数

6

平均評点

73.8(19人)

観たひと

29

観たいひと

2

基本情報▼ もっと見る▲ 閉じる

ジャンル サスペンス・ミステリー
製作国 日本
製作年 1959
公開年月日 1959/10/25
上映時間 87分
製作会社 東宝
配給 東宝
レイティング
カラー シネスコ
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
上映フォーマット
メディアタイプ
音声

スタッフ ▼ もっと見る▲ 閉じる

監督丸山誠治 
脚本高木隆 
加藤俊雄 
製作三輪礼二 
撮影中井朝一 
美術中古智 
音楽池野成 
録音藤好昌生 
照明穏田紀一 

キャスト ▼ もっと見る▲ 閉じる

出演河津清三郎 伊藤浩三
坪内美詠子 伊藤幸江
笹るみ子 伊藤友子
草笛光子 相沢恒子
佐原健二 内山忠
樋口年子 桑島和子
三浦敏男 小野
西条康彦 則夫
河野汐美 久子
村上冬樹 梶原
中丸忠雄 杉本
伊藤久哉 広沢
谷晃 レストランの主人
沢村いき雄 老巡査
土屋詩朗 養一
山田巳之助 老人
清水元 藤村

解説 ▼ もっと見る▲ 閉じる

高木隆・加藤俊雄の共同脚本を、「女ごころ」の丸山誠治が監督したスリラー。「アイ・ラブ・ユウ」の中井朝一が撮影を担当した。

あらすじ ▼ もっと見る▲ 閉じる

月賦販売業みゆき商会の社長伊藤浩三の妻幸江は、理智的な女であった。夫浩三から事業不振を聞かされた彼女は、運転手兼店員の内山に経営状態を聞いて夫の話に不審をもった。夫の事務所によってみた彼女は、そこで夫が競馬のノミ屋広沢から十万円を催促されているのを見た。幸江は帳簿を調べるため車につんで帰ってしまった。幸江の異母妹で女中の子に生れ、幸江を憎んでいる恒子は、浩三と通じていた。彼女は浩三に幸江を殺してしまうようそそのかした。夜ふけに帳簿を調べている幸江を殺し、死体をガレージにはこび、ダイナマイトを仕かけたワゴン車に乗せる。午前十二時に爆発するように時刻装置をほどこしたこの車を、内山に命じて、幸江の実家甲府に向けて出発させる。あらかじめ内山にはそれらしい手紙を巧みに書かせてある。世間は、社長夫人と運転手が、情事の末に無理心中をとげたと思う筈である。ワゴン車は出発し、計画は九分どおり完了したかにみえた。ところが、途中で気がついた内山が、ガソリン代をとりに戻ったことから、計画は狂いはじめた。ちょうど来あわせた姪の友子が、甲府に行った友を追って内山の車に同乗すると言いだしたのだ。浩三が恒子の電話に出ているうちに、二人を乗せた車は出発してしまった。もうすぐ車は爆発する筈だ。十一時四十分。ところが、突然ブザーが鳴った。玄関に出た浩三の目に、土間におちている幸江の腕時計がうつった。人はいない。不思議に思い寝室にとってかえした浩三は、そこで幸江の死体を見た。驚きのあまり彼は心臓マヒを起し、恒子に与えられた酒を飲むと死んだ。--総ては、恒子と内山の仕くんだカラクリだったのだ。浩三と幸江は心中したことになった。だが、なおも内山毒殺を企んだ恒子は、計画を警察に感づかれ、みずから毒酒を飲んで死に、内山も捕えられた。

キネマ旬報の記事 ▼ もっと見る▲ 閉じる

1959年11月下旬号

日本映画紹介:悪魔の接吻

2021/09/13

2021/09/13

-点

映画館/東京都/新文芸坐 

『悪魔の接吻』。笹るみ子、主役級の扱いで出番が多い。若者たちが待ち合わせしていたのは新宿駅前らしいがどの辺りだろう。「10か月払いの店」ってどういうこと?。みゆき商会のレジの奥に「米穀通帳を持ってくると…」と貼り紙、洋品店で米穀通帳が必要?。社長宅は目白駅が最寄駅。結末は他言無用。

2018/11/06

2019/01/04

83点

映画館/東京都/ラピュタ阿佐ヶ谷 


スリラー映画の一級品

 この1年前にもシネマヴェーラ渋谷で鑑賞している。あまりに面白かったので翌年ラピュタ阿佐ヶ谷の「草笛光子特集」で2回も鑑賞してしまった。
 主に善良な人物を扱った作品が多い丸山誠治監督が、人間の欲望を描いたダークな犯罪モノも扱っていたことに衝撃を受けた。
 脚本は高木隆、加藤俊雄という人が書いている。聞き慣れない名前だが、良く練られた脚本だ。草笛の悪女役もお見事。
 それから何と言っても「音」の使い方がいい。一例を挙げると、河津清三郎が奥さんの坪内美詠子の首を絞めるシーン。蓄音機から流れるけたたましいジャズの音のボリュームがグイッと上がる―。
 私はかつてある人から「プロとアマチュアの違いは音が上手く使えるか否かだ」ということを教わったことがある。本作を観て私はこの映画をつくった人たちは間違いなくプロだと確信した。
 笹るみ子の演技は観る人によってはイラッとするかもしれない。正直私もイラッとした。しかしそれは彼女が自分に与えられた役をそれだけ上手く演じ切っているからとも解釈できる。
 ただ、ラストの展開には正直私も迷った(今も)。しかしそれでも本作は犯罪計画のプロセスを描いたスリラー映画としては一級品であった。

2018/11/07

2018/11/11

64点

映画館/東京都/ラピュタ阿佐ヶ谷 


人間の屑

オリジナル脚本で、凝ったミステリーを作り出したのは評価したいが、登場人物がクズばかりなので、感情移入できる人物がいない。だから、最後に誰がどうなろうと知ったことか、という気分になってしまうのには困った。

2018/11/04

2018/11/04

70点

映画館/東京都/ラピュタ阿佐ヶ谷 


草笛光子の悪女ぶり

映画の冒頭に、結末のネタバレ禁止の注意書きが出る。バーのマダム草笛光子は、衣料品店社長の河津清三郎の妻で、自分の義姉の殺害をそそのかし、河津に実行させ、殺人を事故に見せるため、死体を乗せた車を爆破するという計画をたてる。その後、能天気な姪っ子が登場し、計画は頓挫しそうになるが、草笛が河津をコントロールして計画の完遂を目指す。その後の展開は、ネタバレ禁止だが、草笛の悪女ぶりが見もの。河津清三郎は、東映の任侠映画のふてぶてしい悪役のイメージが強いが、こういう役もできるんだという軽い驚きがあった。脚本は高木隆&加藤俊雄で、見事なオリジナル脚本だと思う。【昭和の銀幕に輝くヒロイン〔第90弾〕:草笛光子】

2017/09/18

2017/09/19

75点

映画館/東京都/シネマヴェーラ渋谷 


脚本の出来が良い

冒頭で「結末を決して他言しない事」とわざわざ注意しているサスペンス映画です。
期待倒れのケースが多い中、結構良く出来ていると思いますが、ラストそのものはある程度予測できた結末で、どちらかというと、そこに至るまでの、作り物と思わせないような、時間の経過と出来事とのかみ合わせの怖さ、サスペンス性が効果的に演出されていると思います。

けれども、製作当時の交通事情や、連絡手段を念頭に置いた見方が出来ないと陳腐な印象を持ちかねないと思います。

2017/02/04

2017/02/16

70点

映画館/東京都/ラピュタ阿佐ヶ谷 


最初はうざい笹るみ子が最後は可愛く見える

ラピュタ阿佐ヶ谷のピカレスク映画特集「悪魔の接吻」は、2009年に神保町シアターの丸山誠治特集で観た事がありますが、その時は睡魔に襲われて後半は観ていないも同然でしたから、どんでん返しの結末も含めて今回は面白く観たものの、柳沢真一がラピュタ阿佐ヶ谷恒例の“お耳拝借予告篇”で口を極めて絶賛しているほどの傑作とは思えず、そもそも河津清三郎には坪内美詠子を殺すほどの動機がないと思うし(離婚裁判に持ち込めば十分でしょう)、佐原健二を巻き添えにするのがダイナマイトによる爆死というのも、あまりにも異様すぎます。しかし、河津清三郎の自宅に押し掛ける、笹るみ子扮するじゃじゃ馬の姪っ子が、河津の計画を次々と引っ掻き回すのが、最初はうざったいと思ったのですが、佐原健二が使っているライター(笹るみ子の友人である西条康彦が、クラブホステスの草笛光子に譲ったライターで、笹は譲るところを目の前で目撃していました)に気付いたことから事件解決を導き出す最後は、笹が可愛く見えました。